氷の実験室

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氷の実験室 水と氷の重さ比べ
氷の重さを考える(1)

もともとニチレイは氷屋さんでした。
氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

水と氷の重さ比べ

氷は水が凍ったものです。では、同じ体積の水を比べると、どちらが重いでしょう?

レイちゃん

この間、氷の固まりを持ったらすごく重かったよ。

ロジロジくん

もとは同じなんだから、水も氷も重さは一緒じゃない?

やってみよう!

実験1

氷は水に沈む?浮かぶ?

氷は水が凍ったものです。では、同じ体積の水を比べると、どちらが重いでしょう?

予想

氷は、水に沈むでしょうか?浮かぶでしょうか?

  • A

    氷は水より重いので、沈む

  • B

    氷は水より軽いので、浮かぶ

  • C

    氷と水は同じ重さなので、入れた場所から浮かびも沈みもしない

答えを見る

B 氷は水より軽いので、浮かぶ

氷博士

教えて!氷博士

「水に沈む氷」はつくれる?
高圧下では、普通の氷の2倍以上の密度の氷も!

私たちが暮らしている環境下(1気圧)で存在する氷は、水よりも密度が低く、水に浮かびます。しかし、圧力を数千から数万気圧まで高めると、日ごろ見慣れた氷とは構造の違う氷が現れてきます。現在、さまざまな圧力や温度帯で17種類程の氷が見つかっており、発見された順番に氷Ⅱ、氷Ⅲなどと名前が付けられています。
これらの高圧で現れる氷は、通常の氷(氷Ⅰ)よりも密度の高い構造の、水に沈む氷です。例えば、現在見つかっている中で一番重い(密度の高い)氷Ⅹは、氷Ⅰの結晶格子が2つ互いに入り込んだような構造になっていて、重さも氷Ⅰの2倍以上あります。
地球上では自然界には存在しない氷ですが、広い宇宙の中には、氷Ⅰ以外の「水に沈む氷」が自然に存在する星もあるかもしれませんね。

氷Ⅰの構造模型

氷Ⅹの構造模型

※赤の球と青の球はどちらも同じ酸素原子だが、2つの格子が入り込んでいる構造を分かりやすくするために、色分けしている。

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。
非営利目的での複製・転載などについてのご要望は、以下からお問い合わせ下さい。

2022年1月24日

氷の実験室 食用油を凍らせてみよう
氷の重さを考える(3)

もともとニチレイは氷屋さんでした。
氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

もっと知りたい!

レイちゃん

他の液体も、凍ると増えるのかな?

やってみよう!

実験2-1

食用油を凍らせてみよう

レイちゃんとロジロジくん

手順

  • 1. 製氷皿に食用油を入れて、凍らせます(固体の油をつくります)。
  • 2. 固体の油を、液体の油の中に入れてみましょう。

予想

油の氷は沈むでしょうか?浮かぶでしょうか?

  • A

    固体の油は液体の油より重いので、沈む

  • B

    固体の油は液体の油より軽いので、浮かぶ

  • C

    入れた場所から浮かびも沈みもしない。

答えを見る

A 油の氷は液体の油より重いので、沈む

食用油は、水と違って、液体より個体の密度が高いので、液体の油の中に個体の油を入れると、沈みます。つまり、油は凍らせると少し体積が減ります。

ロジロジくん

どうして水は凍ると体積が増えて、油は減るの?

氷博士

教えて!氷博士

どうして水は凍ると体積が増えるの?
世にも珍しい物質、「水」と「氷」

実は、地球上にあるほとんどの物質は、液体から固体に変わるとき、体積が減ります(密度が高くなる)。水のように固体になったときに体積の増える物質は、ビスマス(Bi)などごく少数しかないんですね。水や氷は私たちにとって最も身近なものですが、実は非常に特殊な物質なのです。 この特殊性は、水分子同士の間に働いている「水素結合」の働きが大きな要因です。水分子は1個の酸素原子(0)と2個の水素原子(H)が結合してできた化合物で、写真① のような構造をしています。水分子のO-HとOの間に働いているのが、水素結合です。
1個の水分子は、写真②のように4つの水素結合をつくることができます。この水素結合のために、水は分子量などの似た他の化合物に比べて、分子同士の結びつきが強くなり、沸点や融点が非常に高くなっています。

写真1

写真2

「すきま」の多い氷の構造

氷の結晶構造について、簡単に説明しましょう。
パチンコ玉など同じ大きさの球を、箱の中にできるだけすきまのないように詰めると、それぞれの球は12個の球に囲まれます。銅や亜鉛、銀などの金属は、このような結晶構造になっています。
それに対して氷の結晶では、それぞれの水分子は、正四面体の頂点に位置する4個の水分子に囲まれています。銅などの金属結晶と比べると、かなりすきまの多い構造といえますね。
この氷が溶けて水になると、水分子の熱運動が激しくなって結晶構造の一部が崩れ、結晶のすきまに水分子が入り込みます。水の構造は固定ではなく常に形を変えていますが、平均すると、それぞれの水分子は4.4個の水分子に囲まれています。0.4個分水の方が氷より密度が大きいので、氷は水に浮かぶのです。
もしも、氷が水よりも重かったらどうなるでしょう? 例えば、池や湖などの表面で凍った氷は、どんどん底の方に沈んでいき、全体が凍ってしまいますね。そうすると、水中の魚などは生きられなくなってしまいます。
この水と氷の特殊な性質のおかげで、私たち人間をはじめ、地球上の生命はさまざまな恩恵をうけているんですね。

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。
非営利目的での複製・転載などについてのご要望は、以下からお問い合わせ下さい。

2022年1月24日

氷の実験室 氷と温度変化

もともとニチレイは氷屋さんでした。
氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

レイちゃん

熱い紅茶に氷を入れてアイスティーをつくろう!

ロジロジくん

冷たくておいしいね。氷の冷やす力って、すごいよね。

レイちゃん

あれ?でも、100℃くらいの紅茶に0℃くらいの氷を入れたら、温度はだいたい真ん中の50℃くらいになるんじゃないのかな?

やってみよう!

実験4

0℃の氷と100℃のお湯を混ぜると何℃になる?

0℃の氷と100℃のお湯を同量混ぜて、温度を測ってみましょう。

用意するもの

  • 氷約1㎏
  • 沸騰させた(100℃)お湯
  • ザル
  • 大きめのボウル
  • 温度計
レイちゃんとロジロジくん

手順

  • 1. まず、0℃の氷をつくりましょう。氷を冷蔵庫の中にしばらく置いておくと、氷の温度が上がり、0℃になったところでとけ出します。ときどきかき混ぜて全体の温度を均一にしながら半分くらいとかすと、0℃の水の中に0℃の氷が浮かんでいる状態になります。
  • 2. お湯を沸騰させておきます(沸騰しているお湯は、ちょうど100℃です)。
  • 3. 1の状態から、氷と水をザルで分けます。
  • 4. 3の氷をボウルなどに入れて重さを量り、そこに同じ重さだけ沸騰したお湯を注ぎます。(やけどに注意!)
  • 5. かき混ぜて氷をとかし、全部とけたところで温度を測ってみましょう

予想

お湯の温度は何℃になっているでしょうか?

  • A

    50℃になる

  • B

    50℃より高い温度になる

  • C

    50℃より低い温度になる

答え

C 50℃より低い温度になる

0℃の水と100℃のお湯を同じ量混ぜると、約50℃になります(手順1でつくった0℃の水に100℃のお湯を同量注いで試してみましょう)。しかし、0℃の氷と100℃のお湯では、50℃よりもかなり低い温度(気温など条件にもよりますが、今回の実験では約15℃になりました。理論的には(熱の出入りがなければ)10℃)になります。

もっと知りたい!

ロジロジくん

どっちも同じ0℃にしたのに、どうして氷と水とでは違う温度になるんだろう?

レイちゃん

教えて!氷博士!!

氷博士

教えて!氷博士

0℃の氷と100℃のお湯を混ぜて50℃にならないのはなぜ?

氷をとかすには、大きなエネルギーが必要です。

氷がとけて水になるためには、実はかなりのエネルギーが必要です。0℃の氷1gをとかして0℃の水にするのに必要なエネルギーは、約80cal(約334J)。水1gの温度を1℃上げるのに必要なエネルギーが1calなので、それと比べると、氷をとかすためには、かなり大きなエネルギーが必要(※)だということがわかりますね。  そのため、100℃のお湯に0℃の氷を入れると、お湯の持っている熱エネルギーの多くは、氷をとかすために使われてしまうので、100℃のお湯と0℃の水を混ぜた場合と比べて、温度が大幅に低くなるのです。つまり、「氷はとけるときに周りを冷やす働きがある」ともいえますね。

※この理由を説明するには、「物質の状態」がポイントになります。物質は、原子や分子など目に見えないたくさんの粒によってできています。また、物質の状態(気体か液体か固体か)は、物質をつくる粒の「動き回る度合い」によって決まります。固体は、物質をつくる粒の位置がほぼ固定されている状態なのに対し、液体は物質をつくる粒同士が互いに影響し合いながらも、動き回ることができる状態です。そして、粒が動き回るにはエネルギーが必要になります。つまり、氷(固体)が水(液体)になるときには、外からエネルギーを与えて、粒が動き回ることができる状態にする必要があるのです。
逆に、水(液体)が氷(固体)になるときには、余分のエネルギーが熱として放出されます。1gの水が氷になるときには、約80calのエネルギーが放出されます。過冷却状態(水が凍る瞬間を見てみよう 一気に凍る「過冷却」のひみつ(2)の「教えて!氷博士」 参照)の水が凍るときの温度変化を精密な温度計で測ってみると、-7~-8℃になっていた水が、凍っていくにしたがって温度が上がることがわかります。

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。
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2022年1月24日