氷の実験室 水が凍る瞬間を見てみよう
一気に凍る「過冷却」のひみつ(2)

もともとニチレイは氷屋さんでした。
氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

もっと知りたい!

レイちゃん

水が凍る瞬間を見てみたいな!

氷博士

教えて!氷博士

0℃になっても凍らない水の不思議

水の凝固点は0℃ですが実は0℃になったら必ず凍るというわけではありません。水をゆっくり静かに冷やしていくと、凍らないまま温度が低くなります。この状態を過冷却と呼びます(※)。過冷却状態になった水は、核になるもの(氷のかけらなど)を入れたり衝撃を与えたりすると、その部分から一気に凍っていきます。これは自然の中でも起こっている現象です。上空の雲の中では細かい水滴が冷やされて過冷却状態になっていて、空気中のチリなどが核となって雪の結晶が育っていきます。また、過冷却の霧の粒が木の枝にぶつかって凍りつくと、樹氷ができます。
過冷却を完全にコントロールすることはできませんが、うまく過冷却状態をつくり出せると、普段は見られない「水が凍っていく瞬間」が見られます。家庭でも過冷却状態をつくり出しやすい実験方法を3つ紹介しますので、ぜひチャレンジしてみてください。

実験6-2

水が凍る瞬間を見てみよう

<方法1>まずは、この方法でチャレンジ!

用意するもの

  • 氷を入れるバットなど(平らで深さのある容器)
  • 氷、塩
  • アルミカップ(お弁当のおかずなどの入れ物)3~5個
  • 温度計
レイちゃんとロジロジくん

手順

  • 1. 氷をバットに入れ、氷の重さの1/3くらいの量の塩を振りかけて混ぜます。バットの中に温度計を入れ、温度を測ります。
  • 2. 1のバットの中はどんどん温度が下がっていくので、少しずつ水を入れて、-7~-9℃くらいになるように調節します。
  • 3. アルミカップに同じ量ずつ水を入れ、バットの氷の上に並べます。触ったり揺らしたりせずに静かに冷やしていきます。
  • 4. アルミカップの水のうち、どれか一つが凍り始めたら、他のカップの水は過冷却状態になっている可能性大。小さい氷のかけらを、入れてみましょう。

<方法2>少し大きな規模で、氷の成長が見られます

用意するもの

  • 氷を入れるボウルなどの容器
  • 氷、塩
  • 試験管など透明容器
  • 温度計
レイちゃんとロジロジくん

手順

  • 1. 氷をボウルに7分目くらいの高さまで入れ、氷の重さの1/3くらいの量の塩を振りかけて混ぜます。ボウルの中に温度計を入れ、温度を測ります。
  • 2. 1のボウルの中はどんどん温度が下がっていくので、少しずつ水を入れて、-7℃~-9℃くらいになるように調節します。
  • 3. 2のボウルの中に、水を入れた透明容器を入れます。入れたら、触ったり揺らしたりせずに静かに冷やしていきます。
  • 4. 3分~5分程経ったら、静かに透明容器を取り出します。

    実験ちょっと失敗編(4)「出したらもう凍ってた!」

  • 5. 温度計の先や小さな氷のかけらを、透明容器の水の中に入れてみましょう。

    実験ちょっと失敗編(5)「凍らない…」

レイちゃん

すごい! 温度計の先を入れた途端に、そこから一気に凍っていったよ!

実験ちょっと失敗談④「出したらもう凍ってた! 」
レイちゃん

試験管を出してみたら、もう半分凍っちゃってた!

氷博士

冷やす時間がちょっと長かったですね。また、試験管を取り出すときにぶつけたりすると、その衝撃で凍ってしまうので、気をつけてそっと取り出してください。

実験ちょっと失敗談⑤「凍らない…」
レイちゃん

氷のかけらを入れてみたけど、何も変わらなかった・・・。

氷博士

まだ過冷却状態になっていなかったんですね。冷え方は気温にもよるので、冷やす時間を調節しながら、何度かチャレンジしてみてください。

<方法3>さらにダイナミックにやってみましょう

用意するもの

  • 透明なペットボトル
  • 水、お茶、清涼飲料水など
  • タオル
レイちゃんとロジロジくん

手順

  • 1. ペットボトルに水を8~9分目くらいまで入れて、ふたを閉めます。
  • 2. 1をタオルなどでくるんで、2~3時間冷凍庫で冷やします(※)。その間は冷蔵庫のドアの開閉などは振動を与えないようにそっと行って、できるだけ静かに冷やします。
    ※温度が調節できる冷凍庫の場合、-7~-9℃程度に設定すると、過冷却状態がつくりやすくなります。
  • 3. 静かに取り出して、ペットボトルを叩くなど衝撃を与えてみましょう。過冷却状態になっていると、その部分から水が凍り始めます。または、そっとふたを開けて、器に注いでみましょう。水が過冷却状態になっていると、注いだ水はあっという間にシャーベット状に凍っていきます。水のほか、お茶や清涼飲料水でも試してみましょう。

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。
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2022年1月24日