氷の実験室 食用油を凍らせてみよう
氷の重さを考える(3)

もともとニチレイは氷屋さんでした。
氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

もっと知りたい!

レイちゃん

他の液体も、凍ると増えるのかな?

やってみよう!

実験2-1

食用油を凍らせてみよう

レイちゃんとロジロジくん

手順

  • 1. 製氷皿に食用油を入れて、凍らせます(固体の油をつくります)。
  • 2. 固体の油を、液体の油の中に入れてみましょう。

予想

油の氷は沈むでしょうか?浮かぶでしょうか?

  • A

    固体の油は液体の油より重いので、沈む

  • B

    固体の油は液体の油より軽いので、浮かぶ

  • C

    入れた場所から浮かびも沈みもしない。

答えを見る

A 油の氷は液体の油より重いので、沈む

食用油は、水と違って、液体より個体の密度が高いので、液体の油の中に個体の油を入れると、沈みます。つまり、油は凍らせると少し体積が減ります。

ロジロジくん

どうして水は凍ると体積が増えて、油は減るの?

氷博士

教えて!氷博士

どうして水は凍ると体積が増えるの?
世にも珍しい物質、「水」と「氷」

実は、地球上にあるほとんどの物質は、液体から固体に変わるとき、体積が減ります(密度が高くなる)。水のように固体になったときに体積の増える物質は、ビスマス(Bi)などごく少数しかないんですね。水や氷は私たちにとって最も身近なものですが、実は非常に特殊な物質なのです。 この特殊性は、水分子同士の間に働いている「水素結合」の働きが大きな要因です。水分子は1個の酸素原子(0)と2個の水素原子(H)が結合してできた化合物で、写真① のような構造をしています。水分子のO-HとOの間に働いているのが、水素結合です。
1個の水分子は、写真②のように4つの水素結合をつくることができます。この水素結合のために、水は分子量などの似た他の化合物に比べて、分子同士の結びつきが強くなり、沸点や融点が非常に高くなっています。

写真1

写真2

「すきま」の多い氷の構造

氷の結晶構造について、簡単に説明しましょう。
パチンコ玉など同じ大きさの球を、箱の中にできるだけすきまのないように詰めると、それぞれの球は12個の球に囲まれます。銅や亜鉛、銀などの金属は、このような結晶構造になっています。
それに対して氷の結晶では、それぞれの水分子は、正四面体の頂点に位置する4個の水分子に囲まれています。銅などの金属結晶と比べると、かなりすきまの多い構造といえますね。
この氷が溶けて水になると、水分子の熱運動が激しくなって結晶構造の一部が崩れ、結晶のすきまに水分子が入り込みます。水の構造は固定ではなく常に形を変えていますが、平均すると、それぞれの水分子は4.4個の水分子に囲まれています。0.4個分水の方が氷より密度が大きいので、氷は水に浮かぶのです。
もしも、氷が水よりも重かったらどうなるでしょう? 例えば、池や湖などの表面で凍った氷は、どんどん底の方に沈んでいき、全体が凍ってしまいますね。そうすると、水中の魚などは生きられなくなってしまいます。
この水と氷の特殊な性質のおかげで、私たち人間をはじめ、地球上の生命はさまざまな恩恵をうけているんですね。

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。
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2022年1月24日