氷の実験室 氷は水よりどれくらい軽い?
氷の重さを考える(2)

もともとニチレイは氷屋さんでした。
氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

氷は水よりどれくらい軽い?

レイちゃん

氷が水より軽いことはわかったけど、重さはどれくらい違うのかな?

ロジロジくん

同じ体積の氷と水を、それぞれ重さを量って比べてみればわかるんじゃない?

やってみよう!

実験2

水と氷の体積変化と重さ比べ

レイちゃんとロジロジくん

手順

  • 1. 透明カップを2つ用意します。
  • 2. 2つのカップに300mlの 水を入れ、油性ペンなどで印を付けます。
  • 3. 片方を冷凍庫で凍らせます。
  • 4. 冷凍庫から凍らせたカップを出して、凍らせなかった水の量と比べてみましょう。どれくらい増えたかな?
  • 5. 水のカップに、氷と同じところまで水を足して、それぞれ重さを量ってみましょう。どれくらい重さは違うかな?

実験のポイント

「氷に沈む氷」は作れる?

カップの水をそのまま冷凍庫で凍らせると…

レイちゃん

あっ、カップがふくらんでいる!

ロジロジくん

氷になって体積が増えるときに、上だけじゃなくて、横や下方向にも膨張したんだね。

レイちゃん

変形しないように、ガラスのコップでやってみようか。

あっ、ガラスがひび割れてる!

ロジロジくん

氷の力ってすごいんだね!どれくらいの力なのかな?

氷博士

教えて!氷博士

氷の力はどれくらい?
水が凍るとき、容器には水深2万mの海底よりも大きな圧力がかかる!

水が凍るときの体積膨張による力は、温度によりますが、約2,000気圧。これは、水深20,000mに相当し、マリアナ海溝(1,000気圧)よりも高い圧力になります。1cm 2 あたり2トンの力がかかっていることになるんですね。通常の容器だと、この圧力に耐えられないため、容器が変形したり、割れたりしてしまいます。ペットボトルや缶ジュースを冷凍庫で凍らせて、破裂させた経験のある人もいるんじゃないかな。
この氷の力は、冬の寒い朝に霜柱が地面を持ち上げていたり、岩石の間に染み込んだ水が夜に凍って少しずつ岩石を壊し、風化の原因にもなっています。

レイちゃん

そんな強い氷の力に、カップを変形したり壊されたりしないで、体積の増えた分を計るにはどうしたらいいのかな?

氷博士

普通に冷凍庫に入れると、冷気はすべての方向から伝わり、カップの水は外側から凍っていきます。カップの氷をよく見ると、ひび割れている部分がありますね。これは、外側から凍っていき、中心部に残った水が凍るときに、その膨張する力で、外側の氷を押し割ったのです。
横や下方向に膨張させないようにするには、下からだけ冷やして、水がカップの下から上方向へと凍っていくようにします。水を入れたカップの横と上を断熱材 (※) で覆って冷気を遮り、さらに、カップの下には熱を伝えやすい金属を敷いて冷凍庫に入れてみましょう。

※板状のスポンジや梱包に使われるエア・クッション(気泡シート)など

エア・クッションでくるんだカップの下に瓶のフタ(金属)を置いて、冷凍庫へ。

レイちゃん

やった!これだと体積の増えた分がよくわかるね。

ロジロジくん

重さはどれくらい違うかな。

答えを見る

300mlの水は、氷になると約330mlになります(約 10%の体積増加)。同じ330ml同士で重さを比べると、水は330g、氷は300g。水の重さを1とすると、氷は約0.91。なお、水の密度(1cm3当たりの重さ(g))は、約4℃のときに一番高くなります(※)。
※0℃の氷の密度は0.917g/cm3、水の密度は、0℃で0.99984g/cm3、4℃で0.99997g/cm3(平成24年度版「理科年表」)

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。
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2022年1月24日