応用が期待される分野・効果
応用が期待される分野
魚類不凍タンパク質の効果
氷結晶成長抑制効果
不凍タンパク質は氷の結晶に結合し、凍結時の氷結晶の成長を抑える効果を持ちます。 ※当社試験データ
方法
卵白アルブミンゲルをIII型AFP 0.2%溶液に一晩浸漬し各温度(-18℃, -68℃, -110℃)で2時間凍結し、電子顕微鏡で観察した。
結果
-
不凍タンパク質
無添加
-
Ⅲ型AFP
- 不凍タンパク質を添加していない試験区(上段)では凍結温度が高いほど氷結晶が大きく、凍結温度が低いほど小さかった。
- 型AFP添加試験区(下段)でも凍結温度が高いほど氷結晶が大きい傾向が見られたが、不凍タンパク質無添加の場合よりも小さかった。
応用分野例
食品:豆腐や寒天などゲル状食品 → 凍結解凍後の組織ダメージが小さくなる
工業:ゲル化凍結法による多孔体 → サイズの小さい多孔体製造が可能になる
氷結晶の再結晶化抑制効果
不凍タンパク質は氷の結晶に結合し、冷凍保管中の氷結晶の成長を抑える効果を持ちます。※当社試験データ
方法
卵白アルブミンゲルをI型AFP5%溶液に一晩浸漬し、-40℃で2時間凍結した。
その後-10℃で2週間保存した後、電子顕微鏡で観察した。
結果
-
不凍タンパク質
無添加
-
Ⅲ型AFP
- 不凍タンパク質を添加していない試験区(上段)では保管中に氷結晶が粗大化したが、型AFP添加区では、粗大化が抑制されていた。
応用分野例
食品:冷凍食品 → 凍結解凍後のドリップを軽減する、食感の変化を軽減する
アイスクリームや氷菓 → 保管中の品質変化が起こりにくく、口当たりが滑らかな状態を保てる
溶質の分散効果
不凍タンパク質は氷結晶の粗大化によって引き起こされる溶質の濃縮を抑える効果を持ちます。※当社試験データ
方法
- ①色素で着色した水で、各不凍タンパク質の0.5%水溶液を170g作り、紙コップに入れた。
- ②家庭用の冷蔵庫冷凍室内で一晩凍結した。
結果
考察
応用分野例
- 食品:豆腐や寒天などゲル状食品 → 凍結解凍後の組織ダメージが小さくなる
- 工業:ゲル化凍結法による多孔体 → サイズの小さい多孔体製造が可能になる
非冷凍下での細胞保護効果
不凍タンパク質は冷蔵下で細胞の生存率の低下を抑制します。※津田栄博士 試験データ
方法
【細胞】ラット膵島細胞
市販の細胞保存液ユーロコリンズ(●)に、I型AFP(○)、III型AFP(□)、トレハロース(■)、牛血清アルブミンBSA(▲)を10mg/mlで添加し、4℃で保管した後、生存率を測定した。
結果
4℃における保存では、細胞の生存率の低下は不凍タンパク質の添加により抑制されるが、その程度は不凍タンパク質の種類によって異なることが示された。また、I型AFP及びIII型AFPでは、120時間後に生存していた細胞にてインスリン産生能が保持されていた。
考察
通常の細胞は時間経過とともに膜が壊れることで生命力を失う。(左)
魚類不凍タンパク質は細胞膜に吸着して安定化することで細胞の生存期間を延長する。(右)
応用分野例
医療・創薬分野→細胞・組織保存液