アセロラ種子から抽出した世界初の化粧品原料向けエキス発売のご案内

プレスリリース 2004年

平成16年3月31日
報道関係者各位
株式会社ニチレイ
アセロラ種子から抽出した世界初の化粧品原料向けエキス発売のご案内
株式会社ニチレイは、世界初となるアセロラ種子から抽出した抗酸化・抗老化・抗炎症作用を有するエキスを化粧品原料として商品化し、今後、化粧品販売・製造会社向けに発売いたします。
アセロラ種子からの抽出物の利用用途は、今後、医薬部外品、化粧品、食品等の分野に展開されることが考えられます。弊社は、アセロラ種子からの抽出物と、上記分野における用途の特許を国際出願いたしました。
アセロラは弊社が本格的に日本に導入した果実で、これまでアセロラドリンクをはじめとする飲料分野を中心にオンリーワン商品として事業を展開してまいりました。シーズとして大変有望と認識しておりますので、今回の製品同様、今後も様々な用途開発に注力してまいります。
1.経緯
これまで、アセロラから飲料・食品に使用する果汁を搾汁した残渣の多量の種子は利用されず廃棄されてきました。弊社は、この種子について研究と用途開発を行い、アセロラ種子からの抽出物が優れた抗酸化作用、抗老化作用、抗炎症作用を有することを見出し、2002年に国際特許を出願、昨年3月の日本薬学会第123年会にて発表いたしました。
2.製品特長
化粧品原料の分野では近年、安全性の高い天然物由来の抗酸化剤が求められています。この度発売する製品は、美容素材として期待できる種々の作用を有し、抗酸化活性が強く長時間安定な活性を維持します。また、化粧品原料として求められる安全性、安定性にも優れており、水への親和性に富み、芳香もよいので、製剤化も容易です。
3.アセロラ種子エキスの作用
アセロラ種子からの抽出物は、フラボノイドなどのポリフェノール類の他に、糖、アミノ酸(ペプチド)、有機酸、無機質、ビタミンなどを含んでいます。アセロラ果実に豊富なビタミンCの含量は少なく、下記作用はビタミンCによるものではなくフラボノイドなどの成分によるものと考えられます。
・抗酸化作用
活性酸素・フリーラジカル消去作用及び脂質過酸化抑制作用を有します。
脂質過酸化抑制作用(リノール酸自動酸化抑制試験)においては、合成抗酸化剤として強い効果を示すブチルヒドロキシアニソール(BHA)と比較して同等以上の効果でした。(別紙 図1)
・抗老化作用
コラゲナーゼ活性阻害作用を有します。
・抗炎症作用
ヒアルロニダーゼ活性阻害作用を有します。
4.売上目標
化粧品原料向けとして国内外で2009年度に売上高3億円を目標とします。
5.本件に関する問合せ先
財務・IR広報部 03-3248-2235
以 上
【別紙】
<リノール酸自動酸化抑制試験>
-試験説明-
不飽和脂肪酸の一種であるリノール酸の自動酸化抑制作用について試験しました。試験開始後2週間目のコントロールの酸化率を100%として図1に示しました。アセロラ種子エキス固形分(ASE)は、天然抗酸化剤のα-トコフェロール(TOC)及び合成抗酸化剤のブチルヒドロキシアニソール(BHA)と比較して優れた酸化抑制作用を示しました。

<用語説明>
・活性酸素・フリーラジカル消去作用
活性酸素・フリーラジカルは、脂質過酸化、DNA損傷、コラーゲンの分断、抗酸化酵素の不活性化などの様々な現象を引き起こし、皮膚の急性炎症や老化に大きく関与しています。従って発生した活性酸素・フリーラジカルを速やかに消去することは、結果として皮膚のしみ・しわなどの老化抑制につながることが期待されます。

・脂質過酸化抑制作用
皮膚には皮脂などの不飽和脂肪酸が多量に存在し、活性酸素・フリーラジカルなどにより酸化されて過酸化脂質となります。過酸化脂質は細胞に障害を与えることが知られており、その結果として、炎症や色素沈着等による皮膚老化の原因になると考えられています。
脂質過酸化抑制作用により、過酸化脂質による皮膚に対する障害を軽減できると考えられます。

・コラゲナーゼ活性阻害作用
コラーゲンは、皮膚(真皮)に多量に存在し、組織を構成する重要なタンパク質です。また加齢に伴って減少することも知られており、これを分解する酵素がコラゲナーゼです。このコラゲナーゼの酵素作用を抑制することにより、コラーゲンの減少を抑制することが期待されます。

・ヒアルロニダーゼ活性阻害作用
ヒアルロン酸は、皮膚(真皮)に多く存在し、水分保持や細胞どうしのクッション剤として作用している重要な成分(複合糖質)です。真皮中のヒアルロン酸含量が多いほど皮膚組織の水分量が多いとも言われ、これも加齢に伴って減少することが知られています。ヒアルロニダーゼとはこれを分解する酵素のことです。このヒアルロニダーゼの酵素作用を抑制することにより、ヒアルロン酸の減少を抑制することが期待されます。