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PROJECT STORY | ニチレイロジグループ

冷食メーカー
三社物流共同化

今やロジスティクスは企業経営や事業運営における重要な取組テーマとして認識されている。その中で企業の物流部門や物流業者はコスト削減や複雑な配送実務の集約、管理実務の精度向上などが求められるようになってきている。このストーリーでは、そうした物流課題の解決にあたり、物流共同化を切り口として同業他社との協業を含む革新的なアプローチで臨み、成功を収めた現在進行形のプロジェクトを紹介する。

MEMBERこのプロジェクトに登場する社員

  • 松下 雄介

    松下 雄介

    1999年入社

    株式会社ロジスティクス・ネットワーク
    営業開発部営業開発グループ

掲載の仕事内容、所属は取材当時のものです。

01 近年の企業・事業運営の重要テーマ、ロジスティクス。

プロジェクトの様子

食品メーカーは、製造した自社商品を、スーパーなど小売店舗で販売することで収益をあげている。当然そこには、工場から店舗現場に至るまでの“ロジスティクス”が不可欠である。
しかしながら、こんにちのロジスティクスは極めて複雑になっている。
食品卸や小売・外食の物流センター等の納品先は全国に所在し、納品先の規模や取り扱う商品によって需要の大きさもまちまち。また、納品のサイクルも納品先によって様々である。さらにはニチレイフーズが販売しているような冷凍食品であれば、輸送中・保管中における温度管理も課題となる。また物流機能は専門業者に業務委託することが一般的で、そこには管理の問題も発生する。ロジスティクスは、そもそも軍事用語であったことに象徴されるように、まさに“戦略”なのである。
ニチレイにおいてもロジスティクスを専門に取り組むグループ会社が存在する。それがニチレイロジグループであり、国内拠点数114拠点、日々4000台もの輸送車両を運行させ、5000以上にものぼるお客様へ商品をお届けしている。海外にも、欧州を中心に12か国に展開。
松下が、ニチレイロジグループの門を叩いたのは、就職において食品関係の企業を志望していたことと、大学時代に経験した、あるビールメーカーのビールの鮮度管理を追求するために購買から生産・物流の全工程を見直してSCMを構築した事例を学ぶプログラムがきっかけとなってロジスティクスに興味を抱いたからである。

02 ブラックボックス化する課題点と、プロジェクト発足。

プロジェクトの様子

プロジェクト発足前の状況を振り返る。
ニチレイフーズを含む冷食メーカー三社は、各社それぞれグループ内にロジスティクス事業会社を有し、商品の流通にあてていた。各メーカーは個別に物流の最適化を図っていたものの、メーカー単独での物流の効率化には限界があり、非効率。コスト削減。煩雑な管理。など、様々な課題点を各社は抱えたままでいた。
冷食メーカーにおける共同配送は物量が少ないエリアを中心に以前より取り組まれていたが、特定の物流業者に共同配送の業務を委託した場合、委託した時点ではコストダウンするものの、その後の改善が進まなくなることが各社共通の懸念事項だった。
中でも最大の課題は「運営状況がブラックボックス化している」ことであった。すなわち、外部の業者に物流の運営や管理を丸投げしてしまっている状態などが要因で、改善のためにどこにメスを入れていいのかすら、見えない状況だったのだ。
このような課題のほか、各社物流ネットワークの再編等もあり、新規エリアの検討は中断していた。
前述の状況から、各社は“専門家”の視点から、客観的に課題解決にアプローチできる存在を求めていた。そこで白羽の矢が立ったのが、ニチレイロジグループだった。
2012年からプロジェクトに参加した松下は、物流センターでの業務、ロジスティクスプランナーとしての企画業務などから、現場の実際とロジスティクスの企画や運用などを幅広く身につけてきた人材だ。

03 違いを乗り越え、目的の地へ向かう。

プロジェクトの様子

プロジェクト自体は2006年からスタートし、ニチレイフーズを含む冷食メーカー三社が参加。ニチレイロジグループは、客観的な立場から物流とその仕組みの再構築を提案する物流共同化コーディネーターとしての役割を担った。プロジェクトは対象となるエリアの現状把握から着手し、最適なロジスティクスのネットワークの再構築を目指した 。メーカーの枠を超えて、何がお客様(食品卸など)への安定供給にとって最適なのか、どのようにすれば効率化できコスト削減できるのか、どのようにすれば現状を把握できるのか、を考え実施した。
最初のステップとして、四国エリアにおける配送の共同化が目指された。三社が持つ物流拠点-冷蔵倉庫、物流センターなどを集約し、配送ルートを再構築。さらに三社が持つ系列の運送会社の車両を適宜配分して、共同配送の仕組みを構築、2007年には実稼働がスタートした。
その後も、中国地方まで運用エリアを拡大することを目指し、プロジェクトは継続された。プロジェクトを実際に稼働させて明らかとなった課題もあった。
目的実現のための手段、例えば運送における商品管理の仕方、物流業者と各社との契約のありよう、各社と納品先との契約もしかり・・・要するに、各社それぞれの“事情”があり、それらが理由で企画した仕組みの実現が阻まれることもあった。
松下のプロジェクトメンバーとしての役割は、そのあたりの調整からはじまった。
プロジェクト参加各社のもとへ足を運び、事情を聞く。社に戻れば、共同配送によるロジスティクスの効率化・見える化という本来の目的を踏まえつつ、最適と信じるプランを練る。時には、各社の風土、担当者の気質の違いなども頭に入れ、プランを検討した。

04 次のステージを目指す、共同配送プロジェクト。

プロジェクトの様子

ニチレイロジグループがプロジェクトに存在する意義は、潤滑油の役割や、行き先を示すことだけではない。
これまで、各社のロジスティクスに対する取り組みは、一度やり方を決めたら、後はそれが問題なく機能すれば良し、となりがち。しかし、ロジスティクスを取り巻く環境は、常に変わり続けている。
現に、当プロジェクトそのものも、当初は効率化やコスト削減、課題の見える化などが優先順位の高い課題であった。しかし近年、物流業界最大の課題と言えば“人手不足”。すなわち、ドライバー不足が、商品の安定供給という根幹の部分を揺るがせ始めているのだ。
ただ、プロジェクトは現在、各社が“違い”を乗り越えて歩み寄り、コストや効率化など結果も表れはじめ、次のステップのためには何をなすべきかも見えてきている。プロジェクト参加各社には、前向きな推進ムードが醸成されている。プロジェクトの状況を耳にして、参入を検討する企業からの問い合わせも入りはじめている。
松下自身も、現在がゴールとは当然考えていない。プロジェクト参加企業の数が増えれば、もっと大胆な効率化への手が打てるかもしれない。何より商品の安定供給の幅が広がる。対象地域も、もっともっと広げていきたい。
物流共同化プロジェクトは、次のステージを目指している。