安全・安心な食の知識 ノロウイルス3つの予防法
STOP! 食中毒講座

毎日の家庭の食事の中にも、実は、食中毒のリスクが潜んでいます。
食品工場の衛生管理も含めた品質管理を経験してきたニチレイフーズ 国内品質管理グループの田中修一郎が、
その知識と経験を生かして、家庭での食中毒予防ポイントをアドバイスします。

1.洗い流す

手に付いたウイルスが口に入って感染するケースが多い、ノロウイルス。そこで、外出後やトイレ後、調理や食事の前などにしっかり石けんで手を洗うことが重要です(手洗いの方法はこちらも参考にしてください)。 石けんには殺菌効果はありませんが、手に付いた脂などの汚れを浮かせて洗い流す効果があるため、ウイルスも一緒に洗い流せます。

2.加熱して死滅させる

ノロウイルスは、しっかり加熱すれば死滅させることができます。
ただし、他の食中毒菌と比べると少し熱に強く、厚生労働省は、「ノロウイルスの汚染のおそれのある二枚貝などの食品の場合は、中心部が85℃~90℃で90秒以上の加熱」(※)を推奨しています。

3.薬剤で死滅させる

ノロウイルスの殺菌に効果が確認されているのは、次亜塩素酸ナトリウムです。ノロウイルス患者の嘔吐(おうと)物や排泄物が付いた床や服、リネン類、食器などの殺菌には、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使用しましょう(市販の塩素系漂白剤を薄めてつくれます)。 ただし、この液で手などを消毒すると手荒れにつながり、荒れた部分にノロウイルスなどが入り込んで逆効果になることがありますので、避けましょう。

お母さん

なるほど。3つの予防方法が大事なのね!

田中先生

はい。ただし、ノロウイルスは完全に防ぐのは難しいと言われています。
特定の食品との関わりが深い他の食中毒と比べて、ノロウイルスは二次感染が多く、ノロウイルスによる食中毒の約7割は、感染ルートなど原因が不明です。
そのため、お子様が感染してしまったときなどに備えて、感染を広げない対処のポイントを覚えておくといいですよ。食品工場でも、常に万一に備えて消毒液などの準備をしています。

食品工場でのノロウイルス対策

田中先生

食品工場では、以下のような対策を組み合わせて、ノロウイルスによる製品汚染を防いでいます。

  • 手洗いを徹底する(通常の食中毒菌よりも少ない菌数で発症することなど、ノロウイルスの特徴を意識する)
  • 製造ラインに入るときには必ず使い捨てゴム手袋を着用
  • ゴム手袋を次亜塩素酸ナトリウム水溶液で消毒する
  • 原材料の安全確認を徹底する(原材料を製造する会社への指導など)
  • 製造ラインに入るスタッフの健康管理を徹底する
  • 万一の際に備えて、工場内に次亜塩素酸ナトリウム水溶液など、処理に必要な備品を備えておく

★ STOP! 食中毒クイズ★

Q

外出先でトイレを借りました。
気を付けることはABどちら?

  • A
    トイレの個室のドアには、素手で触らない
  • B
    手を洗った後は、出入り口のドアに素手で触らない
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正解は B

外出時に、小売店や飲食店、公共施設などでトイレを借りることがありますね。商業施設や公共の場ではさまざまな人が利用しますから、ノロウイルスの保菌者がドアや蛇口などに触った可能性があります。もちろん、トイレを済ませた後にはていねいに手を洗うと思いますが、盲点になりがちなのが、手を洗った後に外に出るときの出入り口のドア。特にトイレから出た後に店舗内で食品を買って、さっき手を洗ったからとそのまま食べることも多いですね。ドアにノロウイルスが付いていれば、そこに触った手から食品を介して口に入ってしまうことになります。

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2022年1月24日