氷の実験室 温度はどうなる?
気化熱の「冷やす力」(2)
もともとニチレイは氷屋さんでした。
氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。
「気化熱」のパワーを計ってみよう!
気化熱で、温度は実際にどれくらい下がるのでしょうか?温度計を使って測定してみましょう。
また、水とアルコールでは、効果に違いがあるでしょうか。
水の気化熱で、温度はどれくらい下がる?
用意するもの
- 温度計 2本
- ガーゼ
- 水(室温にしておく)

手順
- 1. 温度計を2本用意します。
- 2. 1本はそのまま(a)、もう1本には室温の水で濡らしたガーゼを巻きます(b)。
- 3. 数分そのまま置いて観察してみましょう。
予想
2本の温度計の目盛りはどうなっているでしょうか?
-
A
水は室温だから、どちらの温度計も同じ温度をさす
-
B
(a)の温度計のほうが、(b)の温度計より低い温度をさす
-
C
(b)の温度計のほうが、(a)の温度計より低い温度をさす
- 答え
-
C (b)の温度計のほうが、 (a)の温度計より低い温度をさす
水で濡らしたガーゼを巻いた温度計は、水が蒸発するときに熱を奪われ、その分だけ温度が下がります。どれくらい下がるかは、そのときの気温や湿度によって変わります。気温が高く湿度が低いほうが水は蒸発しやすいので、2本の温度計の差は大きくなります。
写真の実験時は、約6℃の差ができました。下がった6℃分は気化熱の効果です。
どっちが冷える?水VSアルコール
用意するもの
- 温度計 2本
- ガーゼ
- 水(室温にしておく)
- 消毒用アルコール(エタノール)

手順
- 1. 温度計を2本用意します。
- 2. 1本には水で濡らしたガーゼを巻き(c)、もう1本には消毒用アルコール(エタノール)で濡らしたガーゼを巻きます(d)。
- 3. 数分そのまま置いて観察してみましょう。
予想
2本の温度計の目盛りはどうなっているでしょうか?
-
A
水は室温だから、どちらの温度計も同じ温度をさす
-
B
(c)の温度計のほうが、(d)の温度計より低い温度をさす
-
C
(d)の温度計のほうが、(c)の温度計より低い温度をさす
- 答え
-
C (d)の温度計のほうが、 (c)の温度計より低い温度をさす
水とアルコールを肌につけてみると、アルコールのほうがヒンヤリ感を強く感じますね。その体感と実験は同じ結果になり、写真の実験時には、水よりアルコール(エタノール80%の消毒用アルコールを使用)のほうが、約4℃低くなりました。
では、気化熱はアルコール(エタノール)のほうが水よりも大きいのでしょうか。
それぞれの気化熱(※)の値を調べてみると、エタノールは838kJ/kg 、水は2257kJ/kg 。気化熱は水のほうが大きいのに、なぜアルコールのほうが冷やす力が大きいのでしょうか。それは、アルコールのほうが蒸発しやすい性質だからです。同じ量の水とアルコールが蒸発するときに奪う熱は水のほうが大きくても、アルコールのほうが速くたくさん蒸発するので、結果的に冷やす力は大きくなるのですね。

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。
非営利目的での複製・転載などについてのご要望は、以下からお問い合わせ下さい。
2022年1月24日