氷の実験室 扇風機の前に置いた氷のとけ方
熱の運ばれ方と氷の溶け方の関係(1)

もともとニチレイは氷屋さんでした。
氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

ロジロジくん

毎日暑いねー。扇風機をつけて、アイス食べよう。

レイちゃん

風が気持ちいいねー。アイスも冷たくておいしい!

ロジロジくん

あれ、でも、なんだかアイスが速くとけるような…?

レイちゃん

でも、扇風機に当たってると涼しく感じるんだから、アイスもとけにくいはずじゃない?!

レイちゃんとロジロジくん

教えて、氷博士!

やってみよう!

実験9-1

扇風機の前に置いた氷のとけ方を見てみよう

扇風機の前の風の当たるところに置いた氷と、風の当たらないところに置いた氷のとけ方の違いを比べてみましょう。

用意するもの

  • 同じ大きさの氷 2つ
  • 同じ形の皿 2つ
  • 扇風機
レイちゃんとロジロジくん

手順

  • 1. 冷凍庫から同じ大きさの氷を2つ出して、同じ形の皿に入れます。
  • 2. 1つを扇風機の前に、もう1つは風の当たらないところに置きます。
  • 3. どちらが早くとけるか、とけ方を観察してみましょう。

予想

どちらが早くとけるか、とけ方を観察してみましょう。

  • A

    扇風機の前の氷(a)が速くとける

  • B

    風の当たらない方の氷(b)が速くとける

  • C

    どちらの氷もとける速さは同じ

答え

A 扇風機の前の氷(a)が速くとける

(a)は40分弱後に、(b)は約1時間15分後にとけきりました。

2つの氷の変化を時間を追ってみてみましょう。
(気温約31℃、200ccの水でつくった氷で実験しました)

5分後

扇風機の前に置いた(a)は、すでにとけはじめています。風の当たらない(b)は、まだ見た目はあまり変わりません。

10分後

(a)は、扇風機の風が当たる面(写真上方向)からとけ進んでいる感じです。(b)も表面がとけてきて全体に濡れたようになっています。

15分後

(a)は、だいぶ形が変わってきました。(b)は、まだもとの四角形を保っています。

20分後

皿の中にとけた水が溜まり、(a)は水につかっている下の部分がだいぶとけて薄くなっています。

25分後

(a)はどんどん小さくなり、それに比べて(b)は、変化が少ない感じです。

30分後

(a)は薄く小さくなってきました。

35分後

(a)はとうとう、タテ2cmくらいの小さなかけらになってしまいました。(b)は、まだまだがんばっています。

50分後

まだまだがんばります。

1時間後

だいぶ薄くなってきました。

1時間10分後

ようやく3~4cmのかけらになりました。とけきるまでもう少し!

氷博士

人は風に当たると涼しく感じるのに、なぜ氷は風に当たった方が速くとけるのでしょう。これは、人の肌と周りの空気、氷と周りの空気の温度差の違いによります。
2つの物が触れ合っている場合、熱は、温度が高い方から低い方へと移動します。
また、2つの温度差が大きいほど熱は移動しやすくなります。
体温が気温より高い場合、人の肌から周りの空気へと、熱が移動します。風が吹くと、その少し暖まった空気が運び去られて、新たに温度の低い空気が肌の周りにやってきます。これを繰り返すので、風に当たると涼しく感じるのです。
それに対して氷の場合は、空気のほうが氷より温度が高いので、熱は空気から氷へと移動します。風が吹くと、少し温度の低くなった空気が運び去られて、温度の高い空気が氷の周りにやってきます。そのため、氷には熱がどんどん移動して速くとけるのです。
ちなみに、自転車で走りながらアイスを食べるのは、もちろん危険ですから絶対にやってはいけませんが、走って起こる風のせいで、アイスのとけ方も、止って食べるより速くなります。ちゃんと味わうためにも、止って食べましょうね。

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。
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2022年1月24日