ニチレイから、いま伝えたい食にまつわる
よもやま話が集まって、ひとつの「こおらす」奏でます

<第8回> 熱の運ばれ方と氷の溶け方の関係

氷の実験室

ニチレイのルーツをさかのぼると、明治時代に設立されたふたつの製氷会社にたどりつきます。この二社はその後合併し、全国のたくさんの製氷会社を吸収して段々大きくなっていきました。もともとニチレイは氷屋さんだったということになります。今もグループの中には 株式会社ニチレイアイス という会社があって、大手の製氷メーカーです。

氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

石井寛崇
(いしい・ひろたか)

ニチレイ 技術戦略企画部基盤研究グループ
冷凍食品のおいしさにも深く関わる氷について、日々研究を重ねている。

レイちゃんとロジロジくん
ニチレイロジグループのキャラクター

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。非営利目的での複製・転載などについてご希望がある場合は、株式会社ニチレイ広報IR部( irinfo@nichirei.co.jp )までご連絡ください。

目次

(1)氷の「重さ」を考える
実験1 氷は水に沈む?浮かぶ?
実験2 水と氷の体積変化と重さ比べ
実験2-1 食用油を凍らせてみよう
実験2-2 水と氷と油の重さ比べ
(2)氷の温度を知ろう
実験3 氷の温度を測ってみよう
(3)氷と温度変化
実験4 0℃の氷と100℃のお湯を混ぜると何℃になる?
(4)いろいろな液体を凍らせてみよう
実験5-1 濃さの違うシロップ水の凍り方比べ
実験5-2 食塩水と砂糖水の凍り方比べ
(5)凍り方の不思議
実験6-1 色つき水の凍り方を調べよう
実験6-2 水が凍る瞬間を見てみよう
(6)とけ方で氷を見分けよう
実験7 どの氷が早くとける?
(7)電子レンジで氷をとかすと…
実験8-1 氷を電子レンジにかけるとどうなる?
実験8-2 氷と水を同時に電子レンジにかけるとどうなる?
(8)熱の運ばれ方と氷の溶け方の関係
実験9-1 扇風機の前に置いた氷のとけ方を見てみよう
実験9-2 風が強いと氷は速くとける?
(9)「気化熱」を体感しよう!
実験10-1 濡らしたタオルを振り回すと冷える?
実験10-2 お湯を霧状にまくと冷える?
(10)「気化熱」のパワーを計ってみよう!
実験11-1 水の気化熱で温度はどれくらい下がる?
実験11-2 どっちが冷える?水vsアルコール
(11)気化熱パワーを利用して「エコ冷蔵庫」をつくろう
実験12-1 素焼き植木鉢で「エコ冷蔵庫」をつくろう
実験12-2 「エコ冷蔵庫」をパワーアップさせよう

毎日暑いねー。扇風機をつけて、アイス食べよう。

風が気持ちいいねー。アイスも冷たくておいしい!

あれ、でも、なんだかアイスが速くとけるような…?

でも、扇風機に当たってると涼しく感じるんだから、アイスもとけにくいはずじゃない?

教えて、氷博士!

やってみよう!

実験9-1 扇風機の前に置いた氷のとけ方を見てみよう

扇風機の前の風の当たるところに置いた氷と、風の当たらないところに置いた氷のとけ方の違いを比べてみましょう。

扇風機あり

扇風機なし

用意するもの

同じ大きさの氷 2つ

同じ形の皿 2つ

扇風機

手順
  • 1.冷凍庫から同じ大きさの氷を2つ出して、同じ形の皿に入れます。
  • 2.1つを扇風機の前に、もう1つは風の当たらないところに置きます。
  • 3.どちらが早くとけるか、とけ方を観察してみましょう。
予想

実験9-1の結果を予想してみましょう。

  • A.扇風機の前の氷(a)が速くとける
  • B.風の当たらない方の氷(b)が速くとける
  • C.どちらの氷もとける速さは同じ

答え

人は風に当たると涼しく感じるのに、なぜ氷は風に当たった方が速くとけるのでしょう。これは、人の肌と周りの空気、氷と周りの空気の温度差の違いによります。
2つの物が触れ合っている場合、熱は、温度が高い方から低い方へと移動します。
また、2つの温度差が大きいほど熱は移動しやすくなります。
体温が気温より高い場合、人の肌から周りの空気へと、熱が移動します。風が吹くと、その少し暖まった空気が運び去られて、新たに温度の低い空気が肌の周りにやってきます。これを繰り返すので、風に当たると涼しく感じるのです。
それに対して氷の場合は、空気のほうが氷より温度が高いので、熱は空気から氷へと移動します。風が吹くと、少し温度の低くなった空気が運び去られて、温度の高い空気が氷の周りにやってきます。そのため、氷には熱がどんどん移動して速くとけるのです。
ちなみに、自転車で走りながらアイスを食べるのは、もちろん危険ですから絶対にやってはいけませんが、走って起こる風のせいで、アイスのとけ方も、止って食べるより速くなります。ちゃんと味わうためにも、止って食べましょうね。

熱が速く運ばれると、氷が早くとけるなら、風を強くしたらもっと速くとけるのかな?

やってみよう!

実験9-2 風が強いと氷は速くとける?

用意するもの

同じ大きさの氷 2つ

同じ形の皿 2つ

扇風機

手順
  • 1.冷凍庫から出した氷(c)を皿に入れ、扇風機の風力を「弱」にして前に置きます。どれくらいの時間でとけるか、時間を計りながら観察しましょう。
  • 2.次に、もう一つの氷(d)を冷蔵庫から出して、扇風機の風力を「強」にして前に置きます。1と同じように観察しましょう。
    (c)と(d)どちらが速くとけたでしょうか。
    ※氷への風の当たる向きなどが変わると、風力の違いの効果がわかりにくくなります。
    扇風機の向きや位置、氷を入れた皿を置く位置などは1と2で変えないように注意してください。

答え

扇風機の風力を上げる、つまり氷に触れる空気の流れが速くなると、一定時間当たりに氷に与えられる熱も多くなります。それで、風力を「強」にした方が速くとけたのですね。
このような風と熱の関係は、冷凍食品の製造にも利用されています。食品を凍らせるときには、なるべく速く凍らせることで、鮮度、風味、食感を維持することができ、冷凍前の美味しさや品質を解凍時に再現することができます。そのため、工場で冷凍食品をつくるときには、単に温度を下げるだけでなく、凍らせたい食品に低温の風を吹きつけているのです。

非営利目的での複製・転載などについてご希望がある場合は、株式会社ニチレイ広報IR部
irinfo@nichirei.co.jp)までご連絡ください。

2015.08.24 更新

関連記事