ニチレイから、いま伝えたい食にまつわる
よもやま話が集まって、ひとつの「こおらす」奏でます

<第4回> いろいろな液体を凍らせてみよう―凝固点降下の実験―

氷の実験室

ニチレイのルーツをさかのぼると、明治時代に設立されたふたつの製氷会社にたどりつきます。この二社はその後合併し、全国のたくさんの製氷会社を吸収して段々大きくなっていきました。もともとニチレイは氷屋さんだったということになります。今もグループの中には 株式会社ニチレイアイス という会社があって、大手の製氷メーカーです。

氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

石井寛崇
(いしい・ひろたか)

ニチレイ 技術戦略企画部基盤研究グループ
冷凍食品のおいしさにも深く関わる氷について、日々研究を重ねている。

レイちゃんとロジロジくん
ニチレイロジグループのキャラクター

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。非営利目的での複製・転載などについてご希望がある場合は、株式会社ニチレイ広報部( irinfo@nichirei.co.jp )までご連絡ください。

目次

(1)氷の「重さ」を考える
実験1 氷は水に沈む?浮かぶ?
実験2 水と氷の体積変化と重さ比べ
実験2-1 食用油を凍らせてみよう
実験2-2 水と氷と油の重さ比べ
(2)氷の温度を知ろう
実験3 氷の温度を測ってみよう
(3)氷と温度変化
実験4 0℃の氷と100℃のお湯を混ぜると何℃になる?
(4)いろいろな液体を凍らせてみよう
実験5-1 濃さの違うシロップ水の凍り方比べ
実験5-2 食塩水と砂糖水の凍り方比べ
(5)凍り方の不思議
実験6-1 色つき水の凍り方を調べよう
実験6-2 水が凍る瞬間を見てみよう
(6)とけ方で氷を見分けよう
実験7 どの氷が早くとける?
(7)電子レンジで氷をとかすと…
実験8-1 氷を電子レンジにかけるとどうなる?
実験8-2 氷と水を同時に電子レンジにかけるとどうなる?
(8)熱の運ばれ方と氷の溶け方の関係
実験9-1 扇風機の前に置いた氷のとけ方を見てみよう
実験9-2 風が強いと氷は速くとける?
(9)「気化熱」を体感しよう!
実験10-1 濡らしたタオルを振り回すと冷える?
実験10-2 お湯を霧状にまくと冷える?
(10)「気化熱」のパワーを計ってみよう!
実験11-1 水の気化熱で温度はどれくらい下がる?
実験11-2 どっちが冷える?水vsアルコール
(11)気化熱パワーを利用して「エコ冷蔵庫」をつくろう
実験12-1 素焼き植木鉢で「エコ冷蔵庫」をつくろう
実験12-2 「エコ冷蔵庫」をパワーアップさせよう

明日はピクニック!飲み物のペットボトルを凍らせて、持っていこう。

あれ!水のペットボトルはカチカチに凍っているのに、ジュースはまだ凍りきっていないよ。

水とジュースでは凍り方が違うのかな。

やってみよう!

実験5-1 濃さの違うシロップ水の凍り方比べ

用意するもの
かき氷シロップ、水
試験管など同じ形の透明容器3つ
氷、食塩
氷を入れるボウルなどの容器
温度計
手順
1. 試験管など透明容器3つに、(A)水、(B)かき氷シロップと水を1:3で混ぜたもの(薄いシロップ水)、(C)かき氷シロップと水を1:1で混ぜたもの(濃いシロップ水)を、同量ずつ入れます。
2. 氷をボウルに7分目くらいの高さまで入れ、氷の重さの1/3くらいの量の食塩を振りかけて混ぜます。ボウルの中に温度計を入れ、温度を測ります。
3. 2のボウルの中はどんどん温度が下がっていきます。(A)~(C)の入った透明容器をその中に入れて、冷やします。
(→※ 実験ちょっと失敗編(1)「うまく冷えない」
4. (A)~(C)の透明容器の中をかき混ぜながら温度を測り、凍り始めたときの温度や凍り方を観察しましょう。
(→※ 実験ちょっと失敗編(2)「凍るのが速過ぎる」
(→※ 実験ちょっと失敗編(3)「水が0℃で凍らない!?」
予想
実験5-1の結果を予想してみましょう。
A. 全部同じ温度で凍る
B. (A)水、(B)薄いシロップ水、(C)濃いシロップ水の順に、凍る温度が低くなる
C. (A)水、(B)薄いシロップ水、(C)濃いシロップ水の順に、凍る温度が高くなる
D. 全部同じ温度で凍り始めるが、(C)濃いシロップ水がゆっくり凍る

答え B.(A)水、(B)薄いシロップ水、(C)濃いシロップ水の順に、凍る温度が低くなる かき混ぜながら凍らせていくと、(A)水は0℃で凍り始め、徐々に凍っていく間は0℃のままなのが観察できます。(B)薄いシロップ水は、凍り始めの温度が水より少し低くなります(シロップの種類などによっても違いますが、今回の実験では約-1.5℃でした)。(C)濃いシロップ水は、凍り始めの温度が(B)よりさらに低い温度になります(今回の実験では約-3.3℃でした)。

実験ちょっと失敗編(1) 「うまく冷えない」

うーん、何だかうまく冷えない・・・。

使う氷は、大きなかち割り氷より、粒が小さめの方が均一によく冷えますよ。小さめの氷がないときは、かき氷機でかいたりアイスピックで砕いたりして使いましょう。

実験ちょっと失敗編(2)  「凍るのが速過ぎる」

わっ、あっという間に凍っちゃって、うまく温度が測れなかった!

温度が低くなり過ぎていましたね。氷と食塩を混ぜると、最大で-21.2℃まで温度が下がるのです。この実験では-10℃くらいになればいいので、ボウルの中の温度が下がり過ぎたら、水を少しずつ入れて温度を調節するといいですね。

実験ちょっと失敗編(3)  「水が0℃で凍らない!?」

あっ!しばらくかき混ぜるのをサボっていたら、(A)水の温度が0℃より低くなってる!!水は0℃で凍るんじゃないの!?

水の凝固点(凍る温度)は0℃なのですが、実は、0℃になったら必ず凍るというわけではないんです。水が凍らないまま0℃より温度が低くなる現象を「過冷却」といいます。ロジロジくん、その水の容器に氷のかけらを入れるか、軽くかき混ぜてみてください。

うわ、すごい!一気に凍っちゃった!

「過冷却」の状態をわざとつくることで、水が凍る瞬間を見ることができますよ。詳しくは、第5回「凍り方の不思議」の実験6-2「水が凍る瞬間を見てみよう」を見てください。

濃いシロップ水の方が、低い温度にならないと凍らないんだね。

凍る温度を変えるのは、濃さだけなのかな?

やってみよう!

実験5-2 食塩水と砂糖水の凍り方比べ

用意するもの
水100gに食塩10gを溶かした食塩水(A)
水100gに砂糖10gを溶かした砂糖水(B)
試験管など同じ形の透明容器2つ
氷、塩
氷を入れるボウルなどの容器
温度計
手順
1. 試験管などの透明容器2つに、(A)と(B)を同量ずつ入れます。
2. 氷をボウルに7分目くらいの高さまで入れ、氷の重さの1/3くらいの量の塩を振りかけて混ぜます。ボウルの中に温度計を入れ、温度を測ります。
3. 2のボウルの中はどんどん温度が下がっていきます。(A)、(B)の入った透明容器をその中に入れて、冷やします。
4. (A)、(B)の入った透明容器の中をかき混ぜながら温度を測り、凍り始めときの温度や凍り方を観察しましょう。食塩水と砂糖水では凍る温度は変わるかな?
予想
実験5-2の結果を予想してみましょう。
A. 食塩水(A)も砂糖水(B)も同じ温度で凍る
B. 食塩水(A)が砂糖水(B)よりも高い温度で凍る
C. 食塩水(A)が砂糖水(B)よりも低い温度で凍る

C.食塩水(A)が砂糖水(B)よりも低い温度で凍る 同じ濃度の水溶液でも、溶けているものによって、凍る温度は変わります。同じ濃度の食塩水と砂糖水では、食塩水の方がかなり低い温度にならないと凍りません。この実験の場合は、砂糖水は約-0.7℃で凍ったのに対して、食塩水は約-5.6℃で凍りました。

どうして、水に溶けているものや濃さによって凍る温度が違うの?

教えて!氷博士!

教えて!氷博士6 水にいろいろなものが溶けていると、どうして凍る温度が低くなるの?

水に溶けている物質の粒で、水分子どうしが結びつきにくくなるのです

水に砂糖などの不揮発性の物質を溶かすと、水溶液が凍る温度(凝固点)は0℃よりも低くなります。この現象を凝固点降下といいます。水が凍るときは水分子同士が結びついて氷になります。ところが、水溶液の場合、水に溶けている物質の粒がじゃまをして、水分子同士が結びつきにくい状態になっています。このため、水溶液を凍らせるには0℃よりも温度を低くする必要があるのです。水に溶けている物質の粒の数が多いほど、水溶液の凝固点は低くなります。
さらに、実験5-2では食塩水と砂糖水は同じ濃さなのに、食塩水の方がより低い温度で凍りました。これは、食塩と砂糖の粒のつくりの違いが関係しています。食塩と砂糖が水に溶けたときの粒の様子は、図のように考えることができます。同じ質量の水に、食塩と砂糖をそれぞれ同じ質量だけ溶かすと、砂糖水よりも食塩水の方が、水に溶けている物質の粒の数が多くなります。このため、食塩水の方が、より低い温度で凍ったのです。

非営利目的での複製・転載などについてご希望がある場合は、株式会社ニチレイ広報部
irinfo@nichirei.co.jp)までご連絡ください。

2012.08.29 更新

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