氷の実験室 食塩水と砂糖水の凍り方
凝固点降下の実験(2)

もともとニチレイは氷屋さんでした。
氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

もっと知りたい!

ロジロジくん

濃いシロップ水の方が、低い温度にならないと凍らないんだね。

レイちゃん

凍る温度を変えるのは、濃さだけなのかな?

実験5-2

食塩水と砂糖水の凍り方比べ

用意するもの

  • 水100gに食塩10gを溶かした食塩水(A)
  • 水100gに砂糖10gを溶かした砂糖水(B)
  • 試験管など同じ形の透明容器2つ
  • 氷、塩
  • 氷を入れるボウルなどの容器
  • 温度計
レイちゃんとロジロジくん

手順

  • 1. 試験管などの透明容器2つに、(A)と(B)を同量ずつ入れます。
  • 2. 氷をボウルに7分目くらいの高さまで入れ、氷の重さの1/3くらいの量の塩を振りかけて混ぜます。ボウルの中に温度計を入れ、温度を測ります。
  • 3. 2のボウルの中はどんどん温度が下がっていきます。(A)、(B)の入った透明容器をその中に入れて、冷やします。
  • 4. (A)、(B)の入った透明容器の中をかき混ぜながら温度を測り、凍り始めときの温度や凍り方を観察しましょう。

予想

食塩水Aと砂糖水Bでは凍る温度は変わるでしょうか?

  • A

    A・Bどちらも同じ温度で凍る

  • B

    AがBよりも高い温度で凍る

  • C

    AがBよりも低い温度で凍る

答え

C 食塩水(A)が砂糖水(B)よりも低い温度で凍る

同じ濃度の水溶液でも、溶けているものによって、凍る温度は変わります。同じ濃度の食塩水と砂糖水では、食塩水の方がかなり低い温度にならないと凍りません。この実験の場合は、砂糖水は約-0.7℃で凍ったのに対して、食塩水は約-5.6℃で凍りました。

レイちゃん

どうして、水に溶けているものや濃さによって凍る温度が違うの?

ロジロジくん

教えて!氷博士!

氷博士

教えて!氷博士

水にいろいろなものが溶けていると、どうして凍る温度が低くなるの?
水に溶けている物質の粒で、水分子どうしが結びつきにくくなるのです。

水に砂糖などの不揮発性の物質を溶かすと、水溶液が凍る温度(凝固点)は0℃よりも低くなります。この現象を凝固点降下といいます。水が凍るときは水分子同士が結びついて氷になります。ところが、水溶液の場合、水に溶けている物質の粒がじゃまをして、水分子同士が結びつきにくい状態になっています。このため、水溶液を凍らせるには0℃よりも温度を低くする必要があるのです。水に溶けている物質の粒の数が多いほど、水溶液の凝固点は低くなります。
さらに、実験5-2では食塩水と砂糖水は同じ濃さなのに、食塩水の方がより低い温度で凍りました。これは、食塩と砂糖の粒のつくりの違いが関係しています。食塩と砂糖が水に溶けたときの粒の様子は、図のように考えることができます。同じ質量の水に、食塩と砂糖をそれぞれ同じ質量だけ溶かすと、砂糖水よりも食塩水の方が、水に溶けている物質の粒の数が多くなります。このため、食塩水の方が、より低い温度で凍ったのです。

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。
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2022年1月24日