氷の実験室 番外編
冷蔵庫探検隊 その2

もともとニチレイは氷屋さんでした。氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、
みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

氷博士

レイちゃん、ロジロジくん、こんにちは。この倉庫の中は-25℃なんですよ。

レイちゃんとロジロジくん

氷博士こんにちは! この倉庫の中、おうちの冷蔵庫より寒いの?

氷博士
家庭用冷蔵庫は冷蔵室が2℃から6℃、冷凍室は-20℃から-18℃

家庭の冷蔵庫は、冷蔵室が2℃~6℃くらい、冷凍室は-20℃~-18℃くらいなので、この倉庫の中は冷凍室より寒いですね。濡らしたタオルを振り回すと、すぐにカチカチに凍ってしまう温度です。
このセンターには、-20℃以下の倉庫が100部屋、-40℃の倉庫が1部屋あります。

レイちゃんとロジロジくん

どうやってそんなに低い温度まで冷やしているの?
ボクががんばっても、そんなに冷やせないよー。

氷博士

じゃあ、この冷蔵倉庫の心臓部を見にいきましょうか。

氷博士

これが、冷蔵倉庫の心臓部です。この装置1台で、4部屋(容量約2000トン)の冷蔵倉庫を冷やしているんですよ。

レイちゃん

黒い部分とグレーの部分があって、宇宙船みたい。カッコイイね!

氷博士

黒いのは断熱材のスポンジです。スポンジで覆われている装置の部分は、中がすごく冷たくなっています。そのままだと周りの空気中の水蒸気が凍り付いて装置に霜が付いてしまうので、スポンジで覆っているんです。

ロジロジくん

グレーの部分は、大丈夫なの?

氷博士

グレーの装置の中は、熱いんですよ。
一番熱いところでは80℃くらいになっています。

レイちゃん

えっ!冷やす装置なのに熱くなっているの!?

氷博士
家庭用冷蔵庫も熱を持っている

レイちゃんとロジロジくんは、おうちの冷蔵庫の裏側を見たことはありますか? 実は、おうちの冷蔵庫も裏側はかなり熱くなっているんですよ。

ロジロジくん

そういえば、「裏側は熱くなるから、壁にピッタリつけないで少し離して置いてね」って電気屋さんが言ってたよ。

氷博士

そうですね。簡単に言うと、冷却装置は、冷やしたいところ(例:冷蔵庫内)から熱をくみ上げて、その熱を運んで外に捨てるというサイクルになっています。
このサイクルはヒート(heat:熱)+ ポンプ(pump:くみ上げる)で「ヒートポンプサイクル」と呼ばれています。
冷蔵倉庫の冷却装置も家庭の冷蔵庫やエアコンも、みんなこの「ヒートポンプサイクル」を利用しているんですよ。

レイちゃん
家庭用冷蔵庫も熱を持っている

でも、熱は手で持てないよね。
どうやってくみ上げたり、運んだりしているの?

氷博士

熱の運び役となるのが「冷媒」です。
冷却装置の中では、冷媒がぐるぐると巡っているんです。冷媒には、アンモニアやフロン、二酸化炭素などの物質が使われてきました。
熱をくみ上げる原理は、液体が蒸発(気化)するときに周りから熱を奪う「気化熱」を利用しています。例えば、お風呂上がりに濡れたままでいると、体が冷えますね。あれは、体についた水滴が蒸発するときに、熱を奪っていくからです。扇風機などの風に当たると、水が蒸発しやすくなるので、もっと冷えます。
ほかにも、アルコールをしみこませた消毒綿で腕を拭くと、ヒンヤリしますね。アルコールは蒸発しやすいので、腕についたところからどんどん蒸発して熱を奪っていくのです。

氷博士

冷媒の移り変わり

冷蔵倉庫や家庭の冷蔵庫で冷媒として使用される物質は、時代によって変化しています。

昭和40年代には、ほとんどの冷蔵倉庫はアンモニアを冷媒として使用していました。
しかし、アンモニアには毒性や可燃性、臭いなどの問題があり、装置から漏れ出した場合に危険です。

そこで、昭和50年代になると、安定で人体に影響のないフロン22が冷媒に使用されるようになりました。ところが、このフロン22は大気中に放出されて成層圏に達するとオゾン層を破壊することがわかり、製造と使用が制限されるようになりました。そのため、オゾン層を破壊しない代替フロンが開発されたのですが、今度は、代替フロンは温室効果ガスとして地球温暖化に悪影響があることがわかりました。

現在は、地球温暖化など環境への影響の少ないことから、アンモニアや二酸化炭素が主に使用されています。アンモニア自体の危険性は変わりませんが、昭和40年代には1設備で数トン使用していたアンモニア量を、現在は数十キロまで減少。設備を小分けにして1設備で使う量を少なくしたり、二酸化炭素とアンモニアを組み合わせて使って装置の効率を高めるなどの工夫によって、万一設備に不具合があったときにも漏れ出るアンモニア量を抑え、外部への影響を少なくするようにしています。

なお、現在稼働している冷蔵倉庫の中には昭和50年代に建設された物もあり、フロン22が冷媒に使用されている設備もあります。ニチレイロジグループでは、毎月厳しい点検を行って、それらの設備からフロン22が大気中に漏れ出すことを極力抑えています。

微量のフロンも検知する検知器で、装置のつなぎ目など漏れる可能性のある場所をくまなくチェック

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。
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2022年1月24日