氷の実験室 「エコ冷蔵庫」をパワーアップさせよう
「エコ冷蔵庫」をつくろう!(3)

もともとニチレイは氷屋さんでした。
氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

実験11-2

「エコ冷蔵庫」をパワーアップさせよう

用意するもの

  • 素焼きの植木鉢 同じサイズのもの2コ、一回り大きいもの1コ
  • 温度計2本
レイちゃんとロジロジくん

手順

まずは、パワーアップ版の「エコ冷蔵庫」をつくります。

  • 1. サイズが一回り違う素焼きの植木鉢を2個用意します。
  • 2. 両方の植木鉢の穴を、防水テープなどでふさぎます。
  • 3. 大きい方の植木鉢の底に1~2cmの厚さに砂を入れます。
  • 4. 大きい植木鉢の中に、小さい植木鉢を入れます。
  • 5. 2つの植木鉢の間に砂を入れます。
  • 6. 間に入れた砂に水を注いで濡らします。

これで、パワーアップ「エコ冷蔵庫」の準備は完了です。

実験12-1で使った「濡らした植木鉢」(一重)と、パワーアップ「エコ冷蔵庫」(二重+砂)の冷やす力を 比べてみましょう。

  • 1. 濡らした植木鉢(一重)と、パワーアップ「エコ冷蔵庫」(二重+砂)の中に、それぞれ温度計を入れます。布でフタをして、風通しのいい日陰に置きます。
    ※暑い日にはコンクリートが熱をため込みやすいので、熱くなっているコンクリートの上には直に置かずに、日陰の棚などに置くのがおすすめです。
  • 2. それぞれの中の温度計を確かめてみましょう。温度はどうなるでしょう?
答え

実験結果

セットして30分後から、1時間おきに温度を測った結果、以下のようになりました。(この日の湿度は、午前中は50~60%、日中は40~45%、夕方は50%前後)

ロジロジくん

最初は、一重植木鉢の方が、パワーアップ版より少し温度が低くなってるよ。

氷博士

そうですね。この実験も3回ほどやってみたのですが、毎回、最初の30分~1時間くらいまでは一重の方が少しだけ温度が低くなっていました。

ロジロジくん

パワーアップ版の方が蒸発する水はたくさんあるのに、どうしてなんだろう?

氷博士

考えられる可能性としては、一重植木鉢は全体をしっかり濡らしたのですが、パワーアップ版は主に間の砂に水を注ぎました。それで、一重植木鉢の方が濡れた部分の表面積が大きいため、最初に多くの水が蒸発して、速く冷えるのかと思います。さらに、パワーアップ版は砂に常温の水が大量に含まれているので、まずはその水の温度を下げることに気化熱パワーが使われたということも考えられます。

レイちゃん

2時間くらい経つと、一重の方は温度が上がっていってるね。

氷博士

そうですね。植木鉢に含まれていた水が蒸発して少なくなると、気化熱の効果が小さくなるためと思います。重ねて間に砂を入れたパワーアップ版のほうが、水をたくさん含めるので、効果が長く続くのですね。
この「二重植木鉢+砂」の気化熱を利用したエコ冷蔵庫は、アフリカのナイジェリアで考案され、「ジーアポット」と呼ばれています。アフリカなどの暑くて乾燥している土地(乾季の湿度は10~20%程度)では、かなり冷やす効果が高くなり、電気の利用できない場所でも傷みやすい野菜などを長く保存できるそうです。

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。
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2022年1月24日