氷の実験室

コード

bcat02

氷の実験室 番外編
冷蔵庫探検隊 その3

もともとニチレイは氷屋さんでした。氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、
みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

ロジロジくん

確かにヒンヤリ涼しくなるよね。でも、それくらいでこんなに大きな冷蔵倉庫を冷やせるの?

氷博士

気化熱のパワーは、実は結構すごいんです。
身近なもので実験してみましょう。さらにいろいろな工夫をして「気化熱」のパワーを⾼めてつくったのが、冷蔵倉庫の冷却装置です。大きなマグロもカチカチに凍って⻑期保存できる、-60℃というような超低温の倉庫をつくることもできます。

レイちゃんとロジロジくん

気化熱ってすごいんだねー!

氷博士

冷却装置のしくみ

冷媒が気体になったり液体になったりしながら装置の中を巡ることで、
熱をポンプのようにくみ上げて運んでいます。

下図の①~④の数字をクリックすると、それぞれの装置の中で起こっていることが見られるよ。

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。
非営利目的での複製・転載などについてのご要望は、以下からお問い合わせ下さい。

2022年1月24日

圧縮して圧力を高めると、冷媒は摩擦熱で高温になります。
冷媒は冷却水に熱を放出して冷やされ液体になります。
膨張弁※から噴射されると、冷媒は低圧で細かい粒になります。
低圧で蒸発しやすい状態の冷媒は、冷蔵倉庫内の熱をうばって、気体になります(蒸発)。

氷の実験室 番外編
冷蔵庫探検隊 その2

もともとニチレイは氷屋さんでした。氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、
みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

氷博士

レイちゃん、ロジロジくん、こんにちは。この倉庫の中は-25℃なんですよ。

レイちゃんとロジロジくん

氷博士こんにちは! この倉庫の中、おうちの冷蔵庫より寒いの?

氷博士
家庭用冷蔵庫は冷蔵室が2℃から6℃、冷凍室は-20℃から-18℃

家庭の冷蔵庫は、冷蔵室が2℃~6℃くらい、冷凍室は-20℃~-18℃くらいなので、この倉庫の中は冷凍室より寒いですね。濡らしたタオルを振り回すと、すぐにカチカチに凍ってしまう温度です。
このセンターには、-20℃以下の倉庫が100部屋、-40℃の倉庫が1部屋あります。

レイちゃんとロジロジくん

どうやってそんなに低い温度まで冷やしているの?
ボクががんばっても、そんなに冷やせないよー。

氷博士

じゃあ、この冷蔵倉庫の心臓部を見にいきましょうか。

氷博士

これが、冷蔵倉庫の心臓部です。この装置1台で、4部屋(容量約2000トン)の冷蔵倉庫を冷やしているんですよ。

レイちゃん

黒い部分とグレーの部分があって、宇宙船みたい。カッコイイね!

氷博士

黒いのは断熱材のスポンジです。スポンジで覆われている装置の部分は、中がすごく冷たくなっています。そのままだと周りの空気中の水蒸気が凍り付いて装置に霜が付いてしまうので、スポンジで覆っているんです。

ロジロジくん

グレーの部分は、大丈夫なの?

氷博士

グレーの装置の中は、熱いんですよ。
一番熱いところでは80℃くらいになっています。

レイちゃん

えっ!冷やす装置なのに熱くなっているの!?

氷博士
家庭用冷蔵庫も熱を持っている

レイちゃんとロジロジくんは、おうちの冷蔵庫の裏側を見たことはありますか? 実は、おうちの冷蔵庫も裏側はかなり熱くなっているんですよ。

ロジロジくん

そういえば、「裏側は熱くなるから、壁にピッタリつけないで少し離して置いてね」って電気屋さんが言ってたよ。

氷博士

そうですね。簡単に言うと、冷却装置は、冷やしたいところ(例:冷蔵庫内)から熱をくみ上げて、その熱を運んで外に捨てるというサイクルになっています。
このサイクルはヒート(heat:熱)+ ポンプ(pump:くみ上げる)で「ヒートポンプサイクル」と呼ばれています。
冷蔵倉庫の冷却装置も家庭の冷蔵庫やエアコンも、みんなこの「ヒートポンプサイクル」を利用しているんですよ。

レイちゃん
家庭用冷蔵庫も熱を持っている

でも、熱は手で持てないよね。
どうやってくみ上げたり、運んだりしているの?

氷博士

熱の運び役となるのが「冷媒」です。
冷却装置の中では、冷媒がぐるぐると巡っているんです。冷媒には、アンモニアやフロン、二酸化炭素などの物質が使われてきました。
熱をくみ上げる原理は、液体が蒸発(気化)するときに周りから熱を奪う「気化熱」を利用しています。例えば、お風呂上がりに濡れたままでいると、体が冷えますね。あれは、体についた水滴が蒸発するときに、熱を奪っていくからです。扇風機などの風に当たると、水が蒸発しやすくなるので、もっと冷えます。
ほかにも、アルコールをしみこませた消毒綿で腕を拭くと、ヒンヤリしますね。アルコールは蒸発しやすいので、腕についたところからどんどん蒸発して熱を奪っていくのです。

氷博士

冷媒の移り変わり

冷蔵倉庫や家庭の冷蔵庫で冷媒として使用される物質は、時代によって変化しています。

昭和40年代には、ほとんどの冷蔵倉庫はアンモニアを冷媒として使用していました。
しかし、アンモニアには毒性や可燃性、臭いなどの問題があり、装置から漏れ出した場合に危険です。

そこで、昭和50年代になると、安定で人体に影響のないフロン22が冷媒に使用されるようになりました。ところが、このフロン22は大気中に放出されて成層圏に達するとオゾン層を破壊することがわかり、製造と使用が制限されるようになりました。そのため、オゾン層を破壊しない代替フロンが開発されたのですが、今度は、代替フロンは温室効果ガスとして地球温暖化に悪影響があることがわかりました。

現在は、地球温暖化など環境への影響の少ないことから、アンモニアや二酸化炭素が主に使用されています。アンモニア自体の危険性は変わりませんが、昭和40年代には1設備で数トン使用していたアンモニア量を、現在は数十キロまで減少。設備を小分けにして1設備で使う量を少なくしたり、二酸化炭素とアンモニアを組み合わせて使って装置の効率を高めるなどの工夫によって、万一設備に不具合があったときにも漏れ出るアンモニア量を抑え、外部への影響を少なくするようにしています。

なお、現在稼働している冷蔵倉庫の中には昭和50年代に建設された物もあり、フロン22が冷媒に使用されている設備もあります。ニチレイロジグループでは、毎月厳しい点検を行って、それらの設備からフロン22が大気中に漏れ出すことを極力抑えています。

微量のフロンも検知する検知器で、装置のつなぎ目など漏れる可能性のある場所をくまなくチェック

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2022年1月24日

氷の実験室 番外編
冷蔵庫探検隊 その1

もともとニチレイは氷屋さんでした。氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、
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雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

レイちゃんとロジロジくん

今日は、ニチレイロジグループの船橋物流センターに来ました!

レイちゃん

この中には、大きな冷蔵倉庫があるんだって

ロジロジくん

冷凍食品やアイスクリーム、冷凍の肉や魚がたくさん入っているんだよね。中はどんなふうになっているのかな。

レイちゃんとロジロジくん

広いねー。フォークリフトに乗った人たちがいっぱい荷物を運んでいるよ。

レイちゃんとロジロジくん

あっ、私たちの絵が付いたドアがある!入ってみよう。

レイちゃん

うわっ、寒い!!

ロジロジくん

冷凍食品がいっぱいだー!

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2022年1月24日

氷の実験室 「エコ冷蔵庫」をパワーアップさせよう
「エコ冷蔵庫」をつくろう!(3)

もともとニチレイは氷屋さんでした。
氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

実験11-2

「エコ冷蔵庫」をパワーアップさせよう

用意するもの

  • 素焼きの植木鉢 同じサイズのもの2コ、一回り大きいもの1コ
  • 温度計2本
レイちゃんとロジロジくん

手順

まずは、パワーアップ版の「エコ冷蔵庫」をつくります。

  • 1. サイズが一回り違う素焼きの植木鉢を2個用意します。
  • 2. 両方の植木鉢の穴を、防水テープなどでふさぎます。
  • 3. 大きい方の植木鉢の底に1~2cmの厚さに砂を入れます。
  • 4. 大きい植木鉢の中に、小さい植木鉢を入れます。
  • 5. 2つの植木鉢の間に砂を入れます。
  • 6. 間に入れた砂に水を注いで濡らします。

これで、パワーアップ「エコ冷蔵庫」の準備は完了です。

実験12-1で使った「濡らした植木鉢」(一重)と、パワーアップ「エコ冷蔵庫」(二重+砂)の冷やす力を 比べてみましょう。

  • 1. 濡らした植木鉢(一重)と、パワーアップ「エコ冷蔵庫」(二重+砂)の中に、それぞれ温度計を入れます。布でフタをして、風通しのいい日陰に置きます。
    ※暑い日にはコンクリートが熱をため込みやすいので、熱くなっているコンクリートの上には直に置かずに、日陰の棚などに置くのがおすすめです。
  • 2. それぞれの中の温度計を確かめてみましょう。温度はどうなるでしょう?
答え

実験結果

セットして30分後から、1時間おきに温度を測った結果、以下のようになりました。(この日の湿度は、午前中は50~60%、日中は40~45%、夕方は50%前後)

ロジロジくん

最初は、一重植木鉢の方が、パワーアップ版より少し温度が低くなってるよ。

氷博士

そうですね。この実験も3回ほどやってみたのですが、毎回、最初の30分~1時間くらいまでは一重の方が少しだけ温度が低くなっていました。

ロジロジくん

パワーアップ版の方が蒸発する水はたくさんあるのに、どうしてなんだろう?

氷博士

考えられる可能性としては、一重植木鉢は全体をしっかり濡らしたのですが、パワーアップ版は主に間の砂に水を注ぎました。それで、一重植木鉢の方が濡れた部分の表面積が大きいため、最初に多くの水が蒸発して、速く冷えるのかと思います。さらに、パワーアップ版は砂に常温の水が大量に含まれているので、まずはその水の温度を下げることに気化熱パワーが使われたということも考えられます。

レイちゃん

2時間くらい経つと、一重の方は温度が上がっていってるね。

氷博士

そうですね。植木鉢に含まれていた水が蒸発して少なくなると、気化熱の効果が小さくなるためと思います。重ねて間に砂を入れたパワーアップ版のほうが、水をたくさん含めるので、効果が長く続くのですね。
この「二重植木鉢+砂」の気化熱を利用したエコ冷蔵庫は、アフリカのナイジェリアで考案され、「ジーアポット」と呼ばれています。アフリカなどの暑くて乾燥している土地(乾季の湿度は10~20%程度)では、かなり冷やす効果が高くなり、電気の利用できない場所でも傷みやすい野菜などを長く保存できるそうです。

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2022年1月24日

氷の実験室 植木鉢が小さいとどうなる?
「エコ冷蔵庫」をつくろう!(2)

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雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

もっと知りたい!

レイちゃん

湿度が低いほうが、冷える効果は大きくなるみたい。

ロジロジくん

でも、気温と湿度が同じくらいの日でも下がり方が違うときがあるね。

氷博士

それはおそらく、風の影響だと思います。

レイちゃん

風があるほうが、水が蒸発しやすくなるのよね。

氷博士

その通りです。

ロジロジくん

じゃあ、濡らした植木鉢を一生懸命あおいで風を送ったら、冷やす効果はパワーアップするかな?

氷博士

なるほど、そうですね。実験してみましょうか。

実験番外編

風を当てるとどうなる?

あおぐのは大変なので、扇風機登場!

扇風機の風力を「強」にして、濡らした植木鉢に5分間風を当てて、風を当てなかったものと温度を比べてみました。

実験結果

気温28.5℃ 湿度48%

風なし 風あり
24℃ 19℃
ロジロジくん

すごい! 風を送ったら5℃も下がったよ!!

氷博士

パワーアップしましたね。外の温度と比べると10℃近く冷えています。風の強さや当て方を変えて、もっと冷えるようにできないか探ってみたいですね。

もっと知りたい!

レイちゃん

博士が実験で使ったのはけっこう大きい植木鉢だけど、小さい植木鉢だと冷やす効果も小さくなっちゃうのかな?

氷博士

では、これもやってみましょう!

実験番外編

植木鉢が小さいとどうなる?

実験結果

気温29℃ 湿度63%

植木鉢 大 植木鉢 小
26 26.5

気温30℃ 湿度61%

植木鉢 大 植木鉢 小
25 26

気温31.5℃ 湿度55%

植木鉢 大 植木鉢 小
27.5 27
レイちゃん

ほとんど変わらないけど、大きい方が冷えているときも小さい方が冷えているときもあるね。

氷博士

うーん、これも風など他の条件の影響でしょうか。もう少し細かく条件を変えて実験を重ねると、何かわかるかもしれません。今後の課題にしておきましょう。皆さんも、おうちにいろいろなサイズの植木鉢がある場合はぜひ研究してみてください。

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2022年1月24日

氷の実験室 素焼き植木鉢で「エコ冷蔵庫」をつくろう
「エコ冷蔵庫」をつくろう!(1)

もともとニチレイは氷屋さんでした。
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「気化熱」のパワーを利用して「エコ冷蔵庫」をつくろう

液体が気体になる(気化する)ときに奪う「気化熱」。液体の水は、置いておくと何もしなくても少しずつ気化(蒸発)していきます。その気化熱を上手に利用すると、電気を使わなくても、暑いときに中の物を冷やしておける「冷蔵庫」がつくれます。暑くて乾燥している国や地域では、実用化しているところもあります。おうちにある素焼きの植木鉢を使って、実験してみましょう

実験11-1

素焼き植木鉢で「エコ冷蔵庫」をつくろう

用意するもの

  • 素焼き植木鉢2コ(同じサイズのもの
  • フタ用の布(麻布やタオルなど)、ひも
  • 温度計2本
レイちゃんとロジロジくん

手順

  • 1. 素焼きの植木鉢を、2つ用意します。1つは水で濡らし(a)、もう1つは乾いたまま(b)にします。
    水をかけて全体をよく濡らします(大きめのバケツなどに浸けてもOK)。
  • 2. (a)と(b)両方に手を入れてみましょう。濡らした植木鉢の中と乾いた植木鉢の中では、感じる温度は違うでしょうか?
  • 3. それぞれの植木鉢の中の温度を測るために、温度計を入れます。布でフタをして、風通しのいい日陰に置きます。
    ※暑い日にはコンクリートが熱をため込みやすいので、熱くなっているコンクリートの上には直に置かずに、日陰の棚などに置くのがおすすめです。
    濡らすと、感じる温度は違うでしょうか?
  • 4. 30分後くらいに、植木鉢の中の温度計を確かめてみましょう。

予想

それぞれの植木鉢の中の温度はどうなっているでしょう?

  • A

    (a)の植木鉢の中のほうが、(b)の植木鉢よりも温度が低くなっている

  • B

    (b)の植木鉢の中のほうが、(a)の植木鉢よりも温度が低くなっている

  • C

    どちらも温度は変わらない

答え

A (a)の植木鉢の中のほうが、(b)の植木鉢よりも温度が低くなっている

濡らした植木鉢の中に手を入れると、ヒンヤリ感じたと思います。素焼きの植木鉢に含まれた水が蒸発していって、その気化熱パワーで(a)の植木鉢の中は冷えるのです。
どれくらい冷えるかは、気温や湿度、風通しなどの条件によって変わります。 7日にわたって実験してみたところ、以下のような結果になりました。

実験結果

1日目(気温26℃ 湿度75%)

a
(濡らした植木鉢)
b
(乾いた植木鉢)
24℃ 26℃

温度差:2℃

2日目(気温31.5℃ 湿度56%)

a
(濡らした植木鉢)
b
(乾いた植木鉢)
26℃ 31℃

温度差:5.5℃

3日目(気温32℃ 湿度65%)

a
(濡らした植木鉢)
b
(乾いた植木鉢)
29℃ 32℃

温度差:3℃

4日目(気温31.5℃ 湿度55%)

a
(濡らした植木鉢)
b
(乾いた植木鉢)
27.5℃ 31.5℃

温度差:4℃

5日目(気温29℃ 湿度64%)

a
(濡らした植木鉢)
b
(乾いた植木鉢)
26℃ 29℃

温度差:3℃

6日目(気温29℃ 湿度46%)

a
(濡らした植木鉢)
b
(乾いた植木鉢)
23℃ 29℃

温度差:6℃

7日目(気温29℃ 湿度63%)

a
(濡らした植木鉢)
b
(乾いた植木鉢)
25℃ 29℃

温度差:4℃

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2022年1月24日

氷の実験室 真空ポンプで凍らせよう
気化熱の「冷やす力」(3)

もともとニチレイは氷屋さんでした。
氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

もっと知りたい!

ロジロジくん

こんなに簡単なものでも、結構冷えるんだね。気化熱ってスゴいね。

レイちゃん

もし、もっと速くたくさん蒸発させることができれば、もっともっと冷やすことができるの?

氷博士

そうですね。実際に、私の実験室で「すごく蒸発しやすい状態」をつくってみました。この動画を見てください。

水の入ったフラスコを、真空ポンプに取り付けたら・・・・・・

ロジロジくん

うわっ、あっという間に氷ができちゃった!

レイちゃん

冷やしてないのにどうして!?

氷博士

これは、さっきレイちゃんが言った「もっと速くたくさん蒸発させる」という状態を、真空ポンプでつくったのです。真空ポンプで引くと、フラスコの中は非常に圧力が低くなって、水が蒸発しやすい状態になります。水蒸気は目に見えないのでいきなり凍ったように見えますが、実は真空ポンプで引いているフラスコの中では、すごい勢いで水が蒸発していっているのです。その気化熱の効果によって、残った水が凍り付いたのですね。

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2022年1月24日

氷の実験室 温度はどうなる?
気化熱の「冷やす力」(2)

もともとニチレイは氷屋さんでした。
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「気化熱」のパワーを計ってみよう!

気化熱で、温度は実際にどれくらい下がるのでしょうか?温度計を使って測定してみましょう。
また、水とアルコールでは、効果に違いがあるでしょうか。

実験11-1

水の気化熱で、温度はどれくらい下がる?

用意するもの

  • 温度計 2本
  • ガーゼ
  • 水(室温にしておく)
レイちゃんとロジロジくん

手順

  • 1. 温度計を2本用意します。
  • 2. 1本はそのまま(a)、もう1本には室温の水で濡らしたガーゼを巻きます(b)。
  • 3. 数分そのまま置いて観察してみましょう。

予想

2本の温度計の目盛りはどうなっているでしょうか?

  • A

    水は室温だから、どちらの温度計も同じ温度をさす

  • B

    (a)の温度計のほうが、(b)の温度計より低い温度をさす

  • C

    (b)の温度計のほうが、(a)の温度計より低い温度をさす

答え

C (b)の温度計のほうが、 (a)の温度計より低い温度をさす

水で濡らしたガーゼを巻いた温度計は、水が蒸発するときに熱を奪われ、その分だけ温度が下がります。どれくらい下がるかは、そのときの気温や湿度によって変わります。気温が高く湿度が低いほうが水は蒸発しやすいので、2本の温度計の差は大きくなります。
写真の実験時は、約6℃の差ができました。下がった6℃分は気化熱の効果です。

実験11-2

どっちが冷える?水VSアルコール

用意するもの

  • 温度計 2本
  • ガーゼ
  • 水(室温にしておく)
  • 消毒用アルコール(エタノール)
レイちゃんとロジロジくん

手順

  • 1. 温度計を2本用意します。
  • 2. 1本には水で濡らしたガーゼを巻き(c)、もう1本には消毒用アルコール(エタノール)で濡らしたガーゼを巻きます(d)。
  • 3. 数分そのまま置いて観察してみましょう。

予想

2本の温度計の目盛りはどうなっているでしょうか?

  • A

    水は室温だから、どちらの温度計も同じ温度をさす

  • B

    (c)の温度計のほうが、(d)の温度計より低い温度をさす

  • C

    (d)の温度計のほうが、(c)の温度計より低い温度をさす

答え

C (d)の温度計のほうが、 (c)の温度計より低い温度をさす

水とアルコールを肌につけてみると、アルコールのほうがヒンヤリ感を強く感じますね。その体感と実験は同じ結果になり、写真の実験時には、水よりアルコール(エタノール80%の消毒用アルコールを使用)のほうが、約4℃低くなりました。
では、気化熱はアルコール(エタノール)のほうが水よりも大きいのでしょうか。
それぞれの気化熱(※)の値を調べてみると、エタノールは838kJ/kg 、水は2257kJ/kg 。気化熱は水のほうが大きいのに、なぜアルコールのほうが冷やす力が大きいのでしょうか。それは、アルコールのほうが蒸発しやすい性質だからです。同じ量の水とアルコールが蒸発するときに奪う熱は水のほうが大きくても、アルコールのほうが速くたくさん蒸発するので、結果的に冷やす力は大きくなるのですね。

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2022年1月24日

氷の実験室 濡らしたタオルを振り回すと
気化熱の「冷やす力」(1)

もともとニチレイは氷屋さんでした。
氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

レイちゃん

氷は冷蔵庫でつくるよね。

ロジロジくん

そうだね。

レイちゃん

じゃあ、冷蔵庫はどうやって冷やしてるのかな?

ロジロジくん

それはボクががんばって体から冷気を・・・・・・。

レイちゃん

ウソついちゃダメ!

レイちゃんとロジロジくん

教えて、氷博士!

氷博士

教えて!氷博士

冷蔵庫を冷やす力の正体は?
液体が気体になるときに奪う「気化熱」を利用しています

現在私たちが使っている冷蔵庫やクーラーなど何かを冷やす機械は、ほとんどが「気化熱」を利用しています。気化熱とは、液体が気体になる、つまり気化(蒸発)するときに吸収する熱のこと。蒸発熱とも言います。
例えば、お風呂上がりに濡れたままでいると、体が冷えますね。これは、体についた水滴が蒸発するときの気化熱によるものです。また、アルコールをしみこませた消毒綿で腕を拭くとヒンヤリします。水よりも蒸発しやすいアルコールは、腕についたところからどんどん蒸発して熱を奪っていくため、その部分がヒンヤリ感じるのです。
さらに蒸発しやすい条件にすると、気化熱の効果は高まります。例えば、液体に風を当てたり、液体を細かい粒状にして表面積を増やしたりすると、蒸発しやすくなります。濡れた体で扇風機に当たると、風がないときよりもかなり冷えた、という経験があると思います。また、夏の屋外で、霧状の水を噴霧して涼を取るミストクーラー。水をまいているのにあまり濡れないのは、霧状(非常に細かい水滴)にすることで表面積を増やし、蒸発しやすくしているためです。そして、蒸発するときに周囲の熱を奪って冷やしているのです。
では、気化熱の冷やす力を、実験で確かめてみましょう。

やってみよう!

実験10-1

濡らしたタオルを振り回すと冷える?

用意するもの

  • タオル 2本
  • お湯(火傷しない程度の温度に)
レイちゃんとロジロジくん

手順

  • 1. タオル2本をお湯で濡らして絞ります。
  • 2. 1本はそのまま置いておき(a)、もう1本は端を持ってぐるぐると振り回します(b)
  • 3. 両方のタオルを触ってみましょう。

予想

両方のタオルの温度に違いはあるでしょうか。

  • A

    どちらも温度は変わらない

  • B

    (a)のタオルのほうが、(b)のタオルより冷たくなっている

  • C

    (b)のタオルのほうが、(a)のタオルより冷たくなっている

答え

C (b)のタオルのほうが、(a)のタオルより冷たくなっている

振り回すと風が当たって、タオルに含まれている水が蒸発しやすくなり、冷やす効果が高まります。

実験10-2

お湯を霧状にまくと冷える?

用意するもの

  • 霧吹き
  • お湯(火傷しない程度の温度に)
レイちゃんとロジロジくん

手順

  • 1. 霧吹きにお湯を入れます。
  • 2. 空中に霧吹きでお湯をまいて、その中に顔や手を入れてみましょう。まいたのはお湯ですが、触れた肌に感じる温度はどうなっているでしょう?
答え

まいた霧状のお湯に触れると、ヒンヤリと感じたと思います。霧吹きで細かい水滴にすると、表面積が増えて蒸発しやすくなるため、冷やす効果が高まります。

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。
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2022年1月24日

氷の実験室 風が強いと氷は速くとける?
熱の運ばれ方と氷の溶け方の関係(2)

もともとニチレイは氷屋さんでした。
氷が大好きなニチレイはこの「氷の実験室」で、みなさんと一緒に「氷」の秘密をじっと見つめ考えていきたいと思います。
雪と氷が大好きなレイちゃんとロジロジくん、氷博士の石井先生と一緒に、氷の不思議に触れてみましょう。

もっと知りたい!

ロジロジくん

熱が速く運ばれると、氷が早くとけるなら、風を強くしたらもっと速くとけるのかな?

やってみよう!

実験9-2

風が強いと氷は速くとける?

扇風機の前の風の当たるところに置いた氷と、風の当たらないところに置いた氷のとけ方の違いを比べてみましょう。

用意するもの

  • 同じ大きさの氷 2つ
  • 同じ形の皿 2つ
  • 扇風機
レイちゃんとロジロジくん

手順

  • 1. 冷凍庫から出した氷(c)を皿に入れ、扇風機の風力を「弱」にして前に置きます。どれくらいの時間でとけるか、時間を計りながら観察しましょう。
  • 2. 次に、もう一つの氷(d)を冷蔵庫から出して、扇風機の風力を「強」にして前に置きます。1と同じように観察しましょう。 (c)と(d)どちらが速くとけたでしょうか。

※氷への風の当たる向きなどが変わると、風力の違いの効果がわかりにくくなります。
扇風機の向きや位置、氷を入れた皿を置く位置などは1と2で変えないように注意してください。

答え

風力「強」にした氷(d)が速くとける

風力「強」(d)は約30分後に、風力「弱」(c)は約40分後にとけきりました。

2つの氷の変化を時間を追ってみてみましょう。
(200ccの水でつくった氷、気温約30℃で実験しました)

10分後

まだそれほど大きな違いはありませんが、風力「強」(d)の方が、扇風機の風が当たる面(写真上方向)のとけ方がはやく、形が変わりはじめています。

20分後

(d)はだいぶ小さく薄くなり、風が強いので皿の奥(写真下方向)に吹き寄せられています。

25分後

(d)は4cm弱のかけらになってしまいました。(c)はまだ6cmくらいあって四角形を保っています。

30分後

(d)はとけきってしまいました。(c)はまだ5cmくらいあって、もう少しがんばれそうです。

氷博士

扇風機の風力を上げる、つまり氷に触れる空気の流れが速くなると、一定時間当たりに氷に与えられる熱も多くなります。それで、風力を「強」にした方が速くとけたのですね。
このような風と熱の関係は、冷凍食品の製造にも利用されています。食品を凍らせるときには、なるべく速く凍らせることで、鮮度、風味、食感を維持することができ、冷凍前の美味しさや品質を解凍時に再現することができます。そのため、工場で冷凍食品をつくるときには、単に温度を下げるだけでなく、凍らせたい食品に低温の風を吹きつけているのです。

この「氷の実験室」は、自由研究など幅広く活用していただきたいと思って作りました。
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2022年1月24日