03F Solution Center Floor インタビュー(エンジニアリングで物流を支える)

国内No.1の経験と ノウハウを活かし、 最先端の低温施設をカタチにする。
エンジニアリング部門
株式会社ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリング 執行役員 プラントエンジニアリング事業本部 副本部長 兼 企画開発部長 橋本一樹

ニチレイロジグループにおける「エンジニアリング」とは、倉庫や物流センター、工場など、複数の設備や機器で構成されたプラントを、建物と設備まるごと企画・設計・施工する事業のこと。冷蔵倉庫の設備能力で国内トップ、世界でも5番目の実力を持つニチレイロジグループは、冷蔵倉庫など低温施設のエンジニアリングでも世界有数の経験とノウハウを誇ります。

この事業を担うグループ企業(株)ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリングは、グループの冷蔵倉庫や物流センターの新設、リニューアルおよびリプレース、メンテナンスを支えるほか、その経験とノウハウをグループ外にも提供。日本および世界の、低温施設の進化に大きく貢献しています。

常温でなく低温ならではの制約と魅力

ニチレイロジグループのエンジニアリング部門には、大きく分けて2つの柱があります。1つは低温施設の新設、リニューアルおよびリプレース、もう1つは、低温施設のメンテナンスです。

「グループ外の施設の新増設やリニューアルの場合は、メンテナンスなど既存のお客さまとのおつきあいの中でニーズを聞きますし、最近多いのは、冷凍倉庫を含む物流センターをパッケージとしてコーディネートして欲しいというコンサルティングの依頼をいただき、そこから工事につながるケースです」

依頼を受けると、ニーズに合わせた設備や機器を選んで提案を作成。多くの場合、競合他社とのコンペを経て、受注につなげます。ニチレイロジグループの場合、豊富な経験とノウハウで高い省エネ性能や効率的な庫内レイアウトを企画する能力に加え、グループ内で多くの施設を新設していることから、冷凍機などのメーカーに対する価格決定力が高いことも大きな強みです

同じ倉庫のエンジニアリングと言っても、冷蔵倉庫は常温倉庫と異なり、たくさんの制約の中で設備や機器を選択し、それらをレイアウトしていく難しさがありますが、だからこそ面白い仕事です。

「低温施設はスペースごと冷やしているので、常時電気を消費していますから、保管効率の高いレイアウトが必要となります。それに、中は寒いので作業員もそんなに長くは入っていられないため、いかに効率よく貨物を搬入・搬出できるようにするかも大切です。そして、自動化も進めていますが、低温環境で使える機器が限られているので、自社の施設内で慎重に試験を重ねています」

故障を事故につなげないことが誇り

一方メンテナンス部門は、ニチレイロジグループ各社が保有する物流センターに席を置き、グループ各社の冷蔵設備のメンテナンスを行いつつ、その地域のお客さまの設備の保守管理を担当します。

「数年に一度のオーバーホールなどの大規模なメンテナンスだけでなく、日々各種センサーの数値をモニターしたりして、冷凍機やクーラーなどが長時間ダウンすることのないよう監視しています。それでも小さな故障は起きますけど、その事故が庫内の貨物に影響を与えないように対処する。そしてお客さまに喜んでいただくというのが、大きなモチベーションになっています」

エンジニアリング部門には、これら設計・施工、メンテナンスだけでなく、営業やコンサルティング、AIを使った予兆診断など新しいシステムの開発、蓄積されたデータの利活用などさまざまな部署があり、多様な専門分野やパーソナリティを活かせる仕事がそろっています。

No.1だからこそ最先端に挑戦

脱炭素化などの環境問題や国内の人口減少などの社会的課題に対処することも、世界有数の低温物流サービス企業であるニチレイロジグループの使命です。そのため、グループが保有する低温施設では、さまざまな課題に対応した最先端の取り組みを積極的に進めています。

例えば、オゾン層の破壊や地球温暖化の原因ともなるフロンの全廃に向けた取り組みもその1つ。

「2006年から自然冷媒への転換を始め、2030年度には自然冷媒化率75%を目指し、冷凍機の入れ替えを進めています」

また、CO2排出削減のための太陽光発電設備の導入にも積極的です。

「実は冷蔵倉庫は、防熱層の上に防水層があり、普通の固定金具が使えません。そのため、コストはかかりますが特殊な架台を探し、倉庫や物流センターへの設置をスピードアップしつつあります」

マテハンへ、世界へ、広がる領域

「私は(株)ニチレイ・ロジスティクス北海道に入社し、最初は冷蔵倉庫で物流の仕事をしながら、冷凍機などの設備も担当していました。そこから現在のニチレイ・ロジスティクスエンジニアリングに移って、現在は企画・開発部で倉庫やセンターの設計を行う部門にいます。現場で思っていた、自分だったらこういうレイアウトにしたいという絵が、今の職場で実際形になるというのは楽しいです。現場目線とエンジニア目線を組み合わせて新しい施設を建てられるのが、当社のエンジニアリングの醍醐味じゃないかと思いますね」

ニチレイロジグループでは現在、エンジニアリング部門の守備範囲を、現在の冷蔵・冷凍設備中心から、庫内貨物の搬送を担うマテハン機器などを含む庫内設備全般へ拡張する方向で検討を進めています。また、海外での拠点を拡充しつつあるグループの動きに対応するため、海外施設でのエンジニアリングのサポート業務も増加中。その可能性は、これからますます大きくなるはずです。