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免疫組織化学染色法

トラブルシューティング
免疫組織化学染色法
問題点
考えられる原因
その対策
○染色にムラがある。 (1)洗浄液の振り落としが不十分。 (1)切片周囲の余分な洗浄液を十分ふき取った後、試薬を反応させる。切片上で試薬を十分混和させなじませる。
○陽性対照スライドおよび標本スライドの染色が認められない、あるいは弱い。 (1)切片が乾燥している。 (1)切片を湿潤させた後は、湿潤箱などを用いて乾燥させない。
(2)包埋剤が不適当あるいはパラフィン包埋 組織からのパラフィン除去が不完全である。 (2)適当な包埋剤を選択する。また、包埋組織から、パラフィンを完全に除去する。キシレン、エタノール溶液を取り替える。
(3)緩衝液中の微量のアジ化ナトリウムがペルオキシダーゼを不活性化し、染色を不可能にする。 (3)アジ化ナトリウムを含有しない緩衝液を使用する。
(3)緩衝液を取り替える。
(4)酵素や抗体反応が不十分。 (4)古い基質溶液を取り替える。
(4)各ステップでの、水分の拭き取りを完全にする。
(4)抗体との反応時間を十分にする。特に、第一抗体では添付書のインキュベーション時間を守る。
(5)切り置き切片における抗原性の減弱。 (5)一部の抗原特に核内抗原では、薄切後時間が経つにつれて熱処理後の抗原性が減弱してしまう。標本スライド、陽性対象スライドともにパラフィンブロックからその都度薄切するようにする。
(5)切り置き切片は高温で保存しない。
○陽性対照スライドは染色されるが、標本スライドは染色されない。 (1)抗原が固定あるいは包埋過程で変性したり、マスクされている。 (1)抗原の中には、固定や包埋に敏感なものがあるので、穏やかな固定剤を使用し固定時間を短縮する。
(1)場合によっては、染色前に抗原を露出させるため、熱による抗原賦活処理あるいはトリプシンなどのタンパク分解酵素処理を行う。
(2)自己消化により抗原が破壊されている。 (2)可能な限り、生検あるいは外科組織を使用する。
(3)組織に存在する抗原が少ない。 (3)インキュベーション時間を長くする。
○未希釈抗体の染色が認められない、あるいは弱い。 (1)抗体溶液の凍結融解を繰り返してしまった。 (1)抗体は小分けして保存する。頻回の凍結融解により抗体力価が下がる可能性がある。
○全ての染色スライドのバックグラウンドが強く染色される。 <ペルオキシダーゼ発色法を使用の場合>
(1)内因性ペルオキシダーゼを不活性化するための処理が不十分。 (1)ブロッキング試薬(3%過酸化水素加メタノール)による処理を確実に行う。
(2)非特異結合成分がある。 (2)第一抗体の添加前に10%正常血清による処理を確実にする。もしくは前述の処理(常温、10分間)を追加する。
(3)ブロッキング試薬、洗浄液(PBS等)、第一抗体希釈液等に、ウシIgG成分が含まれている場合、そのウシIgG成分と、下記使用キットの交差反応による非特異反応が生じる。(ヤギIgGとウシIgG成分の一部が酷似しているため起こる)
(3)ウシIgG成分を含まないブロッキング試薬、洗浄液(PBS等)、第一抗体希釈液等を使用する。あるいは試薬対照スライドを併用する。
<アルカリフォスファターゼ発色法を使用の場合>
(1)内因性アルカリフォスファターゼの活性を不活性化するための処理が行われていない。 (1)基質・色素混合液の中にレバミゾールを添加する。(精製水の代わりに1mMレバミゾール溶液を使用する。)
(2)非特異結合成分がある。 (2)第一抗体の添加前に10%正常血清による処理を確実にする。もしくは前述の処理(常温、10分間)を追加する。
<共通>
(3)自己消化の結果、組織液に遊離した抗原が過剰に存在する。 (3)可能ならば、新鮮な組織を包埋する。
(4)不完全なパラフィン除去。 (4)キシレン、エタノール溶液を取り替える。
(5)不十分な抗体の洗浄。 (5)抗体の洗浄を十分に行う。
(6)室温が高すぎて、酵素反応が早すぎる。 (6)常温(15−25℃)にコントロールする。
(6)反応時間を短縮する。
(7)その組織に対して第一抗体の濃度が高い。 (7)抗体希釈液(0.1%BSA、0.1%NaN3を含んだPBS)を用いて第一抗体を希釈し、至適濃度を検討する。
○反応中に組織切片がスライドからはがれてしまう。 (1)抗原によってはその同定のために、熱による抗原賦活処理あるいは第一抗体との長時間の反応を必要とする。このような場合には、はがれ易くなる。 (1)0.02%poly-L-lysine、シランなどの組織切片用接着剤を使用する。
抗原賦活化処理
問題点
考えられる原因
その対策
○染色結果にムラがある。染まらない。 (1)固定によるもの。 (1)固定不良・過固定による偽陰性化。他の陽性組織を用いて再現性がとれるか確認する。
○タンパク分解酵素処理をしたのに染まらない。 (1)至適な酵素処理方法を行っていない。 (1)第一抗体の添付書より、適切な処理方法を確認する。至適ではないタンパク分解酵素処理方法は、抗原性が変化し、抗体の特異性が失われることがある。
(1)第一抗体の添付書より、処理時間の確認および用いる緩衝液の種類や濃度を確認する。
○熱による抗原賦活化処理をしたのに染まらない。 (1)至適な熱処理方法で行っていない。 (1)第一抗体の添付書より、推奨されている賦活の種類(H)の確認、処理時間の確認および用いる緩衝液の確認をする。
(2)操作方法によるもの。 (2)H処理の場合、緩衝液を処理温度まで十分加温してから切片を浸す。
(2)組織切片が緩衝液に十分浸るようにして乾燥に気をつける。
(2)熱による賦活化処理後、緩衝液とともに組織切片を十分ゆっくりと冷却する(常温放置、20分間以上)。
H:熱処理
その他
Q:第一抗体は凍結保存が可能であるか。
A:未希釈抗体は凍結保存が可能である。頻回の凍結融解により、抗体力価が下がる可能性があるため、小分けして保存する。
Q:染まらない。
A:試薬の有効期間、保存方法を確認する。
Q:第一抗体の希釈液は何を用いるか。
A:第一抗体の添付書に示された希釈液を用いる。もし、記載がない場合は、0.1%BSA、0.1%NaN3を含んだPBSの使用をすすめる。ただし、希釈後の第一抗体は使用後廃棄する。
Q:メチルグリーンの染色性が弱い。
A:熱による賦活化の後は、染色性の低下が見られる。その際はヘマトキシリンを使用する。また、メチルグリーンは水溶性のため、水を含んだ封入剤を使用すると退色がおこる。この場合、封入後すみやかに写真をとるなどデータ取りを行う。
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