ニチレイ75年史
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■フレッシュクリエーションを旗印に 1990年12月、当社は「フレッシュ」をキーワードとする新たな経営計画を策定した。「21世紀初頭を目指すニチレイの経営ビジョン」という副題を持つ長期(10年)ビジョンは「FC(フレッシュクリエーション)プラン」、中期(5年)経営計画は「FCプログラム」と名付けられた。 2000年度の数値目標として売上高8,000億円、経常利益300億円を掲げたFCプランには、次のように趣旨が記されていた。 「21世紀に向かって、人々の生活に真の貢献を為しつつ、ワールドワイドな高収益企業たることを実現すべく、ニチレイのアイデンティティを確立して現事業の柱を確固たるものとし、また広く事業機会を求めて更なる成長発展を期するものである。全社員がベクトルを合わせ、力強緩和、公定歩合引き下げなどを行った。その結果、富裕層の余剰資金が株式や土地の投機に向かう財テクブームが起き、資産インフレが生じた。高級車やリゾートマンション、ゴルフ会員権を買い漁る消費の過熱も見られ、実力以上の状態からバブル経済と呼ばれた。 1987(昭和62)年10月にブラックマンデーが発生したが、日本は世界同時株安からいち早く脱出した。平成期※10 に入っても株価を上げ、1989(平成元)年12月29日の大納会で日経平均株価は高値3万8,957円を記録した。円高による輸入品や原油価格の下落もあって物価は安定、1986年12月から91年2月の日本経済は好景気に沸いた。く前進することを要望する」 そして、このビジョンに沿った企業理念として「くらしを見つめ、人々により大きく心の満足を提供する」、事業コンセプトに「フレッシュクリエーション」が掲げられた。どちらも、「明日のニチレイ」を具現化する前期経営計画の内容を発展させたものだった。 事業面では、低温物流、加工食品、食料、不動産の中核4事業に加えて、「バイオテクノロジーを活用した医薬関連・植物育種関連事業」と今後の成長が見込まれる「情報技術を核としたマーケット情報・VAN※11 事業」を新成長事業と位置づけた。人材育成や技術力・マーケティング力の向上に経営資源を傾斜投入するとし、かつての「総合食品産業」を超えて、総合生活産業を目指す姿を打ち出した。 中期計画であるFCプログラムは、最終年度である1995年度の目標額を売上高5,500億円、事業利益150億円とした。そして「FCプログラムⅡ」へつなぐ事業分野別重点課題と、組織・技術・情報から関連企業に至る機能別重点課題とで組み立てられた。 しかし、FCプログラムが始動した1991年度はバブル経済の崩壊と重なった。日経平均株価は1990年1月から下落に転じ、10月1日には一時2万円を割って約9カ月で半値近い水準に暴落した。不動産総量規制や公定歩合の引き上げで地価や株価が下落し、信用収縮から大手金融機関の破綻※12 が発生、金融不安を招いた。経済対策も後手に回って景気が後退、企業の業績も悪化していった。73中核事業新成長事業情報技術を核とした新成長事業住居※10 1989年1月7日に昭和天皇が崩御。自粛ムードが日本を覆うも景気への大き※11 Value Added Networkの略。パケット通信等の付加価値をつけた通信サービな影響はなかった。スで、業界VANもある。輸配送農産品※12 北海道拓殖、日本長期信用、日本債券信用の各銀行、山一證券などが破綻した。加工食品事業領域水・缶詰・レトルト食品畜産加工品アセロラ食品冷凍食品植物育種医薬関連水産品畜産品食料事業領域ヘルスケア食品ニューバイオテクノロジーを活用した新成長事業低温物流事業領域物流コンサルティング冷蔵倉庫物流センターマーケット情報VANオフィスビルアメニティースペース不動産事業領域事業領域(DOMAIN)第5章 新生ニチレイへ

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