ニチレイ75年史
227/320

鶏本来が持つ免疫力を最大限に引き出す飼育に取り組んだもの。抗生物質が投与された鶏から排出された鶏糞は土壌菌や地下水にも影響を及ぼすと言われており、生態系の保全にも、FAチキンの養鶏方法は寄与している。 また、鳥インフルエンザの国際的な流行などにより国産品の需要が高まるなか、2007年、ニチレイフレッシュはニチレイフレッシュファームを岩手県に設立した。海外にできるだけ依存しない養鶏と日本の食料自給率の向上に向けた取り組みとして、純国産鶏種「純和鶏」の養鶏事業を開始したのである。2009年にはこの鶏糞を有機肥料に加工し、「純和鶏」の飼料となる飼料米をつくる水田で利用するという、循環型農畜産モデルを構築した。なお、「純和鶏」をはじめとする食鳥の処理・加工のため、2012年、ニチレイフレッシュのグループ会社としてフレッシュチキン軽米を設立している。 また2009年には、パンの生産工場から出されるパンの耳などを飼料にすることで食品ゴミを減らすとともに、国産の飼料を使って肉質の良い豚肉を生産する試験も行った。こうした取り組みは、環境に配慮した持続可能な農場経営の先行モデルとなっている。 健康への取り組みについては、人の健康に欠かすことのできない栄養素であるオメガ3系脂肪酸(α-リノレン酸)※3 に着目。2007年にこれを豊富に含むアマニ由来の成分を配合した飼料を用いて飼育した豚を開発。さらに2009年以降、牛、鶏へと拡大し、2017年より「亜麻仁の恵み」シリーズとして本格的に販売した。大手量販店や外食・中食企業とのコラボレーション販売などが功を奏し、「亜麻仁の恵み」の売り上げは順調に伸びた。また生活者の強い国産志向を受けて、2018年からはニチレイフレッシュファームに「亜麻仁の恵み」鶏専用の養鶏場を設け、生産・販売を開始した。 この間、2013年にニチレイフレッシュのグループ会社としてフレッシュミート佐久平を設立した。「亜麻仁の恵み」牛はもちろん、信州プレミアム牛、蓼科牛などブランド食肉の未加熱加工事業を担っている。 畜産事業では、「亜麻仁の恵み」シリーズや「純和鶏」など、こだわり素材の販売に注力している。新たな健康価値食肉の開発や地域農畜産循環型モデルの推進などにより、持続可能なサプライチェーンの構築に向けて社会課題の解決に取り組んでいる。201200001020304純国産鶏種の「純和鶏」050607080910111213食品工場から排出されるパンの耳を飼料としてリサイクル14151617パンの耳を配合した独自の飼料パンの耳ニチレイフレッシュファームの外観※1 1979年にニチレイ飼料を設立したが、1984年には営業権を四国配合飼料に譲渡し解散。四国配合飼料も1995年に解散した。※2 Free from Antibiotics※3 人の体内で作ることができない必須脂肪酸事業編181920(年度)

元のページ  ../index.html#227

このブックを見る