ニチレイ75年史
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●持続可能な原料調達に向けて~ASC認証・MSC認証の取り組み ニチレイフレッシュは、持続可能な原料調達や環境に2005年度には3期連続の営業損失になる見込みとなったため、2006年2月、水産事業再生プランがスタートした。 同プランでは、人員削減や拠点の見直しによる固定費の削減と、取り扱い魚種の選択と集中(エビ、鮭鱒、魚卵、貝類、カニ、北方凍魚、タコなど)を実施し、寿司ネタの扱いも強化した。 こうした為替や相場変動の影響を受けやすい事業構造から安定的な収益構造にするための構造改革は、今日も続いている。特に相場変動に対応するため、商品構成を見直し、水産加工品の取り扱いを増やしてきた。また2018年にベトナムに水産加工会社を新設し、生産能力を増強した。ニチレイフレッシュの強みである「こだわり素材」の提供に加え、独自の加工技術を生かした水産加工品の販売拡大に注力、安定収益の獲得に向けて積極的に取り組んでいる。 今後は、マーケティングをより重視した販売活動にシフトするとともに、市場規模の大きい中国と北米市場を中心に現地パートナーと連携しながら、海外販売強化にも努めていくこととした。ベトナムの水産加工品専用の生産工場配慮したサプライチェーンの構築に向け、パートナーとともに社会課題解決に取り組んでいる。 2006年からは、粗放養殖による良質なエビの持続的供給と地球環境との共生を目指した「生命の森プロジェクト」に参画。2009年からは粗放養殖池への植樹を開始し、2018年10月時点で植樹されたマングローブ林は東京ドーム約65個分まで広がっている。2017年8月にブラックタイガーえびとしてはインドネシア初のASC認証※1 を取得した。その活動はインドネシアのスマトラ島のバナメイえびの養殖池へも広め、2018年に同様にASC認証を取得している。「生いのち命の森プロジェクト」で生まれた粗放養殖のブラックタイガーえび また、MSC認証※2 の水産物の取り扱いも順次増やしており、2020年6月時点では17魚種の水産物を取り扱っている。2017年度にはCoC認証※3 を保有する取引先とともに、MSC認証ニシンの魚卵を使った「数の子松前漬け」と「数の子わさび漬け」を開発した。引き続き、持続可能な水産物の取り扱いを増やしている。いのち19520000102030405060708091011121314151617※1 水産養殖管理協議会(ASC)による持続可能な養殖水産物の認証※2 海洋管理協議会(MSC)による持続可能な天然水産物の認証※3 加工・流通過程の管理認証事業編181920(年度)

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