ニチレイ75年史
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●海外への進出・展開 低温物流の海外事業は、インフラが整っていた欧州からスタートした。その中心は欧州の食料品の輸入窓口となっていたロッテルダム(オランダ)に置いた。 1988年9月にオランダの冷蔵倉庫会社、ユーロフリゴを買収し、翌89年3月にニチレイ・ホールディング・オランダを設立。同年8月にはテルモトラフィック・ドイツを買収して冷蔵・物流の一貫体制を整えた。1990年にはベヘールマーチャッパイ・フォン・マースダイクウェッヒ(現 ヒワ・ロッテルダム・ポート・コールド・ストアーズ)を買収、冷蔵倉庫を増強した。こうした動きは、当時の長期経営ビジョン「FCプラン」におけるグローバリゼーションの一環であるとともに、将来の国際複合一貫輸送体制の確立に備えたものだった。 その後、2004年にポーランド、2010年にフランス、2014年に英国とエリアを拡大。オランダを起点に総合物流サービスを推進し、主要港湾地区の保管機能強化やクロスボーダー輸送、量販店物流の拡大に注力した。 アジアにおいても、中国で2004年に上海鮮冷儲運を設立した。2018年には江蘇鮮華物流を設立し、展開地域を拡大している。タイでは2013年にSCGニチレイロジスティクスを設立し、両国とも旺盛な低温物流需要に対応し、設備を増強していった。また、2018年にはマレーシアのコールドチェーンネットワークに出資して、ハラール専業では同国最大級の低温物流事業者となっている。 低温物流事業の売上高構成比をみても、海外事業の売り上げは2010年3月期の11.9%から、2020年3月期に18.2%を占めるまでに成長した。189名古屋みなと物流センターのパレット自動庫 また、同年9月、グループ初のサテライトオフィス「サードプレイスオフィスSateCo(さてこ)川崎」を開設するなど、働き方の多様化に向けた取り組みも推進している。※1 今日でいう-40℃以下ではなく、当時は-18~-25℃を超低温といった。※2 2001年の中央省庁再編により廃止。その業務は内閣府、文部科学省などに継承された。※3 マテハンは、マテリアルハンドリングの略。荷物の移動や仕分けなどの荷役作業を効率化するための作業機器。SCGニチレイロジスティクス(タイ)NLコールドチェーンネットワーク(マレーシア)事業編

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