ニチレイ75年史
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●事業展開の迅速化へ組織を再編 2003年4月、社内カンパニー制への移行により、低温物流事業と不動産事業は低温物流カンパニーとなったが、翌04年、経営改善を促進するため、ニチレイグループ全体の分社化に先立ち、物流ネットワーク事業と地域保管事業に大別して分社化・再編を行った。物流ネットワーク事業の中心となったのは、日本低温流通を改組したロジスティクス・ネットワークだった。また地域保管事業は全国9つの地域会社で地域に密着したサービスを展開することとした。これに合わせて、物流サービスセンター(LSC)は物流センター(保管型物流センターはDistribution Center・DC、通過型物流センターはTransfer Center・TCへ)に改めた。 そして、2005年4月、ニチレイグループの持株会社体制への移行に伴い、中間持株会社としてニチレイロジグループ本社が設立された。 その後、事業環境に鑑みながら、物流センターのスクラップアンドビルドなど大型設備投資を進めた。2011年には東扇島物流センターの1期棟が、2013年に2期棟が稼働を開始し、合計設備能力は8万1,760tとグループの旗艦拠点となった。関西でも、2014年に咲洲物流センター(4万763t)が稼働し、関西港湾地区の拠点となった。 さらに2013年度からは、物流ネットワーク事業会社から地域保管事業会社へ輸配送機能を移管するなどの体制整字に転換し、物流事業部は発展的に解消、低温物流事業部に統合した。 また、2000年11月には顧客の物流アウトソーシングの需要に応えるため、ロジスティクス・プランナー(合弁会社)を設立し、サードパーティーロジスティクス(3PL)事業に参入した。船橋第二物流サービスセンターの冷蔵倉庫内備を行った。●低温物流の明日をつくる 今日、低温物流事業は、冷蔵保管能力日本一の保管事業、幹線便を中心とした輸配送事業のほか、TC事業、3PL事業、欧州・中国・タイ・マレーシアで展開している海外事業、低温物流設備の企画・設計から保守管理まで行うエンジニアリング事業で構成される、国内最大規模の低温物流事業グループとなった。2000年代に入ると、低温物流を支える情報システムについて、他社との共用も視野に、業界標準を目指して総合的な低温物流用ソフトウェアを開発した。開発規模が大きくなり苦労したものの2006年5月末、全システムを完成させた。高度な物流情報システムで結ばれた輸配送・保管・流通加工に至るサプライチェーン全体にわたって、高品質なサービスを提供している。 しかし、低温物流業界では環境負荷の低減とともに、少子高齢化による人手不足が大きな課題となっている。加えて、低温物流では冷蔵倉庫内という厳しい作業環境の中できめ細かい品質管理が必要で、熟練者の経験に頼ることも多かった。そこで、ニチレイロジグループでは「持続可能な低温物流」を目指して、2016年から業務革新に着手。「オペレーションの効率化・省人化」「熟練者でなくてもできるストレスフリーな仕事」の実現に向け、タブレット端末やマテハン機器※3 を全国の物流センターに段階的に導入し、デジタル化の実証実験を行ってきた。こうして検証した技術とノウハウを集約し、労働力不足時代におけるモデルセンターとして建設されたのが、2020年4月に稼働した名古屋みなと物流センターだった。ここでは入出庫時の立会業務の完全タブレット化などを実現した。188咲洲物流センター

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