ニチレイ75年史
213/320

●トータル・ロジスティクス・サービス(TLS)事業の構築へ 1990年4月、新規事業として開発を進めていたシステム物流(共同配送事業)を独立事業とするため、冷凍事業本部内に物流事業部を新設した。同時に、各冷凍工場を物流サービスセンター(Logistics Service Center/LSC)と改称し、ロジスティクスというコンセプトを打ち出した。 同時期に竣工した船橋第二物流サービスセンター物流サービスセンターが完成した。1986年から1990年の5年間における庫腹増強は34万tにも上った。船橋流通センターの冷凍庫での作業 一方で、1989年に発足した物流プロジェクトは新しい冷凍事業部門のあり方について討議を重ね、「顧客密着対応型」と「システム物流」という2つの方向性を打ち出した。顧客密着対応型は、周辺業務の拡大・深耕など荷主ニーズの多様化に応えることによってシェアアップを図るもの。システム物流は、1980年代に入って量販店各社で高まった「JIT(Just In Time)」のニーズに応え、ストレージ(保管)からトランスファー(移動)の視点で事業の再構築を図ろうとするものだった。(LSC)は、このコンセプトを具現化したもので、単なる冷蔵倉庫ではなく、ユーザーの原材料や製品の搬入から凍結・軽加工・選別、配送に至るまで、すべての物流とそれに伴う情報の流れを集中的に管理し得る、新しい低温物流サービスを提供する施設だった。 当社の冷凍事業は、トータル・ロジスティクス・サービス(TLS)あるいはトータル・ロジスティクス・クリエーション(TLC)事業としての方向性を明確にした。そして、翌91年、冷凍事業本部は低温物流本部と改称され、TLS事業の構築に向けて、NTRを含め、そのシステムづくりに集中する体制が整えられた。入出庫管理などの基本的なデータ管理に加え、倉庫内での貨物の所在管理やトラックの受付管理などに情報システムが活用された。なお、冷凍支社を低温物流支社に改称したのは、1995年4月のことだった。 小売業者の配送業務を担うことを目指し、開発部の新規事業「システム物流」として始まったトランスファーセンター(通過型物流センター/Transfer Center・TC)事業は、1990年に物流事業部として独立したが、事業の確立には多くの困難を伴い試行錯誤が続いた。しかしアイスクリームの共同配送などでノウハウを蓄積し、パートナーとなる大手スーパーとの信頼関係を深めた当社は、1993年に新たな展開をみせた。9月に関西のスーパー専用の尼崎総合物流センター、10月に関東のスーパー専用の船橋総合物流センターが、それぞれ稼働を開始し、TC事業が本格化したのである。これがきっかけとなり、1995年度に初めて単年度黒18720000102030405060708091011121314151617事業編181920(年度)

元のページ  ../index.html#213

このブックを見る