ニチレイ75年史
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●大型商品の登場で収益性が向上した2000年代 2001年、それまでの常識を打ち破った商品が登場した。中華シェフの技と味を再現した「本格炒め炒飯」がそれで、「冷凍炒飯」といえば“中華風混ぜご飯”に近いものだった当時、工場における連続生産ラインで初めてご飯うゆの香ばしさも相まって従来品との決定的な差別化に成功、ヒット商品となった。電子レンジの世帯普及率が約8割となった1994年には、それまで「油で揚げる」ものだった冷凍コロッケを、初めて電子レンジ対応にした「新・レンジ生活」シリーズが誕生。冷凍コロッケを電子レンジで温めると衣のサクサク感が失われてしまうという課題を独自の技術で克服した「新・レンジ生活 衣がサクサク牛肉コロッケ(ミニ)」(現 「お弁当にGood!衣がサクサク牛肉コロッケ」)は、大ヒット商品となった。本格的な電子レンジ対応商品「新・レンジ生活」シリーズ 一方、業務用でも当社の技術が活躍した。女性の社会進出とともに食の外部化が進み、スーパーマーケットの惣菜売り場には、それまで家庭での手作りが当たり前だったメニューが多数登場した。当社はつくりたてのおいしさにこだわり、1994年、バックヤードで調理できる「鶏もも唐揚(フレッシュチキン使用)」や「パリパリの春巻」を開発。夕食のおかずとしての地位を確立し、業務用冷凍食品市場を牽引した。 これらのヒット商品の開発により、冷凍食品の売上高は1993年度に1,000億円の大台を超え、当社全売上高の26%強を占めるまでに成長した。 また、レトルト食品でも、それまで3kgが限度とされてきたレトルトパウチを、5kgまで可能とする技術を1993年に開発し、レトルトカレー市場でのシェア拡大を後押しした。を炒めることに成功、米飯カテゴリーの冷凍食品に“革命”を起こした。2015年には約30億円の設備投資を行い、独自の「三段階炒め製法」を開発して炒め技術に磨きをかけるなど、おいしさを進化させた。昨今、少子高齢化によりコメの消費量自体は減少傾向だが、手作りからの根強い代替需要をとらえ、「本格炒め炒飯」は2017年度には売上高100億円を突破。現在も冷凍炒飯カテゴリーで売上No.1※2 となっており、加工食品事業の収益性向上に大きく寄与し続けている。 一方、2000年代は食の安全を揺るがす事件が続発したが、当社は2003年から万が一問題が起こった際には迅速に原因究明ができるトレースバックシステムを工場に導入。また業界をリードして輸入冷凍野菜品質安全協議会の設立(2004年5月)にも貢献した。 また、生活者の安全・安心への要望の高まりを受けて、2003年に着色料・保存料・化学調味料を使用しない3添加物不使用の「お弁当にGood!」シリーズを発売。翌年には普段の食事で摂取する栄養素が偏りがちな方に向けた栄養成分コントロール食として、冷凍惣菜セット「気くばり御膳」を通販限定で発売した。これはレトルトの糖尿病食(1989年発売)開発で培った技術を生かしたもので、冷凍食品をはじめとした加工食品が健康価値を提供するステージへと進んだことを示した。 2005年に当社は事業ごとの特性をより生かすために分社化を行い、冷凍食品を主とする加工食品事業はニチレイフーズが継承した。 海外では、2004年に中国の販売会社である日冷食品貿易(上海)を設立し、2008年にタイのチキン事業を営むGFPTニチレイ(タイランド)を設立した。2010年に稼働したGFPTニチレイ(タイランド)は、合弁先のGFPTか180現在もシェアNo.1の「本格炒め炒飯」

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