ニチレイ75年史
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■IoT技術の活用により省エネルギー化と 熟練技術者のノウハウ継承化を実現 2018(平成30)年9月、ニチレイロジグループ本社と株式会社日立製作所は、日立グループの先端IoT技術を活用し、冷凍設備の故障予兆診断と運転・メンテナンスの効率化に向けた共同実証を開始した。共同実証では、日立グループのビッグデータ解析技術や音解析技術、予兆診断技術を組み合わせたシステムを、ニチレイロジグループ船橋物流センター内の冷凍設備に導入。設備の稼働データを収集・蓄積・分析することで、故障の予兆診断と設備運転の効率化を支援することとした。 冷凍食品や生鮮食品などを低温で流通させるコールドチェーンにおいて、冷凍倉庫は重要施設の一つである。冷凍倉庫内にある保管品の品質を維持するために冷凍設備の安定稼働が不可欠だが、現状は熟練技術者が巡回し、倉庫内環境や設備の計器などを目視で確認しながら設備の運転管理・設定操作を行うほか、設備点検やオーバーホールは定期的に実施するのが一般的である。そのため、熟練技術者のノウハウ伝承や設備の突発障害回避、消費エネルギーやメンテナンスコストの低減といった課題への解決策が求められていた。 ニチレイロジグループは、この共同実証で得た成果を基に、2019(令和元)年度から国内拠点の約140カ所、約870の冷凍設備に本システムの導入を進めている。■物流センターが次々と稼働 2018(平成30)年3月、ニチレイ・ロジスティクス関東は、東京団地冷蔵内(東京都大田区)にて平和島物流センターを稼働した。同物流センターは、日本最大の消費市場である首都圏において3万8,000tの冷蔵設備能力を持ち、主要幹線道路や空港へのアクセスも良好である。また最先端の免震・耐震システムを備え、作業面ではタブレット検品をはじめとする先端技術の導入により業務効率化も進めた。 ニチレイ・ロジスティクス九州では、沖縄県の那覇港管理組合が所有する那覇港総合物流センター内に那覇新港物流センターを開設し、2019(令和元)年5月に稼働した。1万2,485tの冷蔵設備能力を備え、将来はその地理的優位性を活かした国際物流促進基盤としての役割も期待されている。 2020年4月には、ニチレイ・ロジスティクス東海の「名古屋みなと物流センター」が稼働した。設備能力は3万7,294tで、この稼働により、ニチレイロジグループは国内外で200万tを超える設備規模に到達した。同センターは港湾型機能と幹線輸送の中継ターミナルや大手宅配便のクールセンター機能を一体化することで、お客様に高度なワンストップサービスを提供。また全社で展開する業務革新のモデルセンターとして、各種自動倉庫、移動ラック、高速ソーターなどマテリアル・ハンドリング機器を組み合わせた最適な運用で省人化を図っている。■中国江蘇省での業務開始 ニチレイロジグループ本社のグループ会社である上海《低温物流事業関連》■BCPに基づく「物流基幹システム」の対応強化 ニチレイロジグループは、社会にとって不可欠な最重要インフラである食品物流を担う企業として、システム面も含めて持続可能な物流サービスを提供していくため、2018年2月よりBCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)に基づく「物流基幹システム」の対応を強化した。 これは大規模災害に備えたリスクマネジメントの取り組みの一環として、物流基幹システムのメインサイトを西日本に置いて首都圏における大規模災害に備えるとともに、西日本での被災時には東日本のDRサイト※15 に切り替えるという2拠点化を実施したもの。さらに最新のクラウドサービスを採用し、速やかに全国の業務システムを復旧する体制を構築した。第2部データ更新を行うもの。 2021年3月、ニチレイロジグループで地域保管事業を担う株式会社キョクレイは、「本牧物流センター」を稼働した。設備能力は3万773tで、省エネルギー型冷凍装置として、高効率自然冷媒(NH3・アンモニア/CO2・炭酸ガス)冷凍機を採用。周辺の既存拠点である大黒物流センター(神奈川県)と連携した輸配送網を構築するほか、NKトランスの事業所をセンター内に設置することで運送機能の充実を図った。 なお、2018年6月、ニチレイ・ロジスティクス北海道は十勝物流センター(河東郡音更町)の冷蔵設備を増強し、設備能力1万1,485t(うち増強分3,345t)とした。164※15 DR(Disaster Recovery)に対応したシステムを用意し、ほぼリアルタイムに

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