ニチレイ75年史
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■発芽大豆研究のスタートアップ企業に出資 2020(令和2)年1月、ニチレイフーズは「発芽」の技術と「発芽大豆」原料を持つDAIZ株式会社(熊本市)に出資した。 昨今、世界人口の増加や多発する異常気象などからくる食糧問題、食料生産効率を踏まえた環境負荷低減への対応、そしてフードダイバーシティや健康意識の高まりなど、さまざまな観点から動物性たんぱく質の代替素材が注目されている。その候補として、大豆の先進的な研究をしているDAIZに出資することとした。■コロナ禍で変化する「家食ニーズ」に応える コロナ禍をきっかけに、外出自粛や家族の在宅時間が長くなったことで、「家で食べる機会」が増え、生活者のニーズも前例のない変化を見せた。その大きな波の中で、ニチレイフーズは冷凍食品に何が求められているのかを的確につかみ、ニーズに応える商品をスピーディに提供する挑戦を続けている。 コロナ禍にあって、在宅勤務でなるべく手間をかけずに食べたい単身の方、家族の食事を毎食用意しなければならない方では、求めるものが全く違うため、幅広いニーズに応えられるよう、2021年春季の新商品・リニューアル商品のテーマは「多様性」とし、多様な調理方法を取り入れてや休暇取得の向上など「働き方改革」の一助となることが期待された。 同システム開発の背景には、近年、食品メーカーでは需要変動に対応して商品を生産・供給することが求められる一方、生産年齢人口の減少に伴う熟練者不足などから、高効率な生産体制構築への重要性の高まりがあった。こうした中、デジタル技術を活用した先進的な製造体制構築に取り組むニチレイフーズと、自ら製造業として長年培ってきたOT(Operational Technology)とITを融合し先進的なデジタル技術を活用したLumada※14 ソリューションを提供する日立製作所は、2018(平成30)年から協創を開始、同システムの開発に至った。 ニチレイフーズは、同システムを国内11工場および海外工場へも順次、展開・拡大する計画としている。第2部食卓を応援した。 多人数のおかずを一度に用意するため、近年では珍しい油で揚げる調理法とした「北海道産じゃがいものコロッケ(牛肉入り)」をはじめ、夕食用のおかずとして満足できる大きなカツを電子レンジで手軽に提供することにこだわって数年をかけて開発した「極上ヒレかつ」も衣の配合を見直してよりサクッとした食感に仕上げてラインアップした。また食べ応えのある大きさとこだわり品質の新商品「てり焼きチキンステーキ」は、タイの工場で生産しているが、開発過程での打ち合わせはすべてオンラインで行い、従来では考えられないスピードで完成した商品だった。 生活者の変化を見つめることによって、新しい技術が生まれてイノベーションにつながる流れとなっており、生活者の「欲しいときにタイミングよく」というニーズに、ニチレイフーズは手を尽くして取り組んでいる。162※14 お客様のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立製作所の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。てり焼きチキンステーキ■近畿大学と共同で「アセロラぶり」を開発 ニチレイフーズは近畿大学と共同で「アセロラぶり」を開発した。北関東を中心に食品スーパーを展開する株式会社ベイシアの店舗で2021年1月に限定販売。好評だったことから、4月にも再販売した。 「アセロラぶり」は、「ニチレイアセロラ」商品の生産で生成される副産物のアセロラ搾りかす粉末を配合飼料に加えた餌で仕上げられた養殖ぶり。アセロラ由来の抗酸化ポリフェノールによる「持続する鮮やかな赤身」と、後味のすっきりした「爽やかな味わい」が特徴だ。 「アセロラぶり」は、酸化による商品の劣化を遅らせる技術を活用したもので、この技術で食品ロスを減らし、持続可能な養殖業の推進を目指した。

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