ニチレイ75年史
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■「おいしさ」を見える化する技術への挑戦 当社は食品企業として「おいしさ」を測る研究にも取り組んでいる。 これまで10年以上にわたり、加工食品の品質設計に活用することを目指して、英国のFLAVOMETRIX社の協第2部※1 FSSC22000:ISO22000を基盤とする食品安全に関する国際的なマネジメントシステム※2 ISO22000:HACCPの食品衛生管理手法をもとに食品安全のリスクを低減する食品安全マネジメントシステムに関する国際規格※3 SQF(Safe Quality Food)認証:購入する製品が、HACCPなどの食品安全と品質における厳格な国際基準に合格していることを保証するもの。ヨーロッパ以外の国で、世界食品安全イニシアティブ(GFSI)によって認められているプログラム※4 認証取得率:取得事業所数/国内の連結対象子会社の事業所数(食品工場、物流センターなど)※5 FSSC22000へ移行試料で、幅広い物質の分析が可能。160104/11514/156/82/11511/152/2力を得て、「MS Nose(エムエス ノーズ)」による測定技術を研究してきた。これはおいしさの重要な要素である香り(レトロネーザルアロマ※11 )をリアルタイムで測定することができる独自技術。「MS Nose」という名称は、質量分析法(Mass Spectrometry)※12 を使って、鼻(Nose)のように呼気中の香気成分を分析する機器であることに由来している。 北海道大学との共同研究による「おいしさ成分」の分析や、「Psychometrics(サイコメトリクス)※13 」(心理計量学)という心を見える化する分析技術を用いることにより、一人ひとりの食を楽しく彩るプログラムの開発に着手、2020年のサービス開始を目指した。自分に合ったおいしさが見えることで、これまで体験したことのない食の楽しさや新たな価値の提供が可能になる。当技術を担当していた研究者の病没により、当初想定していた展開が一部困難になったが、技術は他のメンバーに引き継がれ、現在も取り組みは継続している。2018年度3/158/92019年度 3/15※52020年度3/15※58/95/881/11514/157/72/11511/152/283/11714/157/72/11711/152/2ISO9001(品質マネジメントシステム)FSSC22000※1、ISO22000※2、SQF※3(食品安全マネジメントシステム)ISO14001(環境マネジメントシステム)ISO13485(医療機器・体外診断用医薬品)認証規格事業会社ニチレイフーズニチレイフレッシュニチレイロジグループニチレイフーズニチレイフレッシュニチレイロジグループニチレイフーズニチレイバイオサイエンス認証取得率※4認証取得状況(2018〜2020年度)※11 口から鼻腔に抜けて感じる香りのこと。※12 物質を構成する分子をイオン化して、分子量を測定する方法。極めて少量の※13 当社が中央大学の檀一平太教授と共同で研究している「顕在化していない意識」を統計的に解析する手法。■「Food Tech Studio‐Bites!」に参画 2020(令和2)年9月、当社は米国のスクラムベンチャーズ社が主催する「Food Tech Studio‐Bites!」に参画した。 「Food Tech Studio‐Bites!」はグローバル・オープンイノベーション・プログラムで、オープンイノベーションを通じて、新素材やIoT調理家電、食のパーソナライゼーションといった新サービスなど、テクノロジーを活用して食分野の新たな価値創造に取り組むもの。食産業以外の「戦略パートナー」や、食を取り巻く専門的な知見やネットワークを有する世界各地のメンターも参画する。食にまつわる課題などを具体的に理解し、実証実験やPoC(Proof of Concept:概念実証)にとどまらない、将来の事業化と具体的なサービス・アプリケーションの社会実装を目指している。 当社はこのプログラムを通してスクラムベンチャーズ社やパートナー、世界のスタートアップの方々とともに、新しいサービスや事業を創出し、世界の「食を通じた幸せ」の底上げに貢献していくこととした。■食の好みを分析するシステムを開発 2020年8月、個人の食の好みを分析し、それぞれの好みに合ったレシピや情報提供を可能とする「conomeal(このみる)」というシステムを開発したことを発表した。 当社は、これまでも心理的な影響については心理計量学(サイコメトリクス)を用いた研究を行い、品質の影響に

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