ニチレイ75年史
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■新中期経営計画「WeWill 2021」の概要 2019(平成31)年4月、長期経営目標「2030年の姿」を実現するための第一ステージとして、中期経営計画「WeWill 2021」(2019~2021年度)がスタートした。 世界経済の不安定さが増す中、為替相場や原材料価格、エネルギーコストの変動が続くことが想定され、国内では労働力不足に伴うさまざまなコストの上昇が続く一方、世帯構成やライフスタイルなどの変化がもたらす消費形態の多様化が見込まれた。こうした背景から、「WeWill 2021」では、経営環境の変化を的確に捉えながら、加工食品事業と低温物流事業を中心に成長および基盤強化に向けた設備投資を実施し、「持続的な利益成長」と「資本効率の向上と株主還元の充実」、「豊かな食生活と健康を支える新たな価値の創造」の実現を目指すこととした。 ニチレイグループ全体の売上高目標は6,570億円(年平均成長率4.2%)、営業利益は350億円(同5.9%)を目指す〈「WeWill 2021」──戦略の概要〉事業戦略…グループ総合力を発揮し、新たな顧客価値を創出 ニチレイグループ各社が持つノウハウや人材・設備などのリ引所グループ及び東京証券取引所においてもESG情報開示のハンドブック等を通じて取り組みが推奨されている。従来、サステナビリティに偏重した受け止め方をされる例も多かったが、当社はサステナビリティを前提に事業の成長性に向けた戦略的視点から特定に当たった。2021年には、長期目標達成に向けて各項目の進捗を測り、開示していくためグループとしてのKPIを設定した。具体的な施策は今後数次にわたって策定することになる中期経営計画で決定される。第2部とともに、課題の海外事業展開を加速するため、M&Aを含め現地企業とのアライアンスにより、海外売上高1,022億円、海外売上比率14%から16%へ高めることを目標とした。 投資戦略としては、前中期経営計画を上回る積極的な投資を計画した。グループ全体では前中計比378億円増の1,008億円を計画し、コア事業である加工食品事業と低温物流事業を中心に、特に海外事業やIT化などの業務革新、中長期を見据えた新規事業開発・研究開発に経営資源を配分。これにより、さらなる競争力強化を図るとともに、新規分野を含めた将来の成長の柱づくりに取り組むこととした。 また、2001年度以降、資本コストを意識した当社独自指標であるREP(Retained Economic Profit:経済的獲得利益)を設け、セグメント別に資本コストを上回る利益の確保を目指してきたが、今回、新たな経営指標としてEBITDA※7 を業績評価指標に設定した。利益率と合わせてEBITDAの成長率もカバーしていくことで、キャッシュ創出力の継続的な財務マネジメントを充実させた。 財務戦略としては、引き続き資本効率の向上に努め、ROEは10%以上を維持し、株主還元の充実のため、従来は連結自己資本配当率(DOE)2.5%だった配当基準を見直して3.0%に引き上げた。 ESGに関しても、SDGs(持続可能な開発目標)やパリ協定で掲げる長期目標の達成に向け、さまざまな取り組みによって注力。食の分野では、社会問題化している「フードロス」の解決へ、冷凍食品や素材品、低温物流、それぞれの事業を通じて積極的に取り組むこととした。環境負荷の低減では、自然冷媒冷凍設備への転換による脱フロンの推進を図ること、薄膜包材などの新規開発によりプラスチック使用量の削減にもしっかりと対応していくこととした。 さらにはコーポレートガバナンスの一層の充実を図る施策として、取締役会評価の実施による継続的な改善はもちろん、役員報酬体系の業績連動性を強化することなどを通じて、中長期的な企業価値の向上を図っていった。156グループ重要事項(マテリアリティ)食と健康における新たな価値の創造食品加工・生産技術力の強化と低温物流サービスの高度化持続可能な食の調達と循環型社会の実現気候変動への取り組み食と健康における既存事業領域を超えた挑戦により、新たな市場や顧客価値を創造する食品の加工・生産、低温物流で培ったコアコンピタンスをさらに磨き上げ、グローバル市場において、社会課題の解決と競争優位性による収益力向上を実現する事業の基盤であるサプライチェーンに関わるさまざまな社会課題を解決し、持続可能な食の調達と循環型社会の実現に貢献する気候変動の影響を大きく受ける食品・物流企業として、サプライチェーン全体での温暖化対策やエネルギー削減をステークホルダーとともに取り組む持続可能な成長を実現するため、多様な人財を確保・育成するとともに、包摂的な企業風土を醸成する多様な人財の確保と育成※7 EBITDA=営業利益+減価償却費(リースを含み、のれん除く)。3.未来に向けて~“WeWill”で進む

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