ニチレイ75年史
179/320

■所在不明株主の株式は売却へ 2018年9月、当社は株式事務の合理化を図るため、会社法第197条第1項に規定する株式(所在不明株主※3 の株式)を売却することを決めた。 同年9月26日、所在不明株主の株式売却に関する異議申述の公告および催告を行い、同年12月28日を異議申述期限とし、その後、株式を売却することにした。 翌19年9月の取締役会において、会社法第197条第3項および第4項の規定に基づき、所在不明株主の株式を当社が自己株式として買い取ることを決議し、次のように実施した。・買取対象株式総数 ・買取日 ・買取価格と買取総額 ■コーポレートガバナンス体制の強化 ~新たな顧問制度と初の統合レポート発行 相談役・顧問等に関する社会的関心の高まりや、2017年3月に経済産業省が策定した「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」における開示に関する提言も踏まえ、2018年5月、新たな顧問制度を公表した。 当社は従来、経営には関与せず、業界団体活動や経済団体活動を中心に対外的な活動を担う相談役を置くことができる制度を設けていた。そこで、社外取締役を交えて制 度を見直した結果、相談役制度の廃止とともに、新たに顧問制度として社内規程を制定し、経営には関与しないことを改めて明文化することとした。 同じく2018年5月に適切な情報開示と建設的な対話の促進のための指針として、グループディスクロージャーポリシーを制定し、この年、初めて、『ニチレイ統合レポート2018』を発行した。これは、当社グループの価値創造についての取り組みを財務と非財務の両面から統合的に伝えるためのコミュニケーション・ツールである。当社のWebサイトと合わせ、社内外のステークホルダーと有効なエンゲージメントを図るツールとして活用し、財務的な価値のみならず社会的な価値を理解してもらえるよう取り組みを進めた。 なお、コーポレートガバナンス体制強化のため、逐次、「コーポレートガバナンス基本方針」の改正を行っている。2019年の取締役(社外取締役を除く)および執行役員の報酬制度改定に伴い、2020(令和2)年1月に改正した。当社は公正かつ透明性の高い経営の実現を重要な経営課題と認識し、取締役会の監督の下、適切な資源配分、意思決定の迅速化、コンプライアンスの徹底を推進するなど、コーポレートガバナンスの充実に努めている。普通株式7万7,818株2019年9月17日 2,442円(当日の東京証券取引所における当社普通株式の終値)総額1億9,003万1,556円153※3 株主名簿に記載もしくは記録された住所に宛てて発した通知または催告が、5年以上継続して到着せず、かつ、継続して5年間剰余金の配当を受領していない株主のこと。第10章 未来へ~新しい顧客価値の創造へ向けたニチレイグループの取り組み■「POWER UP 2018」の成果と課題 中期経営計画「POWER UP 2018」(2016~2018年度)では、基本方針を「国内事業の収益力向上と海外事業の成長」および「国内外における中長期的な成長に向けた業務革新と新規事業開発」として推進した。 食品業界では食へのニーズがますます多様化し、調理の簡便化や健康志向の高まりによる需要が拡大した一方、労働力不足に伴う人件費や物流費、原材料価格などが上昇した。また食品物流業界では旺盛な保管需要による取り扱い拡大を背景に設備増強の動きが顕著となる中、荷役作業費や車両調達コスト、電力料金などが上昇した。 計画期間において、加工食品事業では主力商品であるチキン加工品・米飯に経営資源を集中し、商品開発や販売活動に注力するとともに、継続的な生産性改善とコストダウンに努め、利益率の大幅な向上を実現した。また低温物流事業では大都市圏を中心とした保管需要を取り込み、企業体質強化や海外事業拡大を通じて着実に収益を伸ばした。畜産事業も差別化商品への経営資源シフトを通じて利益率が向上した。 この結果、2018(平成30)年度は連結目標数値(2016年11月発表の修正後計画)を上回る成果を上げることができた。一方、海外事業の規模拡大に課題を残した。当社は、外部環境の変化やコスト上昇への対応力を強化することで、利益水準の向上を目指し、海外事業の規模拡大に向けては、より具体的な施策に取り組むこととした。1.持続的な成長への道筋を固めるために

元のページ  ../index.html#179

このブックを見る