ニチレイ75年史
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■純国産鶏種の養鶏を行う子会社が業務開始 2007(平成19)年5月、株式会社イシイとニチレイフレッシュが合弁で設立した株式会社ニチレイフレッシュファームは、岩手県九戸郡洋野町に洋野農場を建設し、同年11月、業務を開始した。独立行政法人家畜改良センター兵庫牧場が育種改良した原種鶏をイシイにて交配・孵化・飼育し、そこで誕生した種鶏「純国産鶏種 たつの」を交配・孵化させたひよこを、ニチレイフレッシュファームで純国産鶏種 「純和鶏」として飼育・販売する。 日本の養鶏業では、一般に流通する肉用鶏の親鶏である種鶏、祖父母に当たる原種鶏の99%を海外からの輸入に依存しており、2006年実績では英国、フランス、米国の3国から年間約40万羽を輸入した。しかし、前年実績の約124万羽からは大きく減少している。これは世界的な鳥インフルエンザの発生と、それに伴う発生国・地域からの輸入を日本政府が一時的に停止したためで、今後も鳥インフルエンザが発生した際には輸入停止のリスクがあるといわれている。 ニチレイフレッシュファームは、食品事業者による企業養鶏事業として、全工程にわたるトレーサビリティ管理による安全・安心のブランドとして付加価値を高めるとともに、国内自給率アップのためにも将来的に年間150万から160万羽の出荷規模を計画した。■フランスに事業領域を拡大 2010年7月、ニチレイロジグループ本社の欧州子会社であるNichirei Holding Holland B.V.(オランダ/NHH)は、Holding GLB S.A. およびHolding TCG S.A.(どちらもフランス)両社傘下の低温物流事業会社4社を買収した。 買収対象会社は北フランスをベースに冷蔵倉庫と運送の両事業を手がけており、フランス国内はもとより西欧域への展開も視野に入れることができる。NHHグループはオランダ、ドイツ、ポーランドと中東地域へ事業展開しており、同グループの事業基盤強化を図るとともに、欧州での事業拡大に努めることとした。■フレッシュチキン軽米を設立 2012年2月、ニチレイフレッシュはこだわり素材である純国産鶏種を処理・加工・販売する会社として株式会社フレッシュチキン軽米を設立した。■水産加工子会社の再編~まるいち加工を吸収合併 ニチレイフレッシュは従来、株式会社まるいち加工※11 中西部ズニンに位置する既存センターとの2拠点体制となり、ポーランド全域に対する24時間以内配送を実現した。 ラドムスコセンターの冷蔵能力は4万3,200t(2万6,620パレット)で、アイスクリーム大手のユニリーバ社から国内の物流業務を、世界第3位の大手小売業のTESCO社から国内156店舗への冷凍品一括物流業務をそれぞれ受託した。これらの実績を活かし、ポーランドからさらに近隣中東欧地域への事業拡大を図った。70台のトレーラーを有し、フランス全土への配送を行う。〈冷蔵倉庫事業〉フランス北西部のノルマンディー地方• Entrepots Godfroy S.A.S.カルピケ市に1万8,000tの冷蔵倉庫を保有• Les Entrepots De L’Ocean S.A.S.フランス最大の港であるルアーブルに8,800tの冷蔵倉庫を保有• Societe Des Entrepots Du Plateau S.A.S.コロンベール市に1万3,200tの冷蔵倉庫を保有●買収した4社〈低温運送事業〉• Transports Godfroy S.A.S.と株式会社ヒラヤマ※12 という2社の水産加工子会社を保有してきたが、2012年12月、子会社の再編を目的に2社の機能を統合した株式会社フレッシュまるいちを設立した。これに伴い、ヒラヤマは解散、まるいち加工は翌2013年1月にニチレイフレッシュに吸収合併した。 両社を統合することで、効率的な生産体制の構築、品質基準・管理レベルなどの統一が図れると判断したもので、新会社はニチレイフレッシュの新たな基幹会社として事業運営を行うことになった。125※11 1973年5月に設立。主にサケ、魚卵、タコ、エビの加工品を製造。2011年5月、同社の気仙沼工場は東日本大震災時の津波による被害が甚大で事業再開が困難と判断し、同年6月に閉鎖された。※12 水産加工品の拡大戦略のもと、2009年9月に買収。独自に原料調達から加工生産、製品販売までの事業を展開。第8章 世界同時不況・食への信頼失墜・東日本大震災からの回復7. 水産・畜産事業の動向

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