ニチレイ75年史
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■キューレイを子会社化 2008年1月、ニチレイフーズは、キューサイ株式会社との間で、同社の子会社で冷凍食品製造を手がけるキューサイ宗像食品株式会社の全株式を取得することで合意した。 ニチレイフーズはこれまでキューサイに対して卵製品、炒飯等の米飯類および今川焼等のスナック類の冷凍食品のOEM生産を委託してきた。MBOを契機に事業再編を進めてきたキューサイと、主力製品の自営工場での生産比率向上に取り組んできたニチレイフーズの意向が一致し、キューサイ宗像食品をニチレイフーズグループ内に取り込むことになった。同年4月、キューサイ宗像食品は株式会社キューレイに社名変更して再スタートした。■タイに合弁会社を設立 2008年10月、当社はニチレイフーズがGFPT Public Company Limited(タイ王国法人、以下、GFPT)と合弁でチキン事業を営む会社を設立することを承認した。 チキン加工品はニチレイフーズの主力カテゴリーだが、近年、国内ではチキン加工品の需要が高まる一方で原材 同組合は北総・東総地域でトレーサビリティーのできた国産野菜の契約栽培を進めると同時に、千葉県旭市に旭センターを建設した。2009年6月に竣工した旭センターは、従来型の集出荷・選果・調整・包装機能だけでなく、チルド貯蔵・加工(野菜ピューレ、ジュース)機能も有する農業生産物の複合型施設で、契約栽培された野菜をロスなく活用しようという構想だった。この施設を活用し契約栽培を推進することで、国産野菜の低コスト化・高品質化・高付加価値化と、農業生産者との「共生」を目指した。しかし各参加者間において農業における「契約」についての認識ギャップが埋まらず、調達量や調達価格がなかなか折り合わなかった。2016年、ニチレイフーズは当事業から撤退した。ベジポート旭センター料価格の高騰が続いており、主要生産地のタイで原料調達ルートを確保し、事業基盤を強化することが喫緊の課題となっていた。GFPTはタイ国内で有力な飼料・養鶏・鶏肉販売事業を営む企業で、従来、スラポンニチレイフーズ(タイで主にチキン加工品の製造を行うニチレイフーズの子会社)にチキン原料を供給しており、両社は良好な関係を維持してきた。 このような状況の中、ニチレイフーズとGFPTが協力関係を深めることにより、ニチレイフーズでは原料から製品までの一貫した生産体制(フルインテグレーション)の構築が実現し、GFPTでは鶏肉販売の拡大につながると判断されたことから、合弁会社設立の運びとなった。 新会社は同年11月、タイのチョンブリー県内にGFPT Nichirei(Thailand)Company Limitedの名称で設立され、2010年11月に新工場が本格的に稼働を開始した。同社の稼働により、日本国内のチキン加工品への旺盛な需要に対して、より安定した原料調達と製品供給および品質管理の向上を図った。立ち上げ当初から、収益安定に向け生産数量の増加に努めたが、2012年にはタイ国内の鶏相場の低迷長期化に伴い、損益改善が見込めなかったことから、約40億円の減損処理を行った。 なお、同社の稼働とともに、スラポンニチレイフーズのカビンブリ第2工場も稼働した。こちらは大量生産型のGFPTニチレイ(タイランド)の工場とは異なり、中小規模での効率的な生産に特化したライン設計とした。121第8章 世界同時不況・食への信頼失墜・東日本大震災からの回復GFPTニチレイ(タイランド)スラポンニチレイフーズ カビンブリ第2工場

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