ニチレイ75年史
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■農業生産者との「共生」を目指して ~ベジポート有限責任事業組合を子会社に 2007年10月、ニチレイフーズと千葉県富里市の優良農業生産法人・有限会社テンアップファームとの合弁により設立したのが、ベジポート有限責任事業組合(LLP※4 )だった。響するため、特に加工食品事業では成長分野への投資を優先し、国内外を問わず、企業価値向上に資する事業提携やM&Aの取り組みを推進した。そのため、ニチレイフーズは「品質と挑戦」をキーワードに、次々に子会社を設立していった。 2007(平成19)年8月、同社は三菱商事株式会社との合弁により、ミールサービス事業会社である株式会社スマイルダイナーを設立した。 2008年4月から特定健康診査・特定保健指導※2 が新たに始まることで、これまで健康診断結果をあまり意識してこなかった層や健康に不安を抱える層の方たちが日々の食事に求める「健康」への期待・欲求が高まると予想された。そこで新会社は自社のECサイトおよび病院・クリニック・介護事業者への支援事業会社や健康保険組合などとのネットワーク、コンソーシアムを通じて、直接、生活者に健康をサポートする食事を提供することとした。 その専用商品第一弾となったのが、同年5月発売の「スマートデリ※3 」だった。同商品のコンセプトは「美味しいモ第2部ノに目がない人の、簡単カロリーコントロール」。全商品がカロリー350kcal以下、塩分2.8g以下で、主菜1品に副菜3~5品を彩りよく配し、和食5品、洋食4品、中華3品の計12品をラインナップした。 しかし、事業は軌道に乗らなかったため2010年8月、スマイルダイナーは清算することとなった。120ベジポートLLPの設備・システム(青果物流通拠点「ベジポート旭センター」)※2 日本人の生活習慣の変化等により、近年、糖尿病など生活習慣病の有病者・予備軍が増加していることを受けて始まった健診・保健指導。特定健康診査ではメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健診。特定保健指導は、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が多く期待できる人に対して、生活習慣を見直すサポートを行う。※3 「Smart」と「Deli(Delicatessenの略)」の造語。※4 Limited Liability Partnership(有限責任事業組合)の略称で、民法組合と法人との利点を併せ持つ事業体で、構成組合員の合意で運営される。「スマートデリ」

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