ニチレイ75年史
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③ 「食の安全・安定」という価値の提供を通じて社会からの信頼・ 世界の食料資源の安定的な調達に努める。④ 経営品質のさらなる向上に取り組み、グループ競争力の源泉■新たな株主還元方針 当社は2003年3月期から株主優待制度を導入し、毎年3月31日現在の当社株主名簿に記録された1,000株以上保有の株主を対象に、株主優待品(当社グループ製品詰め合わせセット)の贈呈を実施してきた。 その後、株主に対する利益還元のあるべき姿について検討を進め、2007年2月に新たな資本政策と配当方針を公表し、中期的には①連結株主資本配当率(DOE)2.5%、②連結配当性向25%、を目標数値として掲げた。 この方針に基づく利益還元が定着してきたこと、また株主に対する公平な利益還元が求められていることなどから、さらに検討を重ねた結果、現金による利益還元を充実していくことがより適切と判断。2009年3月31日現在の株主名簿に記録された1,000株以上保有の株主に対する株主優待品の贈呈をもって、株主優待制度を廃止することとした。■関連会社の異動 2007年7月、当社は連結子会社である米国のTengu Company, Inc.(以下、テング社)の解散を決定した。同社は、2003年12月に米国産牛肉のBSE問題が発生して以来、主要製品であるビーフジャーキーの生産を大幅に縮小した状態が続いていた。2006年7月に米国産牛肉の輸入が再開されたが、依然として牛肉加工品の輸入再開の目途が立たず、業績の回復が見込めないことから、2007年12月に同社を解散した。 昭和炭酸株式会社についても、2008年度に当社が保有する株式の一部を売却したことにより、関連会社から外れることになった。■従業員の“活力”をベースとした新中期経営計画 当社は前中期経営計画(2007~2009年度)を「攻めと挑戦」の期間と位置づけ、改善された財務体質を背景に、事業活動から生み出されるキャッシュ・フローを成長分野への投資に優先的に振り向け、収益基盤の拡大を図ってきた。 加工食品事業におけるタイでのチキン加工品工場の建設や低温物流事業における冷蔵倉庫・物流センターのスクラップアンドビルドなどの大型設備投資は、2010(平成22)年度以降、順次、収益に貢献することになる。水産事業「energy 2012」の全体戦略① 収益力を向上させ、適正な経営資源の配分により持続的なグ② 成長機会を迅速に捉え、基幹事業会社の自立的成長を推進についても2006年に始まった再生プランが奏功し、黒字化を果たした。 しかし、前中期経営計画期間には想定を遥かに超える原材料価格の上昇に加え、2008年秋以降の世界同時不況に起因する需要減退と低価格化、為替変動など、激変する環境の影響を直に受けることになった。特に加工食品事業において、これらへの対応が遅れ、目標数値に大きく届かない結果となった。 そのため、2010年度から2012年度にかけてのグループ中期経営計画は、厳しい事業環境の継続が予想される中、足元の状況を見つめ直し、事業戦略の着実な遂行とスピーディーな環境対応を通じて、持続的な利益成長につなげることを基本的なコンセプトとした。そして、ステークホルダーの期待に応えるために、同計画では従業員の「活力」をベースに事業活動を推進し、事業ビジョンの達成に向けて計画を力強く実行するという意志を込め、「energy 2012」と命名した。 計画期間の前半においては、加工食品事業の回復に注力し、後半では前中期経営計画期間に行った積極的な設備投資の成果を着実にあげるとともに、海外市場の開拓を含め、各事業領域でのNo.1の地位を確立するための施策を行っていくこととした。 また、現実を注視した同計画は、下記の全体戦略のとおり、品質保証力による信頼回復、経営品質の向上、自己株式取得や退職給付制度の再構築など、早めのリスクマネジメントで守りを固めるという側面も強かった。ループの成長を実現する。・ 事業活動から創出されるキャッシュ・フローについては、ニチレイグループのコア事業である加工食品事業と低温物流事業の事業基盤拡充のための投資を継続する。する。を獲得する。・ グループの品質保証力をグローバルに強化し、ニチレイブランドの信頼性向上と拡販につなげる。117第8章 世界同時不況・食への信頼失墜・東日本大震災からの回復2. 中期経営計画「energy 2012」と中期経営ビジョン「GROWTH 2016」

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