ニチレイ75年史
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■新中期経営計画の始動 前中期経営計画(2004~2006年度)では、資本の効率的使用を意識した事業の成長戦略の迅速な実施と、事業戦略遂行の基盤となるグループ運営体制の確立を主要なテーマとして取り組んできた。 使用資本の回転を意識した投資の抑制と各事業の収益性の改善に注力した結果、財務体質が改善、また持株会社体制への移行による権限移譲は、意思決定の迅速化とともに従業員の経営参画意識をより高めた経営体制を実現した。 そこで、2007(平成19)年4月から2010年3月までの3年間は、前計画で達成した財務基盤と中核事業の収益力、機動的な事業運営を可能とした経営体制を背景に、「攻めと挑戦」の期間と位置づけた。事業活動から生み出されるキャッシュ・フローを成長分野への投資に優先的に振り向け、収益基盤の拡大を図ることで企業価値の向上に取り組むこととした。新計画における3年間の設備投資(計上ベース)は540億円としたほか、最終年度である2009年度の連結株主資本利益率(ROE)を9%としたが、中期的には10%を目標に据えた。なお、株主還元については、連結株主資本配当率(DOE)2.5%、連結配当性向25%を目標とした。 新計画の具体的な施策は次のとおりだった。① 事業成長を促進する顧客価値創造への積極的な取り■代表取締役の異動と買収防衛策の導入 持株会社体制への移行が完了し、財務体質改善の達成、そして新中期経営計画のスタートに伴い、当社は経営トップの世代交代により、さらなる発展を期すこととした。 2007年6月、浦野光人代表取締役社長は代表取締役会長に、村井利彰取締役執行役員が代表取締役社長・CSR本部長(ニチレイロジグループ本社の代表取締役社長を兼務)に、それぞれ就任した。大戸武元代表取締役会長は相談役に退いた。 当社では2001年よりチームCEO体制を取り入れており、浦野会長がグループ全体のガバナンスを中心に担当し、村井社長がグループのマネジメント、事業運営を担当する体制としたことで、より遠心力を重視したグループ経営が加速することとなった。 なお、2007年5月開催の取締役会において、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を目的として、「当社株券等の大量買付けに関する適正ルール(買収防衛策)」の導入を決定し、同年6月の株主総会の承認を得て発効した。背景には、食品関連企業再編の活発化やTOBの増加などへの危機感があった。■金融商品取引法への対応 ~内部統制システムの整備・強化 新グループ中期経営計画のスタートに先立ち、2007年3月、内部統制推進グループを新設し、会社法および金融商品取引法に対応した内部統制システムの整備・構築を強化した。 当社は2006年5月に新会社法に則ったニチレイグルー第2部組み② 国内での強固な基盤を活かしたグローバル展開③ 企業価値向上に資する事業提携やM&Aの取り組み④ 品質保証体制の強化⑤ グループガバナンスシステムの確立⑥ CSR視点に基づく社会との協調⑦ 働きがいのある組織風土の推進プ各社の内部統制方針を決め、実行に移した。さらに同年11月に出されたガイドラインに基づき、金融商品取引法という視点でマーケットの信頼を得るために、内部統制について検討を続けてきた。こうした中、内部統制を単に新たな法令への対応というだけでなく、自らの業務を一から見直すチャンスと捉えるべきという結論を得た。そこで、内部統制推進グループを設置し、法令対応にとどまらず、業績・生産性の向上につながるよう前向きに内部統制システムを整備・強化していくこととした。 2008年度はまず連結ベースで財務報告全体に重要な影響を及ぼす全社的な内部統制について、対象となったニチレイグループ各社を評価し、その上でニチレイグループとして最終評価した。さらに財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼすニチレイグループの業務プロセスならびに事業拠点を選定し、それらの整備状況、運用状況を評価した。これらの結果に基づいて、「2009年3月末時点の財務報告の信頼性に係る内部統制システムの状況」を内部統制報告書に記載した。 なお、コンプライアンスのさらなる徹底のため、2009年4月にはニチレイグループの行動規範の改訂を行った。1161. 「攻めと挑戦」がキーワード

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