ニチレイ75年史
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増資を引き受けるなど支援を継続していたが、2004年3月、当社の連結子会社である日冷商事株式会社(1990年10月設立)が、京都ホテルに賃貸中の土地・建物の所有権を売却し、会社を解散することを決定した。 日冷商事は、2003年6月に京都ホテルより、「京都ホテルオークラ」の土地・建物の4分の3の賃料について減額要請を受けた。これは京都ホテルが経営再建に取り組んできたものの、2001年12月期から2003年12月期まで3期連続して最終赤字を計上し、このままでは債務超過が見込まれる状況となったためだった。 当社は外部コンサルタントに依頼して京都ホテルの経営状況を分析した結果、厳しいコストコントロールや業務提携などによる経営再建への取り組みによって、ホテル業界の代表的な指標といわれるGOP比率(売上高資本費控除前営業利益率)が業界トップクラスの水準まで改善が進んでいると判断された。しかし賃借料等設備費の負担が経営を圧迫し、売上高の拡大が難しい環境下で赤字を脱却するには、設備費の切り下げが実現しない限り困難であるとの認識に至った。 一方、日冷商事が所有している土地・建物の資産価値は取得時(2000年)以降、バブル経済の崩壊の影響で時価が著しく下落しており、減損会計の導入を前に対策が必要となっていた。 こうした状況から、当該物件の土地・建物の4分の1を所有する札幌芙蓉ビル株式会社に、日冷商事所有分を売却した上で、京都ホテルに対する賃料減額が実施されることが最善の選択であると判断した。 なお、2005年にホテルオークラが京都ホテルの筆頭株主になり、当社が筆頭株主の時代は終わりを告げた。第2部114

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