ニチレイ75年史
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■「骨まで丸ごとシリーズ」の発売 食生活における魚離れが進む大きな原因として、「骨を嫌がる」子どもの増加※10 が挙げられていた。当社は、魚の食べ方を見直すべく、骨までおいしく安心して食べられる商品の研究を続けてきた。魚を独自の加熱加圧方法によって、見た目を保持したまま、肉質を傷めずに骨を柔らかくする技術を開発、2004(平成16)年11月、「骨まで丸ごとシリーズ」の発売に至った。 第一弾は、「かれいの竜田揚げ」「さばの煮付け」「さんまの竜田揚げ」「さんまの照り煮」の4品。日本の魚食シーンにこれまでなかった商品の登場は注目を集め、各メディアに大きく取り上げられたものの、販路の開拓、原価低減、量産体制の構築などがうまくいかず、軌道には乗らなかった。109※10 「魚料理で一番嫌いな点」の最も多い回答は「骨がある」の57.1%。調査対象は首都圏在住の小学4年生から中学3年生の子供。2001年の大日本水産会調べ。骨まで丸ごとシリーズ第7章 激しい環境変化に持株会社体制で対応7. 水産・畜産事業の動向 ─水産事業再生へ■共同配送の取り組みを拡大 これまでニチレイグループは、アイスクリームメーカーの共同配送事業やTC(Transfer Center)事業における大手スーパー店舗への納品、百貨店の地下食品売り場への共同配送など、さまざまな物流共同化に取り組んできた。さらに力を入れ始めたのが、加工食品メーカーの物流共同化だった。従来行われてきた配送面の共同化に加え、在庫拠点も共同化することで、各倉庫からの集配業務を省き、より効率的な物流を実現した。お届け先のお客様にとっても一括納品による荷受作業の効率化ができ、車両台数・待機時間の削減により騒音・排気ガスなどの影響を少なくすることもでき、排出するCO2は従来に比べて10~20%削減できる。 2006年度には、四国地区における冷食メーカー3社(日本水産株式会社、味の素冷凍食品株式会社、ニチレイフーズ)の物流共同化を実現した。3社は既に北海道、中部、九州地区で共同物流を行ってきたが、四国地区では商品の共同保管を実施するなど、物流効率化の枠組みをさらに広げている。この取り組みはロジスティクス・プランナーが企画・運営し、物流コストの削減はもちろん、各社の懸案事項であるCO2排出量の削減に大きな効果を見込んだ。■「ニチレイフレッシュこだわりセミナー」の開催 畜産部では、当社の考え方や取り組みを広く知ってもらおうと、2000年より「畜産こだわりセミナー」を開催してきた。畜産事業と水産事業が統合されて、ニチレイフレッシュが誕生した2005年からは、「ニチレイフレッシュこだわりセミナー」と名称を改めて継続することとした。 初回となった2005年のメインテーマは「大地と海と人をつなぐニチレイフレッシュ」。同社の方向性についてのプレゼンテーションのほか、LOHASから考える動物性栄養と健康をテーマに、モーリタニア産壺たこ、ブラジル産天然ピンクえび、「オメガバランスチキン」、「オメガバランスポーク」などのこだわり商品を紹介、有識者による基調講演も行った。 その後も「食料調達とLOHAS」「生命と環境との共生」「持続可能な社会に向けて」など、時代が求めるテーマを中心に発信を続けている。■不振が続く水産事業を再生 日本は長く世界最大の水産物消費国として、他国を圧倒する購買力を持っていたが、世界的な需要の拡大や資源枯渇が相まって調達価格の高騰を招き、消費国としてのcolumnニチレイロジグループ、保管と物流~選ばれつづける仕事。 時代の流れとともに変わるお客様のニーズに応え、サプライチェーン全体にわたって日本の「食」を支え続けていきたい、そんな思いを込めて、2006年、ニチレイロジグループは独自のブランドスローガンとブランドステートメントを作成した。〈ブランドスローガン〉選ばれつづける仕事。〈ブランドステートメント〉ニチレイロジグループは確かな専門知識と総合力に加え、社員ひとりひとりの新しい発想と提案力をもってこれからの低温物流をリードし、日本の「食」を支え続けます。

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