ニチレイ75年史
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の特定の食品の輸入・販売を禁止できることになった。これは対象となる食品の範囲、残留基準の内容からみて、世界で最も厳しい基準の一つと考えられた。 当グループでは、新制度に対応するため、ニチレイフーズの取り扱う冷凍野菜類およびニチレイフレッシュが取り扱う水産品、畜産品を中心に取り組みを実施した。生育状況と管理記録の確認①冷凍野菜類に関する対応 中国および東南アジア産を対象に2001年に制定した「ニチレイ農薬管理3原則※3 」を基本とし、原料を供給する農業者から加工を行う工場までのあらゆる関係者と協力し、「農場から食卓まで」を合言葉に各段階での品質管理体制の構築および取り組み強化を実施。②水産品・畜産品に関する対応 必要な管理体制を有する加工工場の選定、使用薬剤の把握および適正使用の推進、製品の残留化学物質(合成抗菌剤、抗生物質など)検査を実施するなどにより、安全性の確保に努める。 また、同制度に対応するためには、生産現場が農薬などの薬剤使用について正しい理解を持つことが不可欠との考えから、各国の加工工場、農場管理者を対象とした研修会などを通じ、周知・徹底を図る取り組みを継続した。第2部構築。有限公司」(山東省)を設立した。 両社が得意とする分析検査・研究開発に関する技術、ノウハウを持ち寄り、現地で必要な分析検査を協力して行っていくとともに、中国の産地情報の把握、現地生産者に対する生産過程の指導管理に取り組むこととした。106※3 農薬使用ガイドラインの制定、先行農薬検査の実施、トレースバックシステムの※4 冷凍食品を大量生産するには連続ラインが不可欠で、焼く、揚げる、蒸すなどはできても、まんべんなく炒めることは不可能とされてきた。そのため、当時の冷凍炒飯は製造過程で炒めたわけではなく、洋風のピラフを具材や味付けで中華風にしたものだった。開発者は、まず自分で満足のいく炒飯を作るべく、評判の店に行っては厨房に近い席に陣取り、油を熱する時間、卵を投入するタイミングなどをストップウォッチ片手に観察した。自分で作れるようになった後、それを実現するための装置を開発。機械メーカーは競合社からも受託しているため、複数の機械メーカーに何の部品かわからないレベルまで分解して発注し、自社内で組み立ててライン化した。炒める技術はこの後も改良が重ねられ、2015年には約30億円を投入して大規模なリニューアルを行っている。 錦築(煙台)食品研究開発有限公司での検査■錦築(煙台)食品研究開発有限公司を合弁で設立 ~品質管理に注力 中国から輸入する原材料が増加する中、2005年11月、当社は株式会社日清製粉グループ本社と共同で食品の安全性を分析評価する機関として、「錦築(煙台)食品研究開発■「本格炒め炒飯」~ホクレンとの提携を深化 2001(平成13)年に発売した「本格炒め炒飯」は、熟練の料理人が強い火力で調理したようなパラッとした食感が好評を博し、冷凍米飯市場のシェア1位に成長した。発売までに約4年を要した、その開発力・技術力※4 はもちろん、こだわりの素材調達の力も大きかった。 「本格炒め炒飯」に使われているのは、北海道産米。当社では、「焼おにぎり」(1991年発売)の原料米に「きらら397」を採用して以来、北海道のホクレン農業協同組合連合会との提携を深めてきた。 ホクレンは、人工衛星などによる情報解析から土壌の特性に合った米の栽培方法の研究を続け、低農薬で北海道の気候に適した栽培に成功。最適な保存方法や徹底した品質管理を行っている。当社は、このホクレンとの長年の取引を通じて、最も高品質な原料米を安定して調達できる体制を確立した。 なお、業務用米飯では、ホクレンと培った信頼関係から、原料調達という領域を超え、2000年10月にホクレン三笠食品工場(北海道三笠市)に米飯製造を委託、生産体制を強化している。5. 加工食品事業の動向─こだわりの素材調達と事業の広がり

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