ニチレイ75年史
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■社内カンパニー制への移行 企業再編の波が食品業界を襲うことをも視野に、各事業への権限委譲と自立に向けた施策として、2003年4月、従来の事業ユニット制を発展させた社内カンパニー制に移行した。これは、事業各部門を独立した会社のように扱い、自律的な経営がなされることを狙いとしていた。また、2001年に導入した執行役員制とともに、グループ全体の戦略を担うコーポレートと、業務執行を担うカンパニーのそれぞれが責任と機動性を発揮できる経営体制とすることが目的だった。 移行に当たっては、グループ会社も含めた各部門を「加工食品」「低温物流」の2つのコア事業のほか、「水産」「畜産」「バイオサイエンス」「フラワー」の6カンパニーに括り直した。さらに、事業を支援する人事・総務、経理や経営企画などの組織も、大きくコーポレートスタッフとコーポレートサービスに役割を明確化して再編。コーポレートスタッフは小さな本社を、コーポレートサービス部門はシェアードサービスとして専門性とコスト意識を高め、サービス事業としての自立を目指すこととした。■ニチレイグループの再編成 ~持株会社体制への移行を実施 当社は、2001年から事業運営組織を事業ユニット制、社内カンパニー制と段階的に改正し、自立性の発揮や意思決定の迅速化などの面において一定の成果を収めてきた。 しかし、食のマーケットにおける総需要の伸びが期待できない少子高齢化の到来や、原料調達から生産・販売に至るまでのグローバル化の進展、外資系企業の参入や相次ぐ業界再編など、環境が激変。当社は各事業を分社化して大幅な権限委譲を行うことにより、各事業会社が自主・自立し、それぞれが競争力を持って、収益性を一層高めていくことが必要と判断した。■前計画を踏まえたグループ新中期経営計画の策定 当社は前中期経営計画(2001~2003年度)において、「事業ドメインの再編と事業ユニット制の導入」「コア事業における成長戦略」「資本効率の向上と資本構成の適正化」の3点を経営課題として取り組んできた。 事業ドメインの再編については、2003(平成15)年4月に導入した社内カンパニー制の下で、6つの事業がそれぞれ自律的経営を推進することができた。何より最大の成果は、資本効率の向上と資本構成の適正化が図られ、有利子負債を大幅に削減※1 できたことだった。 しかし、加工食品、低温物流の両コア事業の成長戦略では多くの課題を残した。特に低温物流事業は、資本マネジメントとガバナンスの機能を理論上区分して認識し、マネジメントを執行役員の役割とし、ガバナンスを取締役会ならびに監査役会の役割としたものだった。回転の低い保管中心の事業構造から、3PL(サードパーティーロジスティクス)や輸配送事業を強化し、より資本回転の高い事業構造への変化を目指したが、十分ではなかった。そこで、成長分野と成熟分野を同じビジネスモデルで行うのではなく、2つに分けることで機動的に対応していこうと、持株会社体制への移行に先行して、物流ネットワーク事業と地域保管型事業とに分社化を行うこととした。その際、各地の冷蔵倉庫会社(東海冷蔵株式会社、関西日冷株式会社など)を新たな地域子会社に統合して運営することとした(詳しくは107ページを参照)。 こうした結果を踏まえて、新しい中期経営計画(2004~2006年度)では、引き続き経営理念に立脚し、次のグループ全体戦略を実施することとした。1. 前中期経営計画である程度達成した「資本の効率的使用」を意識しつつスリムで強靭な企業体質をベースに、事業の成長戦略を迅速に実施する。2. 事業戦略遂行の基盤となるグループ運営体制を確立する。① カンパニーの自立促進に向けた権限委譲と責任体制② 企業ブランド価値の向上と推進③ ニチレイグループが果たすべき社会的責任の明確化④ グループ従業員が活き活きと働ける職場環境の整備の確立と推進101※1 2001年度の有利子負債は1,674億3,900万円だったが、2003年度は1,243億8,800万円と25.7%減少した。第7章 激しい環境変化に持株会社体制で対応2. 企業価値の最大化を求めて大転換─持株会社体制への移行

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