ニチレイ75年史
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■賃貸用オフィスビルの賃料支払請求訴訟の和解 当社は1993年7月、住友不動産株式会社に対して民事訴訟を提起した。これは、1990年6月に締結した建物賃貸借基本契約書に基づき、当社が賃貸している「ニチレイ東銀座ビル」「ニチレイ水道橋ビル」「ニチレイ水道橋ビルアネックス」の賃料について、住友不動産より1992年11月に賃料減額通知を受け、同月以降、一方的に賃料の減額支払いを受けていたため、未払賃料ならびに遅延損害金の支払いを求めたものだった。 同社は賃料減額請求の根拠として「事情変更の原則」適用を主張し、その理由として契約当時に全く予想できなかった賃貸用オフィスビルの需給環境悪化を挙げた。だが、当社は長期にわたる契約期間中に生じるあらゆるリスクをカバーできる賃貸先として住友不動産を選択し、また契約に当たっても同社は空室の有無にかかわらず契約賃料を全額保証する旨を事前に書面で確約しており、賃料減額請求は認められるべきではないとの立場だった。 しかし、1999年2月に裁判所から和解勧告を受け、昨今の経済情勢、オフィスビル賃貸事業の状況、裁判の長期化によるリスクならびに和解条件などを検討した結果、緊急避難的対処として、同年7月、和解にて解決した。■豊田通商との係争から管理体制を整備 当社は1991(平成3)年8月に豊田通商株式会社から民事訴訟を提起され、1995年12月に第一審判決が出たが、これを不服として控訴した。しかし、裁判所からの強い和解勧告を受け、また当社の主張も一部受け入れられたことから、1997年10月、当社が豊田通商に対して和解金11億6,000万円を支払うという和解に応じた。 提訴の内容は、当社の下関埠頭物流サービスセンター(提訴時は下関埠頭工場)が、ある会社を介して、豊田通商名義で受託しているとされた水産品寄託物の引き渡しを求められ、それが履行されないならば名義変更報告書および在庫証明書に虚偽の記載をしたとして、同商品代金相当の損害賠償を求めるというものだった。裁判では双方の主張が争われた。本件に関する反省に立ち、名義変更報告書や在庫証明書の発行に関して、入出庫作業、在庫実査など、基本動作の徹底に加え管理体制の整■イナ・ベーカリーの設立 1996(平成8)年6月、当社は米国のイーストボルト社と合弁で埼玉県北足立郡伊奈町に株式会社イナ・ベーカリー(資本金4億9,000万円)を設立した。同社は日本マクドナルド株式会社のバンズを製造する会社で、1998年2月に本社工場が竣工した※14 。■ニチレイ・アイス、大泉アイスプラント完成 1997年4月、株式会社ニチレイ・アイスの新しいアイスプラント「大泉アイスプラント」が山梨県大泉村(現 北杜市)に完成、稼働した。大泉アイスプラントは良質の包装氷を生産する全自動製氷装置を設置した最新鋭の工場で、生産能力を日産3万パックとした。備が行われた。97※14 2005年1月にイナ・ベーカリーの株式を売却して関連会社から除外。ニチレイ・アセロラエキスWB第6章 経営刷新に向けた取り組み11. 係争・問題への対処■アセロラエキス配合の美白化粧品が登場 2000年3月、アセロラエキスを配合した薬用美白化粧品「FRESH WHITE」が株式会社コーセーより発売された。 1988年に同社とバイオサイエンス事業部の共同開発が始まって、約12年の歳月をかけて商品発売にこぎつけたもの。素材を酸味種果実に限定し、独自の製法で精製抽出した高品質なアセロラエキスは、コーセー研究所にて、優れた美白作用、抗酸化作用、保湿効果が確認された。12. 関係会社の動向

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