ニチレイ75年史
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■「すすめ、おいしさ。すすめ、ニチレイ。」 キャンペーンの進展 1996年秋、当社は「すすめ、おいしさ。すすめ、ニチレイ。」キャンペーンを開始した。ニチレイの本当の姿、本当の気持ちを、さまざまな方たちにこれまで以上に分かってもらうこと、すなわち、ニチレイの「顔」を人々の心に浸透させることが目的だった。 背景には、社名は広く知られるようになったものの、ニチレイというブランドに付随するイメージが、他の大手食品メーカーなどにまだ引き離されている現状があった。そのため、ニチレイの「顔」=企業コンセプトを「食のフロンティアカンパニー」とし、「すすめ、おいしさ。すすめ、ニチレイ。」をコミュニケーション・ワードに、テレビCMの放送や新聞広告の掲載、イベント活動などを展開した。 1997年7月には、生活者との2WAYコミュニケーションを実現するためのネットワークを構築していこうと、「ニチレイすすめおいしさ委員会」を立ち上げた。同委員会はお客様相談センターおよび広報室が事務局となり、食に関心の高い生活者をメンバーに迎え、パソコン通信を利用したコミュニケーション活動を行った。食を切り口としたさまざまなテーマで意見交換する中で、生の声を収集・把握し、その結果を当社の商品や企業行動に反映、生活者志向の企業作りに努めたが、業績悪化の影響もあって2年間の活動で終結した。■ウエルネス食品部の設置 当社は健康関連食品を21世紀の食品産業の柱に育成する方針で、1999(平成11)年10月、業務・家庭用、冷凍・常温などの区別なく、健康な人から病気の人まで健康増進に役立つ食品を開発するウエルネス食品グループを新設した。1990年代から新規事業の一環で糖尿病食などヘルスケア食品を手がけてきた技術的蓄積に、食品の機能性研究を加えて、ウエルネス食品分野に本格的に取り組むこととした。 2000年4月にはウエルネス食品部を設置。当社のウエルネス食品のコンセプトは、①おいしく、②機能性があり、③安全・安心で、④便利であること。同年5月にはタレントのジュディ・オングさんと共同開発した薬膳風の調理済みレトルト食品「ジュディバランス」など、健康・美容に配慮した新商品群を発売した。また糖尿病患者向けの商品群は文字を見やすくするなどしてパッケージをユニバーサルデザインに改め、メニューも刷新した。■手作り志向に応える商品開発 ~新たなマーケットにチャレンジ 1990年代半ばから、米国では「ホーム・ミール・リプレイスメント」、あるいは「ミール・ソリューション」(食問題に対する解決策)をキーワードとした業態開発が進んだ。日本国内でも女性の社会進出や核家族化などライフスタイルの欧米化を背景に、外食・中食・内食の区分があいまいなものとなっていた。 こうした中、当社は手作り感や温かさを手軽に実現したい、安全・安心でワンランク上の味を追求したいなど、さまざまな食の悩み、問題の解消に応えようと、「ニチレイ・ミーHACCPによる冷凍食品の生産を開始した。HACCPでは工程ごとに衛生区分を厳密にする必要があるため、工場のレイアウトを大幅に変更した。また、当社だけではなく、子会社、協力会社にも導入を働きかけた。第2部ル・ソリューション」を展開した。1996年に「今晩のおすすめ」シリーズとして、“レディ・トゥ・イート”をコンセプトに夕食マーケットへの提案を行った。これで確かな手ごたえを得たことから、翌97年にはさらに手作り感を生かし、“レディ・トゥ・クック”をコンセプトとした「今夜はつくろう」シリーズを開発して夕食メニューを提案した。94今夜はつくろうシリーズの酢豚「ジュディバランス」シリーズ7. 環境にも人にもやさしく

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