ニチレイ75年史
116/320

② 改革期間内は、優先順位の高い仕事、得意分野、収益性の高い部門への資源の集中に全力を挙げ、業務の選別、収益構造改革を実現するための重点投資と、事業のダウンサイズ・撤退を迅速に実施する。③ 〈Think for the Customer.〉――「利益の源泉はお客様が当社の商品やサービスを評価し、ご利用いただくことにある。」という原則に立ち返り、当社の事業目標を“顧客が満足する価値の最大化・最良化”として、各組織・従業員がこの目標に向かって常に考え、主体的に行動できるよう整合性のとれた組織や仕事の仕組みを構築する。2. 経営システムの構造改革① 改革期間内に当社グループ構成員全員で共有できる企業経営理念を確立するとともに、構成員それぞれの当社グループにおけるミッション(使命・役割)を明確にする。② 改革期間内に企業の社会的責任に対する行動目標を設定し、必要な施策に着手する。また、従業員行動規範の敷衍などにより企業倫理を確立する。③ 各社独自からグループ全体での運営・マネジメントへ転換する。④ ステイクホルダーズに対する責任を継続的に果たし、社会・時代の変化に応えうる経営組織を構築し、意思決定手順を転換する。修正中期構造改革計画の内容1. 事業運営の構造改革① 資本効率の視点をスタンダードに置いた事業運営に転換し、各事業の成果目標を投下資本に対する収益の上がり方とする。第2部904. 経営刷新への取り組みを加速 ─計画その3■課題が山積する中で 〜1999年に修正中期構造改革計画を策定 当社は中期構造改革計画に基づいて、4つの経営課題の取り組みと併せ、「リフレッシュ低温物流」「パワーアップ食品」「スリム&タフ管理」「財務体質の改善」をキャッチフレーズに具体策を展開した。しかし、最初の1年間では十分な成果を上げるに至らなかった。 加えて、1998(平成10)年はさまざまな問題が噴出した年でもあった。まず5月に子会社であるユキワで不正流用(横領)事件が発覚し、巨額の損失を計上した。8月にはコープさが生活協同組合で当社が納入した輸入牛肉を十勝産と偽装した問題が発覚、再発防止に向けた取り組みが徹底された。また巨費を投じて建て替えした京都ホテルの業績低迷が続き、1998年から数次にわたる支援を実施することになった。低迷を続けた北米事業においては、各社が抱える損失合計が100億円余りに上ることも判明した。 1998年度決算では、ユキワの不祥事や北米における加工食品生産販売事業の見直しなどで200億円を超す特別損失が発生し、戦後の混乱期を除き単独決算では初めて最終損益が赤字(▲45億6,900万円)となった。有価証券や遊休土地の売却益を財源に損失額を抑制したが、この措置にも限りがある。そのため、当社は修正計画により、2001年度に事業活動による年間利益を適正水準に回復できるよう、1999年度、2000年度の2年間でグループすべての会社・事業・部門であらゆる構造改革に取り組むことを決めた。 「修正中期構造改革計画」では、全体方針を別表のように「事業運営の構造改革」と「経営システムの構造改革」に大きく分けて考えることとした。 なお、数年来の業績悪化に対する反省と業績改善へのバネとすべく、1998年度は1年間の役員報酬の減俸と役職者の1カ月間の減俸を行った。しかし、1998年度の事業予算は大幅未達となり、基幹事業の構造改革と収益力強化については十分な成果が得られなかった。そのため、役員報酬は減俸率を拡大して1年間延長し、全役職者の平均3.9%の賃金カットを実施、さらに従業員の昇給幅を大きく圧縮することになった。■企業倫理の確立に向けて〜倫理委員会の設置 食品に関する事故や事件だけでなく、さまざまな業界で不祥事が相次ぐ中、企業倫理のあり方、大切さがクローズアップされていた。当社においても、特殊株主問題とユキワの不正流用事件をきっかけに、1999年4月、取締役会の諮問機関として「倫理委員会」を設置し、企業倫理の確立に向けた体制がスタートした。法務部と総務広報部が事務局を務め、各地区には「地区倫理委員会」を設けた。 「企業経営理念」に基づいて事業活動を行っていく際、会社および役員・従業員が遵守すべき行動の規範を定めた「行動規範」も併せて制定した。2000年1月には各職場で起こりうる具体的事例を取り上げて解説を加えた「行動規

元のページ  ../index.html#116

このブックを見る