ニチレイ75年史
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■大幅な組織改正と「さん付け」推進 中期構造改革計画のスタートに合わせ、1998年4月、本社や支社における課制を廃止してグループ・チーム制を導入するなどの組織改正を行った。中でも営業組織は、これまでの商品別事業部制からお客様の業態に対応する形にし、また商品の生産・調達をカテゴリー単位で行う組織に改めるなど、創立以来52年続いてきた組織を見直す大幅な改正となった。 営業組織の改正ポイントは、従来の食品一部、二部、三部、水産部、畜産部、畜産加工品部を、それぞれの商品カテゴリーを担当する部門として加工食品部、水産部、畜産部に再編成したこと。営業サービス部、営業企画部、広域営業部を新設し、支社の販売組織も得意先別・業態別に再編成したことだった。また、1998年3月31日付をもってシドニー駐在員事務所を廃止し、現地法人ニチレイ・オーストラリア(NAP)に集約することとした。 また、組織改正の趣旨を徹底する上で最も大切なことは、明るく風通しの良い職場作りにある。そのため、対外的には肩書きによる呼称が必要であっても、社内では「さん付け」を推進。互いに「さん」付けで呼び合う行動から意識を変えていくこととした。■中期構造改革計画の策定 「FCプログラムⅡ」では、1998(平成10)年度の目標経常利益100億円を掲げてきた。しかし、業務革新運動による生産性向上などの面で一定の成果は得られたものの、各部門の利益は計画初年度から目標と大幅な乖離を生じ、「FCプログラムⅡ」の遂行は不可能な事態となった。その背景には、次のような収益悪化の構造的要因があった。浜区にニチレイグループ技術開発センターを開設した。これは、総合研究所、食品開発研究所、生産部・食品開発センターのすべての機能、および生産技術部、味覚評価室、低温物流エンジニアリング部の一部の機能を移転し、分散していた研究・開発機能を集約したもの。一つの食品研究所(技術開発グループ・製品開発グループ・特別プロジェクト)と、企画、総務(情報システム情報管理・総務経理)、味覚設計、FA(ファクトリーオートメーション)開発、商品開発、分析、食料の8つのグループで構成した。 同センターは営業部門とも連携、お客様に満足いただける商品・サービスを提供するため、生活者やユーザーにも「開かれたセンター」を目指して、お客様と一緒に作業ができる調理試験エリアや官能評価エリアの機能を持たせた。また、工場移行前のラインテストのためのテストプラントや、生産ラインの機器開発および低温物流の荷役技術の開発のためのエンジニアリング棟を設置するなどプラント機能を充実させ、コストダウンを徹底的に追求する体制を整えた。① 低温物流事業の保管単価の下落と保管料収入の伸び悩み② 加工食品事業の収益の飛躍的向上に向けた体制整備の遅れ③ 水産事業の高固定費構造運営と損失商材の発生④ 畜産事業の輸入チルド牛肉事業の損失⑤ キャッシュフローを超えた設備投資・投融資の実施に伴う財務体質の悪化 加えて、特殊株主問題が注目される中で、「企業経営理念」の全社への浸透が遅れ、これに基づく行動規範の制定にまで至らなかったことが、企業倫理面においても課題を残した。 このような認識の下、新たに1998年度から2000年度まで3カ年の「中期構造改革計画」を策定した。新計画は、「当社が3年後に目指す姿はどうあるべきか」「当社が抱える収益悪化の構造的要因の抜本的改善をどう図るか」「財務体質の改善に向けてこの3カ年は何を優先すべきか」「連結経営時代に向けて、当社のグループマネジメントはどうあるべきか」などを徹底的に討論した上で策定された。 そして、3年後に次の姿を実現すべく展開していくこととした。1. 企業経営理念が全社に浸透し、企業倫理を確立している2. 4つの経営課題──①低温物流事業の革新、②生産体制の再編、③営業組織体制の再編、④管理機構のスリム化──を完遂し、強力な競争力と収益力を有している3. 真に顧客第一主義に基づく事業運営が図られている89第6章 経営刷新に向けた取り組み3. 経営課題遂行のための マネジメントを推進─計画その2

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