ニチレイ75年史
114/320

(1)将来への発展性も視野に入れつつ、全体利益最大化の観点から、経営資源投入の集中化を図り、より望ましい事業ミックスの構築を図る。(2)業務革新と財務体質強化に関する全社的施策の推進の高まりや事業体質の強化、経営諸機能のレベルアップなどの面で一定の成果が得られたものの、最重点課題とした収益力の飛躍的向上には及ばなかった。特に収益基盤の強化が果たせなかったことが大きな反省点となった。 そこで、「FCプログラム」に続く中期3カ年の実行計画として「FCプログラムⅡ」(1996~1998年度)をスタートした。目標として、特に収益力強化(損益分岐点比率引き下げ・自己資本充実)を重視しながら、お客様のニーズを的確に捉えてたくましく成長することを挙げ、目標達成に向けて次の2つを最重点課題として取り組むこととした。により、ローコスト経営体質への転換を進める。 また、経営や事業を支えるマネジメント力の向上や経営諸機能の強化に関する全社的・部門横断的な経営課題を「FCプロジェクト」と位置づけ、明確な責任体制の下に着実に推進し、成果を生み出すこととした。 なお、「FCプログラムⅡ」のスタートに合わせて新人事制度を開始した。基本的な狙いは、能力主義を軸としながらも、従業員の意志と適性に応じてきめ細かい対応ができるような制度に改め、より働きがいのある、より活力のあるニチレイを実現すること。具体的には、能力と担当する業務内容に応じた公正な処遇を目指す職群制度※2の導入と職能資格制度の改定、従業員の生活設計を踏まえた希望を反映させるための勤務地選択制度※3の導入、およびこれらに基づく賃金体系の改定が主な内容だった。第2部討し、「総合職」「業務職」「一般職」の3つの職群を設置。フェーズとして、各部門においてプロセス指標目標を設定し、計画を実行、具体的成果を上げる期間とした。そして、1997年10月から1998年3月の第3フェーズでは、プロセス指標および中期経営計画の目標値達成に向けた業務活動を実施した。 業務革新運動の目的は「顧客満足の向上とスリムで強靭な安定的収益体質を同時に実現すること」にあり、期間中は随時、全社業務革新推進委員会を開催したほか、部門、部、地区、事業所ごとに推進委員会を設置して不要業務の削減など活動の推進に当たった。①新規事業関連では、事業開発部を廃止し、フラワー事業部※4を設置するとともに、新規事業企画業務を経営企画部に移管。②組織の活性化と人材開発を相乗的に行うため、FN(フレッシュニチレイ)運動推進室と人事部を統合。③ニチレイグループ技術開発センターの開設に伴い、これまで分散していた研究・開発機能を一元化。④生産部の組織を再編成し、従来の業別運営体制から機能別運営体制に変更。⑤水産部と水産加工品部を水産部として統合。⑥第一線の営業体制については、商品の物流事情に応じて設置していた営業拠点を、マーケティングや販促が効果的にできる体制に一新。海外拠点について、事業運営の効率化の観点から、シンガポール、ロンドン、北京の3つの駐在員事務所を廃止。88※2 担当する仕事の内容と広がり、困難度合い、要求される能力などを総合的に検※3 全国を支社の管轄地域ごとに6ブロックに分け、従業員の希望をより反映させることができるよう導入。また転居を伴う国内外への転勤・出向があるN区分、選択したブロック内でのみ転居を伴う転勤・出向があるR区分、転居を伴う転勤・出向のないA区分の3つに分けた勤務地区分制度も導入した。※4 当社では新規事業としてバイオサイエンス分野に取り組み、ドイツのメルヒャース博士を招聘して植物の細胞融合研究を行った。その技術を活用した洋ランの育種栽培は事業開発部が担当し、調布、宇都宮の温室で事業化を探った。フラワー事業部となって、2003年4月、長野県諏訪郡富士見町に大規模な温室を開設し、販売拡大を目指した。フランスのルクフール社と提携し、南米高山地帯に生育するオドントグロッサム(彗星蘭)を中心に育種、栽培を行った。世界らん展日本大賞で何度も受賞したが、開花時期をコントロールする技術に苦労し、ギフトとしての展開ができず、2007年から順次、事業の縮小を余儀なくされた。■業務革新運動の推進 「FCプログラムⅡ」の重点施策となったのが、全社にわたる業務革新運動だった。1996年4月から9月の第1フェーズでは、業務革新推進室が発足して検討を重ね、業務革新推進提案書を作成。続く同年10月から1997年9月を第2■1997年の機構改正 1997年4月、「FCプログラムⅡ」の2年目を迎え、当社はいくつかの機構改正を行った。主な改正のポイントは次のとおりだった。■ニチレイグループ技術開発センター開設 〜研究・開発機能を集約 1997年4月、「お客様第一、安全第一、品質第一」の商品・サービスを開発していく体制を充実させるため、千葉市美

元のページ  ../index.html#114

このブックを見る