ニチレイ75年史
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■産業廃棄物委託プロセスの見直し 2016(平成28)年早々に食品廃棄物を巡る横流しなどの不祥事が世間を騒がせた。この一連の事件では、ニチレイフーズの製品も含まれていることが発覚したことから、ニチレイグループ全体で産業廃棄物の委託プロセスを見直すこととした。 ニチレイグループはできるだけ食品廃棄を減らす努力をしているが、やむを得ず廃棄する場合は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」など関連する法令に則り産業廃棄物処理業者に依頼してきた。主な産業廃棄物は、ニチレイフーズやニチレイフレッシュでは工場における残りかす、衛生検査時のサンプルなど。ニチレイロジグループでは融解や破損によって使用できなくなった保管物である。 しかし事件を受け、委託過程の見直しを行った。まず産業廃棄物処理業者の選定について、新規はもとより既に処理を委託している業者についても、関連する公益財団法人の情報などを踏まえて点検を実施した。廃棄方法については、包装後の製品を廃棄する場合は、包材から取り出して、他の製品や製造工程等で発生する副産物と一緒に専用容器に移し替えて排出するなどの対応を行った。また、やむを得ず包装後の製品を開封せずそのまま廃棄する場合は、当社事業所より排出する段階から当社社員が立ち会うなどの方法で、産業廃棄物処理業者での処理が確実に実施されたことを確認することとした。なお、定期的なプロセスの見直しも実施している。149※10 低温環境下に生息する魚や昆虫、植物、微生物などから見つかっているタンパク質で、生体において、凝固点(凍る時の温度)を低下させ、凍結防止や氷結晶の再結晶化防止による生物の生命維持に寄与するタンパク質。ライフナノテクノロジー賞の受賞展示会場のブース第9章 さまざまな経営課題に的確に対応8. 問題への対処■不凍タンパク質を発売 ニチレイグループは、魚の不凍タンパク質(Antifreeze protein:AFP)※10 を2002年より国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同研究してきたが、製品化に成功し、2016年に試験研究用試薬として発売を開始した。 この不凍タンパク質は、凍結防止のほか氷の結晶に直接結合することで、氷の結晶の成長抑制や再結晶化の抑制、溶質の均一分散化などに加え、非凍結低温環境下における細胞保護機能などさまざまな効果がある。その応用は食品から医療、化粧品、試薬、工業分野に至るまで幅広く想定された。 2017年2月には世界最大級のナノテクノロジーに関する展示会「国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」(nano tech 2017/東京ビッグサイト)に初めて参加し、不凍タンパク質のブースを出展。優秀出展を選出する「nano tech 大賞」において、「ライフナノテクノロジー賞」を受賞した。これは、不凍タンパク質の研究を長年続け、食品をはじめ医療分野や土木などさまざまな産業に役立てようとする活動が評価されてのことだった。■米国産冷凍野菜の回収 2016年5月、ニチレイフーズが米国で冷凍野菜の製造を委託しているラムウエストン社より、米国内でリステリア菌に汚染されている可能性があるために自主回収を行っているCRFフローズンフーズ社の原料がニチレイフーズ向けに製造した商品の一部に使用されている旨の連絡があった。 該当商品については日本の食品衛生法ではリステリア菌の規格基準はなく、またリステリア菌は加熱により死滅するため、該当商品は加熱後摂取冷凍食品であったことから、万一、原料にリステリア菌が存在しても健康上の被害はないと判断した。しかし、お客様の安心を考慮し、該当商品を自主回収することとした。

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